- Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
- / ISBN・EAN: 9784877195557
感想・レビュー・書評
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152.初、並、カバスレ、帯なし、書庫。
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(内容)
戦国時代最大のミステリー、本能寺の変はなぜ起こったか?
明智光秀はなぜ謀反したか?
信長暗殺の黒幕とは?
独自の歴史観を持つ奇才が本能寺の真相に迫る。
そして生き長らえた信長が見据えた未来とは?
信長が天正10(1582)年も存命して日本を統一、各地でくりひろげられる合戦、人事の戦術戦略を当時のデータをもとに趣味レート。
痛快仮想戦記。
(ブックカヴァーより)
(感想)
光栄の月刊誌"Da Gama"に1996年9月〜1997年11月の間、連載されていたもので、1998年に発売されました。
本能寺の変については、諸説のうち、2つが取られています。
すなわち、明智光秀の信長への怨恨説、及び、朝廷陰謀説です。
作品中では、信長が光秀を生け捕りにするように命じ、生け捕られた光秀に、謀反の理由を聞く、という場面があります。
信長は、朝廷にそそのかされたのでは?と聞きますが、光秀は否定し、怨恨だと述べます。
しかし、怨恨の理由の中に、対・波多野秀治戦において、和睦の証として、人質になっていた光秀の母親が、信長のせいで殺されてしまったことについて述べられていないのが、少し違和感がありました。(あと、光秀の領土が、秀吉の救援を命ぜられる前に、没収されてたこととか
この後、信長が、山科言経と対面し、信長が京都にいるということを光秀に教え、謀反をそそのかした人間がいる、それはすなわち、天皇(をとりまく公家)であるということを問い詰めるシーンがあります。
つまり、朝廷陰謀説が最大の原因で、それに光秀本人の持つ怨恨が加わり、本能寺の変に相成ったというのが、本作での推理です。
"独自の歴史観"という程、独特のものではありませんが、朝廷陰謀説の根拠を示している点が良いと思います。
また、童門冬ニさんの書いた"信長の野望"でも、本能寺以後、信長が生きていた場合、人生観が変わり、人に対し寛容になったのでは、という考え方がなされていますが、それは、本作も同様でした。
それは、お2人とも、信長なら"経験から得た教訓は活かす"と考えたのではないかと思います。
ストーリーに戻りますが、日本を統一するための九州戦にて、すでに信長に降伏している小早川隆景が、島津勢を侮って窮地に陥る、という場面があります。
小早川隆景と言えば、当時の日本でも相当な智謀の士。しかも、冷静沈着で、決して、知らない相手を侮るタイプには思えないので、このシーンにも違和感を感じました。
これが、兄の元春ならば、猛将タイプゆえになんとなく納得してしまうのですが。
一方、信長に、いち早く明智謀反の情報を伝え、命を救った設定になっている高柳左近が、望みの褒美として、茶会を開く権利を所望したシーン等は、なるほどなぁと思いました。
ところで、長宗我部元親は、この作品でも、損な役割というか、史実でも長男・信親が討ち死していることを反映してか、信長相手に上手く降伏することに失敗しています(^^;)
なんか、可哀想な気がしてならない(笑)