横山メタロジック会話英語の実況中継

著者 :
  • 語学春秋社
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784875686118

作品紹介・あらすじ

「会話英語問題」はこの1冊でOKです。
センター試験に代表される従来型の会話問題から、東大・慶應大などで出題される新傾向の会話問題まで、幅広く網羅しています。

感想・レビュー・書評

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  •  大学受験業界で「ロジカル・リーディング」を初めて提唱した著者による、"Logical Code"を使って会話問題を解く方法と「画一的なロジックでは通用しない問題」(p.iii)に、「生きたコミュニケーションを生けどるしなやかで流体的な『メタロジック』」(p.iv)を使って解く方法について解説した実況中継。全部で33の会話問題が解説され、うち半分以上はセンターの問題、そしてちょっと長めの基本的な問題(=Logical Codeを使って解く問題)をいくつか、最後に著者のいう「メタロジック」を解説する島根大の長文問題と、「メタロジック」を使って解く慶応法学部の問題3題。「補講 西洋と東洋のアイデンティティー」として、会話問題の背景にある、発想や精神性といったことまで解説されているところが特徴的。
     まずはしがきで、自分が提唱したロジカルリーディングなのに、「たちまちその方法論や名称が、英語はおろか現代文でも乱用され、受験生の間にさまざまな誤解を招いてしまいました」(p.v)みたいな、自分が本家本元ですという話を聞かされる。でも正直おれはロジカルリーディングすら何なのかよく分かっていないので、こんなにすごい読み方を提唱しました、という自慢話にしか聞こえない。そして、全体的に「予備校語」とでも言うべき、著者独自に編み出した用語が徒に多い。そもそも"Logical Code"もそうだけれども、「ロジカルタイプ」とか「イナーシャ」とか「ワラント」とか「話脈」とか「スケゾフレニック」とか、解説以前にそこに引っかかってしまう。会話問題に限らず、どんな問題でも「雰囲気」とか「感覚」で解くのは間違っている。けれども「シチュエーションは形式論理にはほとんど何の関係もない」(p.118)から、リード文は別に解答に影響はない、とか、それは言い過ぎなんじゃないか。というか著者の「ロジック」を完璧に用いるために、わざわざ排除しているようにしか思えない。絶対消去法で解け、というのもそう。本末転倒、手段と目的が逆になっているような感じ。別にそんなことしなくても、パッとどれが正答か、なんて断言できるものなんじゃないのか、と思ってしまう。リード文は重要じゃないといっておきながら、「(c)を見てごらん。『日付』が問われてる。これは上智系の計算問題。ちょっと注意が必要です。(略)リードを先に見ておいたほうがいいね。計算問題があるかどうかで、かなり読み方が違ってきますから。」(p.130)って、何でこうなっちゃうの。別に上智だから同志社だから、計算問題だから、って基本はちゃんと全部読むんじゃないの。精読か速読かみたいなそういう読み方の違いはあったとしても、読まなくていいとか、重要じゃないとか、そんなことは全部解いた後で分かればいいことであって、結局テクニック的になってしまっている。そもそもセンターはロジックで解ける、でも東大とか慶応法はメタロジック、とかを見分けることに何の意味があるんだろう。どの大学の問題であっても全部ちゃんと読むでしょう。仮に「形式論理」を使って問題を解いたとしても、無意識的かもしれないけれども「場や関係性」を判断しながら解くから早く正答にたどり着ける訳であって、なんか「ロジック」にこだわりすぎたあまりに、訳分からないことになっている印象。
     基本的な会話問題の鉄則(Logical Code)を打ち出すところまではいいんだけど、その使い方とかメタロジックとか、もっと言えば精神性の話もなんとなく衒学的で、もっとシンプルにいろんな問題に取り組む方が力がつくのではないかと思った。さらに、要するに語用論的な話をメタロジックとか著者は呼んでいるが、著者は言語学をどれくらい勉強したことがあるんだろうか。「言霊学」(p.225)とかよく分からない学問に触れる前に言語学をやっといて欲しい。(16/11/13)

  • このひとの本は毎度入門書として深いです。
    「もっと知りたい!もっと読みたい!もっとだべりたい!」
    そう思わせてくれる見えないチカラを秘めています。

    受験勉強界から引退してしまったそうですが、文体からそれも伝わってきます。

    受験に縛られずに、もっとブログや本を書いてもらいたいなぁ。

    『ロジカルリーディング』を10年ぶりに段ボールから引っ張り出して、本当に良かった☆

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著者プロフィール

横山 雅彦(よこやま・まさひこ):1964年兵庫県生まれ。東京外国語大学大学院地域文化研究科博士前期課程修了。現在、関西国際大学准教授。著書に、『高校生のための論理思考トレーニング』『「超」入門! 論理トレーニング』(ちくま新書)、『大学受験に強くなる教養講座』『完全独学! 無敵の英語勉強法』『英語バカのすすめ──私はこうして英語を学んだ』(ちくまプリマー新書)、『ロジカル・リーディング──三角ロジックで英語がすんなり読める』(大和書房)などがある。

「2023年 『英語のハノン フレーズ編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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