- Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
- / ISBN・EAN: 9784877281281
感想・レビュー・書評
-
薬害エイズ・個の連帯という幻想の運動。薬害エイズ訴訟に関わるようになったきっかけから、守る会の代表としての活動や関係者との関わり、和解判決。終わったのだから日常に戻るべきなのに、組織団体となって正義の戦いを続けるのか?
今から見ると「終わりなき日常」という言葉が呪縛だったのかも。自立した個人の連帯、とか、運動それ自体が目的化とか、みんな一生懸命考えてたんだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小林よしのり氏の思想的遍歴を探る意味で興味深い一冊。彼が90年代後半右翼的思想に傾くのは、薬害エイズ事件の市民運動が左翼に政治的に利用されたことで左翼に失望したからではないか。大人の汚い面を知りたい高校生にもお薦めの一冊である。
ただし、薬害エイズ事件を知るという意味では、これだけでは不十分である。『安部英医師「薬害エイズ事件」の真実』を合わせ読まれたい。 -
人の「情」の集合が、大きな集団となって時には世論を動かしていく力があるけれども、その集団が組織化され、イデオロギーに染まると、集いの意味そのものが変質していく・・・
それを、薬害エイズ問題に携わった小林さんが赤裸々に、かつ冷静に描写している。
硬直化した組織が、対峙した厚労省や、オウムと何ら変わりない、という指摘は非常に見事。 -
薬害エイズ問題。漫画のとこだけ読んで、あとは斜め読み。
川田隆平氏は自分と同世代。その後どうなったのかと思ってちょっと調べてみたら、やっぱりというかなんというか、、、政治家になってました。
いやはや、「普通の教師」になるために始めた運動だったのに、運動そのものが自己目的化して、完全に運動家になり果てて。。。
精神的に未成熟な段階で、イデオロギーに汚染されるというのは、その人の人生を完全に狂わせることもあるのだな、と改めて恐怖を覚えました。 -
活動の目的を見失い、活動そのものが目的化してしまう社会運動の危うさや若者をその方向へ導こうとする一部の活動家の存在について書かれています。大学新入生に読んで欲しい一冊です。
-
同情から始まった独立した個の連帯であったはずの、薬害エイズ批判運動が、市普代に左翼の組織に飲み込まれ変質していくさまを描いたもの。
これを書けるのが、この人の強みだね。 -
今や「小林よしのり」というアイコンは左右両陣営から批判される人物なのであるが、思想性はともかく自身が納得できないものにトコトン立ち向かっている姿勢は評価できる。
そして心ならずも社会運動の中心の渦に巻き込まれながら、弾き飛ばされた挫折感とともに描かれる本編は、なかなかの力作だと思う。 -
目次
薬害エイズ 個の連帯という幻想の運動
新・ゴーマニズム宣言より
第14章 運動の功罪-日常へ復帰せよ!
読者からの手紙
秘書カナモリの活動日記
さらば龍平! わしの薬害エイズ訴訟全顛末
脱正義論【入門篇】裏切られた平成の正義 浅羽通明
HIV運動論。 小林よしのり×泉谷しげる
脱正義論【応用編】「運動」の倫理と政治の倫理 小林よしのり×呉智英
ゴーマニズム宣言より
第二十七章 HIV訴訟を見て、プロの誇りについて考えた
第九十五章 エイズの真相を暴く
第百十六章 弱者のための強者の論理
第百五十九章 帝京大・安倍英と厚生省の倫理を問う
脱正義論-あとがきにかえて