学術書を書く

  • 京都大学学術出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (155ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784876988846

作品紹介・あらすじ

“Publish and Perish”──ただ書いても評価されない時代に,読まれるものをどう書くか。学術コミュニケーションの変遷とその本質的問題まで立ち返って,読者の措定,編成と記述の在り方,読まれるための演出の方法など,原理的・実践的に論じた初めての手引き。生き残りをかけたすべての研究者・研究機関必読。

[推薦]佐藤文隆氏(元日本物理学会会長・京都大学名誉教授)
ネットの整備と高等教育の変革の中で,学術出版や研究機関の情報サービスも転 換が迫られている.オンライン化の無秩序な進行は同時に多様な editing,研究機関のリポジトリ,特化したテーマでのグローバルな結びつき,などの新たな可能性を生んでいる.本書はこの学術出版環境 の大きなうねりの考察と,これを新たな知の構築に結ぶ実践的な教習本である.大学出版会にながく関わった執筆者のユニークな視点は,黒子が表に出た感もある指南書だ.論文が読まれない,研究が理解されないと嘆く前に,本書を読んで欲しい.

感想・レビュー・書評

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  • 学術書を書くにあたっての、テクニカルな事柄や、想定読者や形式その他もろもろの事柄がよく述べられている。ただ、なんとなく、さらりとさらった感じがして、あまり心に引っかかる記述は見られなかった。これから学術書を書こうとする人が、読んでおくべき本かというとそうでもない気がした。学術書に限らず、執筆から出版に至る作業の流れは、本書でも記載されており、ためになるのかも知れない。

  • 二回り外、三回り外の読者を意識するという、とても基本的な話が書かれている。そうじゃない本が多いけど。

  • 「売れない学術書」を書く技法についての、京大出版会の説明。研究史の取り扱いや書き方についての助言は腑に落ちた:

    「1自分の研究の 「売り」(視点や方法論の特徴,意義)を説得的、明示的に示すために先行研究との違いを際立たせるように記述する。
      2 研究の大きな枠組を示すために,必要な範囲でグランドセオリー(広く適用可能な一般的理論)を紹介する。
     3 領域独自の細かな研究史は、読者が読みとばしてもよいよ刃こ工夫する。」

    読者目線で作者に助言する貴重な一冊。

  • 自分の専門分野のコア領域から2まわり,3まわり離れている人向けに本を書く意味と留意点。

  • 参考資料としてざっと見ている段階。

    「第Ⅱ部書いてみる/第4章 可読性を上げるための本文記述と見出しの留意点」が参考になった。

  • アメリカでは学術書が終身雇用権を売るための道具となり、学位論文そのままが大学出版部で出版されるなどしている。
    知の技法、理科系の作文技術、シカゴ・マニュアル
    Open Library of Humanities、オックスフォード大学VSIシリーズ
    可読性を上げるこつ
    ・重複は避ける ・章末の要約は避ける ・と思われる、と推測される、と考えれる。を避け、で、である、といえる、といえよう、といえるのではないか。 
    インダス 長田、温暖化の湖沼学 永田、アンデス高地 山本、総説 宇宙天気 柴田、新しい教養のすすめ 生物学、教科書ガイドの囲みボックス、ツツバ語の網掛けボックス、科学のセンスをつかむ物理学の基礎の飾り罫のボックス、まとめてわかる看護学概論、
    写真・口絵:メコンデルタの大土地所有、草の根グリーバリデーション、海域世界の地域研究
    生きる場の人類学の章見出し、集団ー人類社会の進化、制度ー人類社会の進化の章扉
    国際機関の政治経済学のまとめ、
    夢とモノノケの精神史のタイトルと装丁、
    QRコード:グリッド都市、大元都市

  • ●卒論書くときに読めていたら、と思う本だった。今だったら職場のマニュアル作成に活かせるか?

  • 読了後、まず本書の構成と紙面レイアウトが工夫されており可読性に優れていると感じた。大学出版局の編集者から見た、博士論文から書籍に変える仕事ぶりやコツが丁寧に書かれている。諸分野の学術論文を了解し、教員・研究者である著者と対話・交渉しながら、「二回り、三回り外の読者に届ける」ことを念頭に膨大な作業を行う職員も、当然「大学職員」であることを、よく覚えておきたい。

  • 今時の論文と電子化の距離感。
    普遍的。

  • 学術書って、どのように作られているのでしょうか。
    本書は「二回り、三回り外の読者に届ける」をスローガンに、その本の売りや、対象とする読者、可読性といった実践的な視点を含めた「学術書の書き方」を考えるものです。
    学術書が専門外の人々も対象とした知的成果物ではなく、ポストを勝ち取るためだけのツールになってしまっているのではないか。
    専門分化が過ぎるために、情報が情報のまま、同じ言葉が通じる専門家の間でのみ流通し、
    知識として一般に理解可能な形で流通しなくなっているのではないか。
    こうした危惧のもと出版された本書は、構造化された知識のかたまりとして学術書を捉え、研究者間のコミュニケーションの手段である学術論文との違いを示しながら、研究成果を出版する際の工夫についてわかりやすく説明しています。
    「二回り、三回り外」の人たちに、自分の研究を伝える際のヒントにもなるかもしれません。

    (ラーニング・アドバイザー/図情 KOMINAMI)

    ▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら
    https://www.tulips.tsukuba.ac.jp/mylimedio/search/book.do?bibid=1673872

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著者プロフィール

京都大学学術出版会専務理事・編集長。京都大学文学部および教育学部に学ぶ。出版社勤務を経て二〇〇六年より現職。著書に、『学術書を読む』、『学術書を書く』(高瀬桃子との共著)、『世界大学ランキングと知の序列化』(分担執筆)(以上、京都大学学術出版会)、『京都の「戦争遺跡」をめぐる』(池田一郎との共著)(地方・小出版流通センター、新装版:つむぎ出版)など。

「2022年 『「専門家」とは誰か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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