見えないもので宇宙を観る (学術選書 7 宇宙と物質の神秘に迫る 1)
- 京都大学学術出版会 (2006年2月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (153ページ)
- / ISBN・EAN: 9784876988075
作品紹介・あらすじ
プトレマイオスは肉眼で宇宙を観測していた。ガリレオは望遠鏡を利用できたが、やはり可視光が頼りであった。20世紀になって人類は「見えない電磁波・X線と赤外線」の目を手に入れ、強力なエネルギーを発する現象を理解するようになった。そして21世紀、「重力波」の目が開かれれば、初めて宇宙の大規模構造を明らかにできる。今ある謎を解き、新しい謎を見つける楽しさを知る。
感想・レビュー・書評
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学術選書というからとても難しいものを想像していたけれど、専門ではない人々向けの、誤解を恐れずに細部をすっ飛ばした本だった。「常識を放棄してください」(p.77) などと言われると乱暴に思われるかもしれないけれど、10 次元を 3 次元で説明するのはどだい無理なことなのだろう。
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見えないもので宇宙を見る、
このテーマは最近ではよくある話題で、
可視光以外の電磁波やニュートリノなどの素粒子、
重力波などでの天体観測の話です。
本書は京都大学のあるプログラムの一環として行われた
講演会を本に起こしたものだそうです。
テーマはX線天文学、赤外線天文学、重力波天文学も3つに分かれ、
それぞれ専門の講師が講演しています。
そのため、講演者=著者の上手い下手が正直原稿にも出てしまっているな、読んでいてそう感じてしまいました。
会場内での質疑応答のやり取りも一部?掲載されていましたが、
これも中途半端な感が否めませんでした。
もしかしたら講演自体は分かりやすくおもしろいもので、
それを文字に起こしたときにダメになってしまったのかもしれません。
話し言葉と書き言葉は違いますから。
研究の最前線が講演する、本を執筆する、
そのこと自体は、研究のおもしろさを伝えるために必要です。
ですが、研究者は伝えることが本務の全てではありません。
そのあたり、個人差があるのは仕方ないことですし、
難しいところでもあるな、と感じた一冊でした。 -
NHKの爆笑問題の番組で紹介されていた、宇宙をX線で観測するという研究に取り組んでいる小山勝二先生の本(共著だが)、図書館で借りてみた。そうか、確かに背景輻射も肉眼で見える光もX線もガンマ線も同じ電磁波で、違うのは波長だけなんだものな。肉眼で観測される宇宙の姿が、本質的な宇宙のほんの一側面しか捉えられていないのは当然なのだ。今や様々な波長に対応した複数の目を持つ人類は、さらに宇宙の本質へと近づきつつある。ロマンをかき立てられる。