五分後の世界 (幻冬舎文庫 む 1-1)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877284442

感想・レビュー・書評

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  • 続きが欲しいところだが、だからといって読むかは分からない。初めての村上龍だったが、やりすぎてくどい、といった印象。

  • 最後の頁をめくって「え?!」というラストだった。 その世界の謎、何故彼が、どうやってそこにたどり着いたのか そして5分とは? それらの謎を最初からずーっと主人公と同じように 探り、考えてきて 「えー こんな終わり?!」というのが率直な感想。 このタイプの裏切られ感は自分は初体験w。 それらの謎と彼のその後をご自由に考えてといわんばかりで、想像力を掻き立てられる最後。  出てきた言葉で「シュミレーション」とあったけれど 確かにどこかで何かが違っていればあり得ただろう世界なのかもしれない。最初のゲリラ戦の様子はグロテスクでも耐えられたのはやはり想像の中のお話だと思うからだろう。 現在の自分があるのも過去がそういった過去であるからで 少なくとも今自分のおかれている環境が小説の様でないことに関しても含め、 自分の過去に関わった人たち全てに感謝。  

  •  ポツダム宣言を受諾しなかった、パラレルワールドの日本。これが村上龍の理想とする日本の姿……というわけでは、必ずしもないのだろう。ここに描かれている過剰に優等な日本人は、読んでいて羞恥すら覚える。なんとなくだけど、この小説からは、日本人に目を覚ませと必死で呼びかける作者の姿を感じる。某国文化のゴリ押しが叫ばれる2012年現在、アメリカに洗脳されている、とかいう主張はいまや時代遅れなのかもしれないが、アメリカでも某国でも、どこだって同じことだ。日本人が、精神的文化的に自立しないことが問題なのだ。
     日本って、国って、なんだろうな。そんなことを考えさせられる小説。
     延々続く戦闘シーンを読み進めているうちに、何か私も諦めに似たようなものを感じた。長大な分量の残虐描写によって登場人物の心情を変化させる試みだとか解説には書いてあったが、まあ、それ以前に村上龍は単に残虐描写が好きなんだろう(笑)本当にタチの悪いおっさんだよねー。
     「向現」は伊藤計劃の『虐殺器官』の痛覚マスキングを思い出した。彼も読んでたかなぁ、とか思ったりして。

  • 実際にあったこと、いた人物を持ち出して作られたフィクション。
    第二次世界大戦で日本が無条件降伏しなかった『五分後の世界』に突如出現する小田桐。

    村上龍はいつもいつも警告していた、日本人が平和ボケで無知なのは、今まで侵略をされた歴史がないからだと。
    『イビサ』や『愛と幻想のファシズム』ではそうした、言うなれば『五分前』の世界が舞台だった。

    今作は違う。 
    日本がアメリカを相手に不屈のゲリラ戦を戦い続ける世界が舞台だ。

    日本人が知り得なかったこと、無くしていったものが壮絶な戦闘描写と共に、残酷なまでに描かれている。

  • 私の中ではベスト1です。人生の節目で必ず読み返します。
    絶望的な状況下でプライドを示す彼等の強さを分けて貰えます。

  • すばらしいの一言につきます!
    世界観、人物、設定、ストーリー・・・どれをとっても自分好みでした。
    多分自分は最初から事件が始まる、序章抜きの方が好きなんだなぁ・・・
    物語冒頭からはちゃめちゃな『五分後の世界』にまんまと引き込まれました。
    もちろん止まる事なく一気読み、終わったあとは『あぁぁぁ!!!』って、体育会系の感動がありました。
    意味不明なレビューだけど自分にはわかるので良しとします。

  • 去年「半島を出よ」を読んで以来、長年食わず嫌いだった村上龍を今更ながら読んでるが、これは中でも面白かった。「半島を出よ」の原型がここにあって、けど初期作風のキレキレな文章もいい感じに残っている。戦闘シーンの異様に長くて執拗な描写はホントに凄い。こういうエッジの効いた文章は好みの別れるところだと思うが、自分的には非常に好みだ。

    そしてラスト、とにかく格好いい終わり方!

  • 装丁が綺麗で手に取った一冊。村上龍は初めてに近いが、史実に似せながらの空想世界。良く出来てると思った。戦闘の描き方がグロクて、私向きではないが、他の村上本もいつか挑戦しよう。

  • 怖いくらいにリアリステックで、徹底された暴力描写。

    それは太平洋戦争がおわらない5分後の世界。

    人種と国民というアイデンティティ、音楽と戦争。差別と選民思想。

    色々な要素が含まれているが、それら全てを包含した、怖いくらいに、リアリステックで徹底された暴力描写。ってかめっちゃ怖いわ

  • 情景描写がとにかく細かく繊細でリアルで1シーン1シーンが重い。非現実的なのに目の前に世界が見えるみたい。1シーンのなかで主人公が凄まじく変わってゆく。
    今の日本の在り方への批判、今の日本じゃだめだ!!っていうメッセージ性がかなり強いから嫌いな人は嫌いかも。
    衝動的に何かしなきゃ、動き出さなきゃって気持ちになる。

    2010/06

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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