生命とストレス―超分子生物学のための事例

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制作 : Hans Selye  細谷 東一郎 
  • 工作舎 (1997年7月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784875022848

生命とストレス―超分子生物学のための事例の感想・レビュー・書評

  • ・各患者が階段教室に連れてこられると、教授がおごそかに、また注意深く述べたことは、患者はすべて自分は病気だと感じており、外からも病気に見えるし、また舌苔があり、多少とも関節全体に鈍痛があり、食欲不振と体重の減少をともなった胃腸障害があるということでした。
    また、往々にして、熱があり、脾臓と肝臓が肥大し、蛋白尿も見られ、扁桃腺が赤くなり、皮膚には発疹がありました。しかし、教授はこのようなことにあまり意義を認めていませんでした。
    ついで教授は、特定の病気の診断に役立つと思われる二、三の目立った特徴を数え上げ、これこそわれわれすべてが注目すべき重要な諸点であると言いました。これらの特徴があらわれてくるまではあまり手を加えてはいけないのです。なぜなら、その特徴があらわれるまでは、どんな診断を下し、どんな治療をすればよいか決定することはできないからです。
    …40年以上経ちましたが、そのような考えにたどりついたときの深刻な印象を、今日でもはっきりと思い出すことができます。忘れもしないそのとき以来、どうにも理解しがたかったのは、医者は「まさに病気である症候群」に注意を向けることをせず、個々の疾病の識別とそれに対する特効薬の発見に全力をあげるべきだという考え方でした。確かに一つひとつの疾病に対する治療薬を見出すことが重要だとしても、病気のメカニズムと個々の病気すべてにあらわれてくる「病気の一般的症候群」をとり扱う手段を学ぶのは、もっと必要なことではないのでしょうか。

    ・卵巣抽出ラットおよび脳下垂体摘出ラットの両方に、「新しい卵巣物質」を含むと思われる卵巣抽出物と胎盤抽出物を注射してみました。これにより、これまでの卵巣ホルモンとは違った変化があらわれてくるかどうか、実験動物の器官を調べてみたのでした。
    もっとも不純な抽出物を用いても、確かにそのような変化が現れることを確認して、私たちは満足しました。卵巣摘出ラットにおいて、これら抽出物は次のようなことを引き起こしました。
    ①副腎皮質の明白な肥大
    ②胸腺リンパ系の急性萎縮
    ③胃と十二指腸の出血性潰瘍
    この奇妙な三つ組の現象はこれまで知られていたどのホルモンによっても引き起こす事ができなかったものです。そこで、卵巣の中に、何か別の、未知の因子―おそらくホルモン性のもの―があるのではないかと考えたくなったわけです。
    (その後の実験で腎臓、皮膚、脾臓などどんな組織の抽出物からも同じ症候群が発現。ふと毒性のあるホルマリンを投与して同じ結果が得られたことからホルモンは無関係であることが分かった)

    ・この症候群がどれだけ非特徴的であるのをまず問うべきだと考えました。これまで私たちは外来の物質(組織抽出物、ホルマリン)を注射することによってのみ、この症候群を引き起こしてきました。次に行った実験では、純化したホルモン(たとえばアドレナリンやインスリン)、物理的作用因(たとえば寒冷、熱、X線、傷、激しい音や光)、出血、痛み、あるいは強制された筋肉運動によっても同じ症候群が生まれることがわかりました。実際、有害な刺激でこの症候群を引き起こさないものはないことがわかりました。

  • ストレス研究の創始者

    「適応エネルギー」
    「私たちは体のいたるところに、予備の適応能力あるいは適応エネルギーを蓄えているように思われる(……)。われわれのあらゆる適応能力が使い尽くされたとき初めて、不可逆的な全身的疲労と死がもたらされるのである」

  • ストレスが胃潰瘍を引き起こすメカニズムは明らかではない。ストレス潰瘍の形成において主導的役割を演じているのは神経刺激であって、毛中コルチコドレベルはその感受性を高めている。
    ストレスが心筋梗塞を引き起こすかどうかは、ある種の化学物質で条件付けしておくことによって予測できる。

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生命とストレス―超分子生物学のための事例の作品紹介

ストレス学説の創始者ハンス・セリエが、みずからの体験をもとに、科学的発見をめぐる「方法」と「精神」を語る。「詩人」の直観的把握力による生命へのアプローチを通じ、いち早く近代生命科学の限界を指し示した歴史的講義録。

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