妖怪草紙: あやしきものたちの消息

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  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784875021391

作品紹介・あらすじ

今は昔、山中に、海中に、あるいは地下に…日本中のそこかしこにあやしきものたちが息づいていた。鬼や龍、河童や天狗と呼ばれていた彼等が、われわれの前から姿を隠してから、それほど長い時が流れたわけではない。日本史と日本人の精神の裏面で跳梁を続けたあやしきものたちは、次の機会を眈眈と狙っているにちがいない。今、荒俣宏、小松和彦両氏によって、現代の都市が忘れかけていた闇の息吹きが甦える!!古代から近未来まであやしきものたちの総出演。

感想・レビュー・書評

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  •  このところの暑さに参る日々を送っていると涼しいものを求めたくなるのが人間だ。アイス、かき氷、何とかフラペチーノ、お化け屋敷、松居何とかのYouTubeなど。夏と言えば、妖怪の季節ということで、池袋西武で開催していた古本まつりで手に入れた今回の本を取り上げる。





     荒俣宏と小松和彦の2人の対談だけにワクワクして本を開いた。何しろ2人とも妖怪には造詣が深いだけに、どんな妖怪話が飛び出すか。





     所々にいろいろな妖怪のイラストが描かれているが、それほど怖さを感じない。まあ、人にもよるだろうが。





     現代社会は妖怪にとって住みづらく用がない社会とかしているようだ。その一つの要因に証明を取り上げている。日本、特に東京や大阪の繁華街はキラキラどころがギラギラと照明だらけで明るいを通り越している。日本を訪れる外国人は、この明るさに驚いてしまう。適度な暗さがないと闇の部分を意識しなくなる。暗い部分がないと怪しさや怖さが引き立たなくなるからなあ。





     それと、幼いころから合理的に物事を考えるようになったので、ファンタジーの世界に生きる体験をしなくなっていると指摘している。子供にとって未知なる空間がなくなり、お稽古事や塾通い、ゲームで遊ぶといったことで妖怪の出番がなくなっている。





     大工と河童の意外な関係が語られていてびっくりした。いわゆる河原者と呼ばれた、中世ごろから京都の河原などに住み様々な職業に就いた人たちや、土木工事に関わった人たちの出自に関係しているようだ。





     なんだかわからない生き物について村の故老が出てきて、これは河童じゃと決めて一件落着となるパターンが多いとある。昔のことだから平均寿命の短い時代を長く生きてきた人たちの言うことだから威力があったのだろうか。今だったら、「何言ってるんだ、このジジイ」でチャンチャンの可能性がある。





     釣り好きな人と言えば、太公望が浮かんでくるが、その人はただ釣りをして遊んでいたわけではなかったのを知って驚いた。釣りをしていた理由は、珠を探していて釣った魚を釣り上げて腹を裂いて珠を手に入れるためだった。





     2人の関心領域の広さにはただ驚かされる。そうでなければこんな本を出版できない。出版されたのが1987年なので現代版ならどうなるのか気になるところだ。 
      

  • 荒俣宏×小松和彦という、異界妖怪好きにはたまらない組み合わせの対談。だからこそ、妖怪好きならわかってるでしょ?という部分の解説がないまま話がディープに進んでいく。予備知識があるほうが「そうそう! やっぱそうなんだよね」と楽しめる。

    ただし、解説が欄外に多数あるので、異界の知識がなくてもある程度は読める。

    晴明の式神は河原の民だったという話とか、天狗や河童、狐の解釈だとか、異界を現実的に解明して分析している一方で、映画「帝都物語」撮影中の怪事件や、小松先生がテレビ収録に行くと必ず機械に異常が起こるとか、解釈できかねる出来事も紹介してるのが面白い。

    持ってたの忘れて古本で再度買ってしまった。
    だって荒俣さんと小松せんせなんだもの。

  • 見返し
    ◎今は昔、山中に、海中に、あるいは地下に・・・日本中のそこかしこにあやしきものたちが息づいていた。鬼や龍、河童や天狗と呼ばれていた彼等が、われわれの前から姿を隠してから、それほど長い時が流れたわけではない。日本史と日本人の精神の裏面で跳梁を続けたあやしきものたちは、次の機会を眈眈と狙っているにちがいない。今、荒俣宏、小松和彦両氏によって、現代の都市が忘れかけていた闇の息吹が甦る!!古代から近未来まであやしきものたち総出演。−◎

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著者プロフィール

作家・翻訳家・博物学者。京都国際マンガミュージアム館長。
平井呈一に師事、平井から紹介された紀田順一郎とともに、怪奇幻想文学の日本での翻訳紹介に尽力。のち活動の幅を広げ、博物学をはじめとして多ジャンルにわたって活躍。
主な著書に『妖怪少年の日々』、『帝都物語』シリーズ(ともにKADOKAWA)、『世界大博物図鑑』(平凡社)、『サイエンス異人伝』(講談社)、『江戸の幽明』(朝日新書)など。『怪奇文学大山脈』Ⅰ~Ⅲ(東京創元社)を編纂。

「2021年 『平井呈一 生涯とその作品』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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