蜘蛛女のキス

  • 劇書房
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本棚登録 : 17
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (113ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784875745587

作品紹介・あらすじ

これは映画化もされたマヌエル・プイグのベストセラー小説『蜘蛛女のキス』の、作者自身によって劇化された台本である。刑務所の小さな監房という脱出不能な空間に男が二人閉じこめられている。一人は若いブルジョワ育ちの革命家。もう一人は母親想いの中年のホモの男。その境遇においても思想においても、極めて異なる二人の男の、孤独で退屈な時間を取り持つのが、映画の話である。作者は映画の話を起点に、二人の男を巧みに愛に導き、別れと死を用意する。そして観客はその2人の間に流れた、魅力的で不思議な、豊かな時間を体験する。

感想・レビュー・書評

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  • 戯曲版もあったとは知らなかった。これもまた純愛なんだろうと思う。いずれ小説版も読む。

  • ずーっと気になっていて、ようやく読めた本です。いや、台本です。

    若い革命家の男と、母親思いの中年のゲイ。
    2人の刑務所内での会話が延々と続くんですが・・・

    なかなか良かった!
    うーん、時代背景のためか、バレンティン(革命家の方)にはなかなか感情移入ができないのだけれど。
    あと、芝居で見たら自然なのかもしれないけど、文字で読むと、話題の転換が急な気もしますが。

    全体の雰囲気というか、つながり?に飲まれる感じで読めました。
    特にラスト!!!!
    ト書きと台詞、あわせて、自分なりに映像を思い浮かべてみたら・・・泣ける泣ける!

    ビジュアル的には「中年の」ってとこを脳内ではすぐにゆがめてしまうのだけれど(笑)

    トーマ的背徳感ではなく、全体に流れる気だるさと・・・なんだろう?幼さ?って言葉であってるのかな??(年齢的にはこっちが大分上なのだけど・・・)
    流れている途中の一瞬をせき止めた、封じ込めたような濃い時間です。
    刑務所って場所もあいまって、何気ない会話なのに「もしかしたら最後かもしれない」と思わせる何かがあります。

    表紙について・・・
    2人の人間が寄り添ってる様にも、背を向けているようにも見えるし、また、2つの棺にも見える。象徴的ですね。

  • エロスとタナトスとはこの事か! 私に初めてそれを教えてくれた作品でした。何がすごいって、訳者の後書きがすごい。最後のキスにもっと深い意味が込められたいたことなど、後書きを読まなきゃ、私はこの作品の深さをちみっとしか理解できなかったと思います。勉強不足をとても反省させられました。

    舞台見てみたかったけど、日本での初演が私の生まれた年・・・。
    とりあえず映画を見てみようかな。

  • 題名から想像していたものとは随分違いました。内容というよりその雰囲気がです。もっと艶かしい感じなんかと思ってましたが、こういう言い方は変だけど爽やかでした。

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著者プロフィール

1932-1990年。アルゼンチンの作家。ブエノスアイレスの大学を卒業後、イタリアへ留学し、映画監督・脚本家を目指すが挫折。ニューヨークで書きあげた長篇『リタ・ヘイワースの背信』を1968年に出版、帰国後発表した『赤い唇』(69)はベストセラーとなるが、『ブエノスアイレス事件』(73)は発禁処分、極右勢力の脅迫もあってメキシコへ亡命。世界各地を転々としながら、『蜘蛛女のキス』(76)、『天使の恥部』(79)などの話題作を発表。巧妙なプロットと流麗な語り、現代的な主題で幅広い人気を博した。

「2017年 『天使の恥部』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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