- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784874243343
感想・レビュー・書評
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ここ数年、日本語学習者は増加の傾向にあります。そうした需要に伴い、教育現場でも新しい教授法を取り入れたり、パターンプラクティスのような機械的練習から離れ、学習者の主体的な学習を支援する活動を考えようとしたりする動きが活発に見られています。
しかし、本書はこうした教育現場の動きに問いを投げています。改善しようとするのはあくまでも教える方法であり、根本的な問題である教える内容に関しては、これまであまり吟味されてこなかったのではないか。本書はそうした「何を教えるか」について問題提起をし、学習者が日本語でコミュニケーションを行う上で、本当に必要な学習項目は何か、不要な学習項目が学習者に負担を与えてはいないか等について論じています。そして「みんなの日本語」など、現場でよく使われている教科書を分析し、現在の学習項目が抱える問題や今後の改善方法について、新たな知見を提示しています。日本語教育に興味を持つ方なら、「何を教えるか」を深く考える機会を与えてくれる、貴重な1冊になると思います。
(ラーニング・アドバイザー/人社 KIM)
▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら
http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1639349詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
教科書をベースに文法的正確さを求める授業&試験を課している身には耳の痛い話ばかりだった。
全体的に文法を目の敵にしているような雰囲気。でも、文法・文型の形式にとらわれすぎた教え方はたしかに再考の余地大有りだけれど、学習者の目的に沿って余計なエネルギーを使わせない学習を追い求めるべきだという意味で、どのような目的であっても最低限押さえるべき文法(知識)というのもやはりあると思う。 -
野田尚史(編) 2005 コミュニケーションのための日本語教育文法 くろしお出版 日本語教育の分野で「文法」をどのように捉えているかが分かる。「日本語学」と「日本語教育学」の違いは何か。その違いはなぜ生じるのか。(2010:黒崎先生推薦)
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日本語教育の現場で考察が必要なのは、
その教え方だけではなく、
その根幹をなす「教えるべき文法」であると、
「コミュニケーションのための日本語教育文法」を提案した論文集。
野田尚史の「日本語教育文法の設計図」をもとに、
「方針」と「実際」の二部構成(+「設計図」)。
内容もおもしろいが、あとがきがお疲れ様会のようで
研究者陣の苦労が垣間見える。
【目次】
この本の目的と構成
コミュニケーションのための日本語教育文法の設計図(野田尚史)
第1部:コミュニケーションのための日本語教育文法の方針
コミュニケーションに役立つ日本語文法(小林ミナ)
日本語学的文法から独立した日本語教育文法(白川博之)
学習者の習得を考慮した日本語教育文法(田中真理)
学習者の母語を考慮した日本語教育文法(井上優)
第2部:コミュニケーションのための日本語教育文法の実際
コミュニケーション能力を高める日本語教育文法(フォード丹羽順子)
聞くための日本語教育文法(松崎寛)
話すための日本語教育文法(山内博之)
読むための日本語教育文法(宮谷敦美)
書くための日本語教育文法(由井紀久子)
あとがき
索引
著者紹介 -
M1のとき買った本。内容はかなり面白くて、これまでの日本語教育文法を改めて見直させてくれる本だ。