- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784875020981
感想・レビュー・書評
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地球の生命圏を象徴するものをギリシャ神話の母なる大地から「ガイア(Gaia)」と呼称し、地球が宇宙に誕生してからどのように地球環境やそこに棲む生命が発達してきたかを説く。そして人類を地球に棲む生命のひとつと位置づけ、人類も〝ガイア〟の一員としてどのような働きかけが出来るかを、エントロピーの話題を用いながら考える。
突飛でセンセーショナルな内容ではなく、中学高校と科学や生物の勉強をする中でおそらく教えられてきたことや、それを発展させた内容が使われているので、あまり理科の話に馴染みが無くても身構えることなく読めると考える。何より「ガイア」の例えが詩的である点や、時折SF的な例えが用いられるところは、誰でも別け隔てなく楽しめると思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
wired・科学・第9位
mmsn01-
【要約】
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【ノート】
地球がひとつの生命体であるとみなす「ガイア仮説」を提唱。あなたのパソコンやiPhoneの画面に浮かぶ「地球」のイメージは、ここから始まる。
◆ユーザーからのコメント
システム融合としての地球を捉える視点はよかった。内容はどこまで真実か知らんけど -
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原題は『GAIA: A new look at life on Earth』。ガイア仮説からガイア理論に発展した思想の原典である。この仮説の出発点は、「大気をはじめとする地球のさまざまな無機特性を観察することから始まっている」 1970年代、NASAによる火星探査に先立つ地上調査が行われ、著者らが火星と地球ではその大気組成に大きな違いがあることを発見した。そして導き出されたのが、地球の大気組成はきわめて不思議な非平衡状態にあり、地球を総体としてその平衡状態を自動調節する機能(サイバネテックス)を持っている有機体、つまり巨大な一個の生命体とみなす、という大胆な仮説であった。 原著発刊当時、ガイア仮説はほとんど無視された。リン・マーギュリスとカール・セーガンを除いて。しかし、後にオートポイエーシスや自己組織化の地球生成などとともに認められるようになった。 太古の苛酷な地球環境(太陽はまだ弱々しく、強烈な放射線にさらされ、遊離酸素がほとんど存在しない状態)から生命の旅が始まったという。ラヴロックは努めて悲観的になり過ぎないよう、科学的洞察力と平常心をもって仮説を説こうとしている。たとえばレイチェル・カールソンの悲観論にやんわりと反意を表すというように。彼の視点は、今日のエコロジストの心情からすればあまりにも楽観的に思えるかもしれない。第7章「ガイアと人間― 汚染問題」の末尾で、「唯一の汚染― それは人間なり」と言っているのは彼の本心でもあり、人間中心主義に対して唯一見せたシニシズムでもあろう。 また、この訳者による翻訳は全般的にわかりやすく良質である。しかし、“訳者後記にかえて”は翻訳者の立場を越えて自己主張しすぎであり、読むに耐えない。また、そこに書かれている内容は一部明らかにナイーブすぎる。本文中にも訳注と称して妙な疑問や間の手を差し込んでいるのは笑止なだけでなく、著者に対して不誠実であり、同時に編集者の良識を疑うものである。(澤田哲生)
出版社/著者からの内容紹介
宇宙飛行士たちの証言でも話題になった「地球というひとつの生命体」。大気分析、海洋分析、システム工学を駆使して生きている地球を実証的にとらえ直す。ガイア説の原点。
目次
第1章 序章<BR> 1 火星の生命探査計画にはじまる<BR> 2 地球生命への新たな視座<BR> 3 ガイア仮説の誕生 <P>第2章 太初に<BR> 1 過酷な環境下での生命の出発<BR> 2 生命活動と大気の循環<BR> 3 生命圏による環境調整<BR> 4 嫌気性の世界と危機の克服 <P>第3章 ガイアの認知<BR> 1 ガイアの仕事と偶然の産物のちがい<BR> 2 平衡世界と生命なき安定状態<BR> 3 生きている世界<BR> 4 ガイアの死についての思考実験<BR> 5 SF「ネッシン博士の異常な愛情」 <P>第4章 サイバネティックス<BR> 1 直立作業のサイバネティックス<BR> 2 直線論理から循環論理へ<BR> 3 体温調節とホメオスタシス<BR> 4 ガイアの自動制御システム<BR> 5 正と負のフィードバック<BR> 6 情報と自由エネルギー <P>第5章 現在の大気圏<BR> 1 宇宙空間からの地球像<BR> 2 大気圏の構成<BR> 3 酸素と生命圏<BR> 4 メタンの機能<BR> 5 亜硫化窒素とアンモニア<BR> 6 窒素ガスと微量ガス<BR> 7 二酸化炭素と水蒸気 <P>第6章 海<BR> 1 〈水球〉としてのガイア<BR> 2 海はなぜ塩からいのか<BR> 3 生きた細胞と塩分<BR> 4 海はなぜもっと塩からくないのか<BR> 5 ガイアの塩分コントロール<BR> 6 硫黄収支の謎を追う<BR> 7 海洋開発の前に <P>第7章 ガイアと人間:汚染問題<BR> 1 「昔はよかった」の呪縛を超えて <BR> 2 自然界の汚染物質<BR> 3 地球と生命を脅かすもの<BR> 4 オゾンを消衰させるもの<BR> 5 ガイアと調和するテクノロジー<BR> 6 海洋農場の危険性<BR> 7 全地球的な目くばりを <P>第8章 ガイアのなかに生きる<BR> 1 人間中心の生態学を超えて<BR> 2 ガイアの制御プロセス<BR> 3 ガイアの健康を保つために<BR> 4 人間の歴史と全地球的環境<BR> 5 都会の科学者によるモデル操作の限界<BR> 6 オルタナティヴ・テクノロジーの可能性 <P>第9章 エピローグ<BR> 1 思考・感情とガイア<BR> 2 パートナーの一員としての人間<BR> 3 ガイアと知性<BR> 4 われわれの中のガイアのめざめ -
同書はディープエコロジーにも影響を与えた
環境思想の古典的な一冊です。
”地球そのものが生き物である”という素朴な発想を
初めて科学的な言葉を使って整理したものだといえます。
エントロピー論も別の仕方で”地球も生きている”
という発想を理論的に述べているので、
個人的にはその関係について興味があります^^;
本文にも書きましたが、生態系をめぐる言説が、
人類のセーフティネットとしての遺伝子資源を確保する
生物多様性という概念に吸収されている今日、
彼の視点は生態系の重要性に別の角度から光を当てており、
その点が生かせそうです。
本文はこちらにアップしています→
http://www.geocities.co.jp/WallStreet/7734/environment/enviro-list.htm#01 -
▼大学に入って最初に注文した本『GAIA: A new look at life on Earth』の和訳モノ。日本で最初に和訳してやる!と勢い込んでいたものの、購入した段階で安心してしまいそのままホコリをかぶっているうちに出版されてしまったという情けない逸話付き。▼スワミ・プラブッタ氏の翻訳は多分に情緒的に流れ、ラヴロック氏本来の地球と人間・動植物に極相を置かない(ある意味突き放した)科学的視点にくらべ、読者をエコロジスト側に誘導しようという意図が見え隠れするが、その辺を見切ってしまえば、やはり画期的な仮説本でしょう。