象は鼻が長い―日本文法入門 (三上章著作集)

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著者 : 三上章
  • くろしお出版 (1960年10月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784874241172

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象は鼻が長い―日本文法入門 (三上章著作集)の感想・レビュー・書評

  •  意欲的で革新的な「日本語文法」の本です。テーマは「は」という助詞の役割です。それがいつの間にか「主語」の話になります。

     本のタイトルである「象は鼻が長い」という文章の主語は「象」なのでしょうか、それとも「鼻」なのでしょうか。三上章氏は「そもそも日本語には主語というものがない」という、一見とんでもない主張をします。

     言語は文法に沿って形作られるものではありません。自然に発生した言語から抽出した法則性が文法なのでしょう。つまり、文法はあくまで「後付け」だと思います。ですから文法には「正しい文法」や「間違った文法」というものはなく、言語の実態をうまく表現している文法が「よい文法」なのだと思います。その意味で、三上氏の主張する文法は「よい文法である」と私には感じられました。学校教育の日本語文法は、あるいは英語文法に毒されすぎているのではないかと思います。

     この本は日本語をよりよく理解するうえでの示唆に富んでいて、日本語の素晴らしさについても読者を開眼させてくれるでしょう。日本語を愛する人たち、日本語でよい文章を書きたい人たちに必読の書だと思います。

  • 日本語の「は」という助詞について検討していく大変ユニークな本。

    ただ、私にとってはやや難しく理解できない部分があり、読んでてつまらなさを感じた。

    ⭐️3としたが、これは上記の通り私の日本語文法知識不足の側面が原因の部分もあり、内容としては素晴らしいものだろうと思っている。

    知識をつけてからこの本にチャレンジし、自分の中での評価を上げていきたい。

    以上

  • なかなか難解。内容を読み取れた自信はほとんどないが、ただおぼろげながら捉えた内容は非常に興味深い。

    この本での主張は主に次の二つ。

    ①「ハ」には主務と兼務とがある。
    ②「ハ」は「ガニノヲ」を代行する。

    「ハ」は文末と呼応して文を完成させることを本務とし、また兼務として中味への関与の仕方も示している。これが主務と兼務という考え方。

    「ハ」というのは元々「ガニノヲ」であったものが「題目」として出てきたものであるから、「ハ」は「ガニノヲ」に置き換えることができる。つまり「ハ」は「ガニノヲ」を代行していると言える。

    それでは仮に「ハ」は主語ではないとしても「ガ」は主語ではないのか?ということになるのだが、三上氏はどうもこの「ガ」を主語ではなく主格として、つまや連用修飾語として目的語や補語と同列に並べているようである。従来の「主語-述語」を主軸とした文法に一石投じていると言えよう。個人的には私もこの案に賛同。言語を学ぼうとする際に、「主語」というものがあまりにも特別に扱われすぎではないか?もちろん英語においてはそれでもいいかもしれないが、日本語だけでなく中国語においても主語というのがそこまで明確でない気がする。

    私は英語や中国語といった外国語を勉強しているが、その中で主語という概念に疑問を持ちこの本にたどり着いた。この本は、日本語だけでなく外国語の世界にも新たな視点をもたらしてくれるものだと思う。

  • 内容には興味があって一度読んでみたかった本だが、慣れない分野なので解らず中断。

  • 日本語「主語」論の古典中の古典。
    現在の言語学や日本語学ほどの理論的道具立てを持たない当時の国語学が、膨大な例文を提示しつつ「主語」なる概念の多義性、不明瞭さを浮き彫りにしていく手法は見事。
    しかし、当然と言えば当然だが、やはり理論的な明晰さは、現代言語学に譲らなければならない。

  • 本書は言語学者である三上章による、日本文法における「は」に関する自説を解説したものである。初版が1960年と古いが増版、増刷され続けている書籍である。

    本書では日本文法論に見られる「主語不要論」の立場において、係助詞「は」の働きについて、「文全体の題目を表し、かつ格助詞『が・の・に・を』を代行するものである」としている。

