わけあり記者

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著者 : 三浦耕喜
  • 高文研 (2017年6月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784874986233

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わけあり記者の感想・レビュー・書評

  • 昨今、長時間労働や介護離職の弊害が叫ばれ、「働き方改革」が喫緊の問題として、メディアに取り上げられるようになってきました。
    本書の著者は、長時間労働の末にうつ病となって長期間の療養を余儀なくされ、ようやく職場復帰を果たしなものの、父親が要介護認定を受け、母親も認知症となり、介護転勤を決断しました。
    そのうえ、自身はパーキンソン病を発症するという厳しい状況にあり、まさに日本社会が抱える喫緊の問題が凝縮された日々をいます。
    著者の両親のダブル介護の新聞連載は大きな反響を呼び、さまざまな「わけあり」を抱えた読者の心を揺さぶりました。
    著者のユーモアあふれる文章を読むと、「わけあり人材」こそ日本社会の宝ではないかと思わせてくれる、元気の出る1冊となりました。
    著者の言葉、「三浦の悩みは日本の悩み。日本の悩みは三浦の悩み。三浦一身の悩みは、一切民衆のさまざまな苦しみに通じている」を多くの読者に届けたいと思います。(出版社からのコメント)

  • 介護に関しては、近い将来自分自身にも責任が生ずる可能性を感じての切実な問題として、真剣に考えるきっかけを作ってくれた。

  • 51)足を踏んだ者に踏まれた者の痛みは分からない。家庭から国際社会に至るまでどこにでも生じているありふれた現象だ。
    78)「あなたは犬の群れの中で猫として生きてきたのね」犬=主人に忠実/猫=マイペース
    83)一将功成りて万骨枯る
    勝利の為兵士は倒れ、名も刻まれぬまま大地にうち捨てられる。美名をほしいままにするのは兵士に死ねと命じた将ばかりだ。
    あなたの前で編集幹部が得意満面になっているのは、あまたの兵隊の犠牲の上なのですよ。
    84)自分は大の政治嫌いだ。でも嫌いだからこそ政治好きばかりに委ねていいものかという使命感で自分を支えてきた。例えば役所が原子力報道を監視するのは当然といった感覚がまかり通る政治部であってはならない。そういう統治する側の視点に染まり、それが正しい、当然と信じて疑わないのが耐えられない。でもそれは「やりたい」という意欲ではなく「やらねば」という義務感。政治好きの記者が一の力で済むことも二倍三倍の努力が必要になる。多勢に無勢の官邸、先輩との摩擦、ついにエネルギーを枯渇させるに至った。
    「そもそも仕事ってやりたくてやることなのか」
    「自分は相撲が好きだと思ったことは一度もない/貴乃花」
    87)僕は期待していたのだ。それが僕を苦しめていたのだ。周りが変わればいいと期待しているうちは期待は常に破られ、その度に心は荒む。ある意味希望とは期待を捨てることから始まるのかもしれない。ありのままの事実を淡々と受け入れるというか。
    88)絶望する度私はいつも歴史を振り返る/ガンジー
    暴君や無慈悲な為政者は過去にもいた。一時は無敵に見えるが最後は必ず滅びるのだ。
    本居長世/童謡作曲家→不遇=軍歌を作らない
    力によって勝った人を私は英雄とは呼ばない。
    英雄と呼ぶのは心によって偉大だった人だけである。/ロマンロラン
    不幸な人よ、あまり嘆くな。最良の人は不幸の人とともにいるのだから。
    92)現代は待つことができない時代になった。便利にはなった。だが待つことの豊かさと味わいを知ることは少なくなった。
    待つこと。それは心の余裕と優しさの表れである
    相手が来るのを待つこと
    人が話を言い終わるのを待つこと
    妻の準備が整うのを待つこと
    お年寄りが電車を降りるのを待つこと
    子供の成長を待つこと
    病が癒えるのを待つこと
    自分を信じて待つこと
    待つことに飽きずに待つこと
    僕も待っている。自分の中で何かが発酵していく音に耳を澄ませながら
    96)僕の人生は僕ただけのものではない。父母がいてご先祖がいたからこそ僕がいる。妻、友、同僚に支えられて僕がいる。気の合わぬ人もいた。でも強烈な問題提起をもたらし、その摩擦力で僕を磨いてくれた。その全ての人から僕は自分の人生を預かっている。
    辛抱しながら考える、一切の禍は何かしらよいものを伴って来ると/ベートーベン
    98)ハンディを負うと人の心根が見える。多くの人は優しかった。ハンディを負う者は世の良心を掻き立てる使命がある。ありのままの姿をさらすことで周囲の人に考えること行動することを促す
    101)たけ狂う大波のような決意も勇ましいが、静かに満ちていく潮のような決意も、多分ある。
    109)自分の思い通りにいく人生は満足でしょう。ですが人間の小さな頭で想像できる幸福には限界があって、自分が想定する範囲で決められる人生は大したものではないのではないか。だから決めたのです。想定外の未来へと自分を投げだすことを。自分の想像を超えた向こうに幸せを掴もうと
    131)冬来たりなば春遠からじ。冬は必ず春となる
    156)一難去ってまた一難。人生の総仕上げに向かって進む命に付き添うとはこういう事の繰り返し
    161)施設の空きは椅子取りゲーム=老人漂流
    ~だからと流されていれば落ち込むばかり。重力のまま地に墜ちていく接続詞ではなく、逆風を揚力に変える接続詞=~にもかかわらず
    人生の経験値が上がる
    168)人生の最初と最後は生きていくのに人の世話になる。人の間と書いて人間というのは実に的確
    175)介護は災厄ではない。認知症だけで'25までに7百万人超という時代だ。身内に介護を抱える方が国民の標準装備になる。

  • 2017/6/27
    オスメする。

  • 文の歯切れがいい。
    だから、文が読みやすい。
    長年、記者として言葉と格闘してきたからなせる技だろう。

    加えて、氏の文章には誠意と可笑しさがある。
    これは、なにゆえか。

    心の奥底が図らずも露呈してしまうのが、言葉の怖さだ。

    私も「わけあり」だ。
    日々葛藤している。

    氏が語った「にもかかわらず」で、私もすすみたい。

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わけあり記者の作品紹介

うつ病を患い、両親のダブル介護、さらに難病認定された著者がつづる、「わけあり」ドキュメント!

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