- Amazon.co.jp ・本 (143ページ)
- / ISBN・EAN: 9784873766638
感想・レビュー・書評
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先日スーパーで偶然、山本正之がヤッターマンライブを演っているのに出くわしました。
特設会場は大賑わいで皆子連れでしたが、親の方が熱狂していました。
ワンと吠えりゃ♪「オォッツ!」大合唱。私も思わずコブシを挙げていました。
大の大人を未だに魅了して止まないヤッターマンとはなんだったのでしょうか・・・。
1977年。
ヤマトが大ヒットしたアニメ界は、よりリアルにより深くという作品を模索していました。
そんな中、ヤッターマンの放送が始まります。
勧善懲悪の単純ストーリー、パターン化されたお約束の展開とギャグ、クサい主題歌。
時代の流れに全く逆行したヤッターマンは、しかし放映期間2年という異例のロングヒットとなりました。
その秘密は、制作会社タツノコプロの自由闊達な空気から生まれた、アニメの価値観を破壊する縦横無尽な面白さだったのです。
ヤッターマンのギャグは大人の悪ふざけです。楽屋落ちもそのひとつで、「どうせ今日も負けるんでしょ」というハガキをボヤッキーに読ませ、アニメには作り手がいて声優がいるんだというネタバラシをどんどんやってしまいます。作品の中で世界観を完結させる常識を覆し、作り手と受け手が遊ぶという掟破りの面白さがありました。
また声優さんも相当自由にアドリブしていたようです。
ドロンジョ様がアイちゃんのことを「2号さん」と揶揄したり、「全国の女子高校生の皆さん」とか「ポチっとな」のボヤッキー、「これをやらないと、我輩飯が旨くねぇの!」とか作戦成功しても「いつもやっていることなのでやっておかないと気持ち悪いから」という理不尽極まりない理由で “ママより恐いおしおき”をするドクロベー・・・。
まさにバラエティ番組を作ってるようなノリです。
何より驚いたのは、作品を支えたプロフェッショナル達の凄まじい技術でした。
メカデザインはガンダムをデザインした大河原 邦夫。
キャラクターデザインはFFシリーズの天野 嘉孝。
楽しく勇ましく、ちょっとホロリとさせるクサい歌詞を堂々と謳いあげる山本 正之。
アドリブかましまくる悪役3人のベテラン声優陣。
そして若手からベテランまでスタッフに「父親」のような立場で、自由闊達な場を提供したタツノコプロ創設者 吉田 竜夫。
あの時代に生でヤッターマンを観れた幸せを感じつつ大人達は主題歌を熱唱するのでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示