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- Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
- / ISBN・EAN: 9784875130574
作品紹介・あらすじ
本書では、国鉄の解体消滅の独自の事情やその特異な状況を取り上げて、国鉄が改革されていった経過を解明する。
感想・レビュー・書評
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タイトルとおり国鉄改革について書かれた本。著者は国鉄出身の交通評論家として知られる人であり、民営化について提言した人物でもある。本書事態は1996年出版であるが、本書内で国鉄民営化議論の中で鉄道は公共物であるということと、総合交通体系という概念に対して、激しく抵抗を示していることが特徴的であった。2021年現在においては、上記2概念は鉄道の公共交通としての位置づけを考える上では非常に重要な概念であるが、過去には切って捨てられて省みられなかったのである。その後知ったが著者は交通政策については、演繹的に思考するのではなく、現象から分析することを重視していたようである。上記概念についてはあくまで概念の枠しか提示できておらず、中身が伴っていなかったために、著者は激しく抵抗を示したのであろう。近年では、上記概念を実際に計量する取り組みがなされており(本書内でも、都留重人の「現代経済学」の引用でフレームは提示されている)、その場合著者はどのような見解を示しただろう。まあ、それ以前に国鉄労使ともに緊張感をもって仕事で来てなかったというのが実態なんだろうが、そんなこと言われた本人が「はい、そうです」とは言わないだろうからな。それと、公共性を前面に押し出すにも関わらず、膨大な設備投資にかかる予算を公共補助しなかった自民党政治家や自治体等もよくわかり、日本の政治特有の問題だったのだなと思った。
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