月の裏側

著者 :
  • 幻冬舎
3.25
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本棚登録 : 636
感想 : 93
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  • Amazon.co.jp ・本 (377ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877283988

感想・レビュー・書評

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  • テーマは本来怖くないものなのなのに、敢えてオカルトにされてる感。
    で、この人はオカルトの描写をさせたら天下一品だから、やっぱり気味わるいの。
    いつもの恩田ワールドなら、多分、長靴脱いで寝ようって所で突き放されて終わると思うんだけど。それで後味の悪い、うすら寒い読後感を楽しむのが恩田ワールドの醍醐味でもあるから。
    作風の強みに依存しながらの新境地なんだろぅか…
    ともあれ、やっぱり楽しめる。久々の一気読みでした!

  • 初恩田陸作品。ゾクッとする作品でした。そう思いながら終わりのあっさりさに肩透かしを食らった感じもする。あなたの周りにいる人たちは本当に人間ですか?いつの間にか姿形などはそのままに別のものに入れ替わっていたりしないですか?そしてその思考の果てに、自分は今"どっち"なのかという恐ろしい疑問が。。。

  • 恩田陸特有の閉じない結末により、この作品は完結している。
    中盤までの何かが起きている感覚から、大規模にそれが起きて以降の終盤まで一気読み。
    怖さがジワジワくる。
    そして面白い。




  • 読み終えた後しばらく放心状態になりました

    最初つまんなくて
    途中で読むの止めようかと思ったくらいだったんだけど
    ページが進むにつれて話に引き込まれていって
    最後まで一気に読んでしまいました


    不思議な事件について調査していく登場人物たち
    夜にふといなくなって数日~数週間で帰ってくる失踪者

    著者がどう思っているかは別として
    私は「同化」をテーマにした作品だと思いました
    これは日本人じゃなきゃわからない話かも

    私たちは「世間」からはみ出すことをひどく恐れていて
    たとえばクラスみんなが鬼ごっこがしたいと言っている時
    かくれんぼがしたいと言えなかったり
    もしくは言うのにすごく勇気が必要だったり
    流行というものが外国にあるのかはわからないけれど
    ここまでだれもが同じものを持っているのを見ることができるのって日本ぐらいじゃないのかな

    誰も持っていないもの
    誰も来ていない服
    個性を求める人もたくさんいるけれど
    家族だとか地域だとか学校だとか職場だとか
    日本人は帰属するものをたくさん求めている気がします

    タイトルの「月の裏側」が
    Dark Side of The Moon
    と訳されてるとこも面白いと思いました


    過程の割に結末があっさりしてるとこがちょっと気になったけれど

    実際にはありえないことだと思っていても
    ぞっとするものを感じました

  • なんとも不思議な読後感が残りました。
     この作家、私自身もわりと最近まで読んだことがなかったんですが、SFとホラーとミステリーが交錯するあたりの作品を書いている、ちょっと注目してる作家です。本作も内容としてはSFとホラーの中間に位置するといえばいいかな。古典的SFジャック・フィニイの『盗まれた街』を下敷きに、「人間もどき」に盗まれていく街をテーマに描いています。
     私も昔は多少SFを読んでいたので、この小説を読んでも設定とか着想とかには特に目新しさは感じないんですが、細部の描写がいいんでしょうか。新鮮なイメージがありました。うまいですね、語りや描写が。恐いところは恐いし、異常な事態に直面した時の人の心の揺れみたいなところもちゃんと描かれているし、こういう作家はわりと好きです。
     「よくある話しじゃないか」と思って読んでいくと、確かにそうなんですけど、でもわかっていても恐いし面白いんですよ。最初に「不思議な読後感」と言ったのは、このあたりが「どうしてなんだろう?」という気持ちと、人間の「個」の存在の不確かさをつかれ揺り動かされるラストが、落ち着かない気分にさせるからだろうと思います。
     面白いです。

  • 舞台が柳川だったこともあり、物語の中にすんなりと入っていけた。
    なんてことない日常から、ジワジワと迫ってくる恐怖、これから柳川に行くのが怖い!

  • 途中まで、自分すら、本物か疑ってしまうほどに、リアリティがあって、怖かったです。うまいなー、恩田陸。もっと、読みたくなりました。

  • ミステリーでホラーで、そして結構グロかった^^; 恩田作品の常として、途中はすごく面白いんだけど最後がどうにも決まらないというか…もうちょっとこう、スパン!としたフィニッシュの仕方って無いもんかといつも思うんですよ。ええ、今回もそんな感じでした。ほんと、設定とか話の途中が面白いだけにねぇ…そしてタイトルの意味もよく分からず。

  • ●あらすじ●
    九州の水郷都市・箭納倉。ここで三件の失踪事件が相次いだ。消えたのはいずれも掘割に面した日本家屋に住む老女だったが、不思議なことに、じきにひょっこり戻ってきたのだ、記憶を喪失したまま。まさか宇宙人による誘拐か、新興宗教による洗脳か、それとも?事件に興味を持った元大学教授・協一郎らは〈人間もどき〉の存在に気づく……。

  • 次々と疾走しては戻ってくる住人たち。
    水路に囲まれた城下町に巣食う透明な恐怖。
    得たいの知れない “何か” に怯え、真実を探るうちに見えてくる驚愕の事実に翻弄される主要因物たち。
    果たして自分は盗まれているのか?いないのか…。
    毎日見ている月であっても「月の裏側」でおこっていることは分かりえない。

著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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