力への思想

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  • 學藝書林 (1994年9月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784875170082

力への思想の感想・レビュー・書評

  • 竹田青嗣と小浜逸郎の対談です。両者はともに、「エロス」という概念を機軸に実存的な立場からさまざまな問題を論じていますが、竹田自身が「あとがき」で述べているように、竹田は「認識原理とか世界像の原理問題に偏向的好みをもっている」のに対して、小浜は「まさしく生活世界の思想家で、ことに「子供」「教育」「家族」といったテーマについて、独自の強靭な思想を積み上げてきた」と言えます。本書ではこの2人が、「エロス」という基本原理について語り、また恋愛や結婚、フェミニズム、差別、死、さらには心霊現象など、文字通り多岐にわたるテーマについて語り合っています。

    私自身、かつて竹田の実存的な欲望論の立場に非常に感心させられたことがあり、その延長で立場の近い小浜の著書もいくつかまとめて読んだこともあったのですが、今では両者のかかげる実存的な立場は、どこにも行き着くことのない、袋小路のような思想ではないかという気がしています。また、小浜はフェミニズムに代表される社会構築主義を執拗に批判し、竹田はデリダや柄谷行人らのポストモダン思想に見られる懐疑論的な発想を現象学の立場から原理的に批判することを試みていますが、これらの議論は妥当とは言えず、せいぜいのところ俗流パラダイム論に対する批判にしかなりえないと考えています。

    そういうわけで、この2人の思想に対する興味を失いつつある中で読んだため、否定的なところが自棄に目につくといった案配でした。著者たちの思想に関心を抱いていたときだったら、もっとおもしろく読めたのではないかと思います。

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