これでも国家と呼べるのか: 万死に値する大蔵・外務官僚の罪

著者 :
  • クレスト新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877120351

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  • 官僚批判で綴る一書だが、この無責任な国家体制に至る原因が、官僚制度腐蝕だと看破する。
    実質的に決断し支配するグループ、ほんの一部の限られたエリートたちはどんな失敗を犯しても罪には問われず、逆に出世し末端の非エリートの者には徹底的な非を押し付ける。
    官僚制度腐蝕に陥った先の大戦におけるエリート軍人たちの無責任と組織破壊の事例を挙げ、さらに本書が刊行された当時の大蔵省を初めとして官僚組織のモラル破壊に重ねる。
    まず、先の大戦を巡る官僚軍人とも云える寺内、富永、福留の行いは正に万死に値する。
    さらに杉原千敏を免職させたのは戦後だというのには驚いた。

    正に本書で看破された官僚制度腐蝕の例の数々は先の大戦の愚かな部分として認識し記憶に留めないといけない。

    それにしても殆どフリーハンドで書かれたような文体だが、これだけの内容をフリーハンドで書ける小室直樹はやはり天才といっても過言ではない。

  • なぜ今の日本が為体なのか、それを官僚制の腐蝕に求めている。日中韓の歴史問題は日本の謝罪外交から始まり、産業の停滞は資本主義と自由主義の精神が根付いてないからだとする。さらにエリートの責任感の無さは戦前の陸軍からあったとする。それら全ては日本の官僚制に凝縮されているのだった。

  • 1996年。先の『韓国の悲劇』より日韓関係に悲観的。“自衛隊合法化”した 村山富市首相が戦争責任を謝罪したということは《立証する責任は日本にある》だから謝罪する国はあり得なかったのだ!国際的には、謝罪とは“賠償”を意味する。再発防止の教育体制さえ要求されるかも知れない、原則“国家と国家は対等”で政治宗教へ言及は内政干渉だが。そこまで譲歩しても見返りの“対日感情の改善”の約束は果たさない。例えば“親日資産は没収”と遡及法で判決する。靖国神社に嫌悪を覚え《何をしても良い》と感じるのは差別意識だが自覚していない

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著者プロフィール

1932年、東京生まれ。京都大学理学部数学科卒。大阪大学大学院経済学研究科中退、東京大学大学院法学政治学研究科修了。マサチューセッツ工科大学、ミシガン大学、ハーバード大学に留学。1972年、東京大学から法学博士号を授与される。2010年没。著書は『ソビエト帝国の崩壊』『韓国の悲劇』『日本人のための経済原論』『日本人のための宗教原論』『戦争と国際法を知らない日本人へ』他多数。渡部昇一氏との共著に『自ら国を潰すのか』『封印の昭和史』がある。

「2023年 『「天皇」の原理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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