    確かにこう考えることにより、英語に直訳すると意味不明になる、「は」を使った文章を (英語的に) 自然な形に言い換えることができる。しかし、現在のところ、この三上文法は主流ではないようである。その理由としては、その代行の解釈がややアドホックであることと、これを生成文法 (正しい日本語の文が作れるような形式的規則) として捉えることが難しいからではないだろうか。三上文法は寺村秀夫に受け継がれたようなので、そちらもぜひ勉強してみたいと思う。

    内容は非常に面白いが、文体にやや癖があるので読みにくく、★4つとする。

  • この本を読んで、日本語の能力が随分と上がった気がする。「は」が題目提示なのは、この本を紹介する記事で知っていたが、「は」が、「が」「の」「に」「を」を代行するという機能は、このように説明されなければ、自分の書いた日本語の正しさを、チェックすることすらできなかった。自分は、国語が得意だと思っていたけれど、そうではないことに気付いた一冊。

  • 日本語で使われる「は」について,その役割を細かく見直した書籍.一般的に「は」は主語を示すものと教えられている.主語と述語が基本となる言語観は日本語文法では問題になると著者は強く指摘する.
    自分が作文する際に,今後意識しなければならないところがたくさんあった.

  • 翻訳家の先生に薦められて購入した。
    日本語で厄介な「て・に・を・は」などの助詞について書いてあるのかと思ったらそうではなくて、助詞の「は」のみについて語っている。「は」を中心にして「が・の・に・を」も理解しようという内容の本。
    普通、言語の説明をするときは「主語と述語」の説明が中心になるものなのに、「そもそも日本語を理解するのに主語という概念が間違いの元になっている」という考えに立って、「は」は「主語」ではなく「主題(題目)」を提示するものであるという捉え方をしている。
    非常にわかりやすい考え方で、驚くと同時に大変ためになった。この本は1960年初版で、説明や例文がなじみづらく読みづらいので苦痛に感じる人はいると思うが、それに慣れれば内容自体は比較的わかりやすく書かれている。
    巻末に付録が2つと増補が2つついていて70ページ分くらいあるが、付録1以外は、国語学や論理学の話になっているので、学問的な興味がない人には不要かもしれない。
    自分の文章を良くしたいという人には、本文と付録1のみの200ページで十分。
    日本人なら一度読んでおいて損はない。

    【訂正】
    よくよく読んでみたら、付録2も読む価値のあるものだった。「は」と「が」の違い(性質と関係の違い)を理解するのに役立つ。

  • 学校で習った日本語の文法に納得がいかなかった人は是非一読を

  • 「象は鼻が長い」に用いられるハに着目した本書。
    ハには大きく二通りの解釈があって、一つはガ、二、ヲなど他の助詞の代行というもの。
    もう一つは題目を表わしているというもの。
    両方共に、ハは支配領域が広いため、特に語尾を気をつける他、ガやヲは支配領域が狭いので、述部に対して何が係っているのか注意しなければ明確な日本語とは言えない。

  •  日本語の助詞「〜は」に焦点を絞って書かれた文法入門。一般的に「〜は」は主語を示す助詞として説明されることが多いが、三上氏はこれを否定する。というより主語という概念──文の中で特別な地位を占める主役となる単語──そのものを否定し、日本語に主語はいらないという主張を展開する。

     氏の主張は初版が発行された1960年の時点では主流になっておらず、現在でも主流とは言えないだろう。だから教科書のように“これが正しい答です”という姿勢で書かれているのではなく、通説を批判し自説を主張するという立場を踏まえた記述になっているのが新鮮だ。

     普段使っている言葉の文法を意識することは少ない。難しい単語の意味を調べることはあっても、助詞の意味を大人になってから考え直すことは滅多に無い。けれど、たまにそういう基本的な部分をじっくり検討してみるのは、意外に楽しいようだ。本書は「〜は」に絞って書かれた本だが、もっと他の助詞や助動詞についても勉強してみたくなった。

  • 初挑戦、日本語文法本。かなり前に出版された本だけど、日本語話者として、何気なく使っている日本語。いろいろ考えたら、どんどん迷宮に迷いこんでしまいます。

  • 積読 放置。 寺村秀夫をやるまえには三上章。

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