先生のレズビアン宣言: つながるためのカムアウト

著者 :
  • かもがわ出版
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本棚登録 : 26
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784876994496

作品紹介・あらすじ

「私は今現在、女性と暮らしています。彼女は私の恋人であり、生活上のパートナーです。」一瞬、みんな目を丸くして止まった。「へー。全然ヘンじゃないよ、先生」一人がボソリと言った。朝日新聞「ひと」欄に紹介された筆者が「レズビアンとして」周囲の人に語りはじめるまでの心の軌跡。

感想・レビュー・書評

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  • しんらん交流館(真宗大谷派の施設)の東本願寺文庫で借りて読みました。性的少数者(セクシャルマイノリティ)の問題(差別、人権の保障等)に関心があったので読んでみたのです。
    私自身は(今のところですが)男性で異性愛者なのですが、女装好きということではTV(トランスヴェスタイト)というマイノリティに入りますかね。で、今の生活は自由に女装しにくい環境で、つらさは若干感じています。

    ↑というようにさらっとカムアウトしてみました。でも、誰にでも打ち明けるのは正直抵抗があります。「言ったらドン引きされる」という思いもありますし、普段男でいると「男でいるほうが結局ラク」というところで、私自身もホモネタ等性差別に同調していたところ、正直ありました。
    この本はレズビアンに限らず、性的少数者について考える上で、そして性差別を生み出す日本社会の構造について考える上で良書です。16年前と今ではカムアウトへの抵抗感は変わったものの、書かれている内容は決して古くありません。今でも現在進行形の身の問題です。私自身も読みながら大いに反省したところ、大いに勇気付けられたところが沢山ありました。

    関西弁交じりの、至って平易な文章です。自己の性を考えるということから、カムアウトしたからこそ課題になっていること、そして課題をうけてどのように歩んでいくかの一つのストーリーがあります。当時の社会背景も含め、カムアウトに至るまでの苦悩は非常に克明に描かれています。高校の生物教師という立場から、教育のあり方にも触れています。私がこれからやろうとしている仕事も「人にものを教える」仕事ですから、当然自分のこととして考えさせられました。

    「男性であること」の中に潜む差別性、男社会・異性愛社会が持つ問題性を、自分の問題として、自分の身に関わることとして、まずは問い直していきたいと思います。

  • 「ええっ、この本、まだ読んでなかったの?」と思われるだろうが、実は読んでいなかった(笑)ちょうど機会があったので読んでみた。

    やっぱゲイとレズビアンって全然違うと思う。。先に石川大我の「ボクの彼氏はどこにいる?」を読んだけど、あの本は自分が小さい頃から同性に惹かれて、でもそれをどうやって隠して生きてきたか、それが解放されてどうなったか、という本だった。

    けどこの本は個人史ってより、セクマイの置かれた状況とか社会的に女性の置かれた立場についてまで触れてあって、なんか「勉強」させられた気分がする。まー、書く人の個性なのか、それともやっぱりレズビアンとフェミニズムは切っても切れない縁があるのか。。

    「女性が性を語る」ことだけでも「社会的に奔放」と思われちゃって、それでフェミニズムとくっついちゃうんだろうなー。そのね「性について別に奔放でもなんでもないんだ、女性が性について語ってもいいんだ」ってところをわざわざ説明しなきゃいけない窮屈さってことは女性についてはあるよねー。

  • 「マンゴスチンの恋人」で参考資料として紹介されていたので。
    1999年の発行。10年以上経って少しは状況が変わってきているだろうか?

  • 学校というものすごく安定した、しかも差別に敏感な職場で、それでもカムアウトするために、こんなにも勇気が要ったとは。
    レズビアンであることは普通のことなのに、一所懸命訴えなきゃいけなくて、涙が出てきてしまうことが悲しいってとこに共感。
    セクシュアリティだけじゃなくて他のマイノリティも視野に入れた、こういう教育ができるっていいな。

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著者プロフィール

東京生まれ。1974年東京教育大学教育学部教育学科卒業。1978年東京大学大学院教育学研究科修士課程終了。1981年慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程単位修得満期退学。元信州豊南短期大学教授。現在、三育学院大学講師。専攻は教育哲学、国語教育。

「2015年 『対話の害』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池田久美子の作品

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