ベーリンジアの記憶 (幻冬舎文庫)

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著者 : 星川淳
  • 幻冬舎 (1997年11月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877285265

ベーリンジアの記憶 (幻冬舎文庫)の感想・レビュー・書評

  • 馬毛島(鹿児島県西之表市)に
    核廃棄物の中間貯蔵施設をつくらせない闘いを
    している屋久島に住まれている星川氏を知ることになった。

    そして、ニライカナイ祭りで、
    星川氏の挨拶を交わすことができた。

    アメリカ先住民 インディアンに詳しいことを知り、
    ニライカナイ祭でも星川氏の本を購入したが、
    メイルを交わしている友人から、
    「ベーリンジアの記憶」が、おもしろいといわれ、
    台風8号がきた幸いに、読むことができた。

    星川氏は、あとがきで、
    「いまから20000年ほど前、
    地球は最終氷河期のまっただ中にあり、
    海面は現在より100メートル以上
    低かったことが知られています。

    ユーラシア大陸と北アメリカ大陸をへだてる
    ベーリング海峡は水深が浅く、
    その時代には広い範囲にわたって地続きでした。

    この太古の陸の架け橋をベーリング陸橋、
    もしくは「ベーリンジア」(Beringia)と呼びます。

    「なんらかのきっかけでベーリンジアをわたって
    現在のアラスカへ足を踏み入れたのが、
    いまから20000年前から15000年前でした。」

    「この物語は、最初にベーリンジアをわたった
    人々のドラマを想像したものです。」

    これは、モンゴロイドの共有する壮大な
    ドラマのもっとも困難な物語である。

    この物語は、女呪い師カナヘに率いられ、
    きた部族が、100代あとに「地の橋」をわたる
    勇者ユカナを主人公にしている。
    ユカナは、熊の霊をもつ。

    「深い夢見」という瞑想が、
    ひとつの方法として使われている。

    「深い夢」には、人間の内部にある、
    細胞の記憶、遺伝子の記憶として、
    過去のことそして未来を見通すことができる。
    それを「時のすき間に滑り込む」という。

    「かんじんなのは他人の考えを読むことじゃない。
    そのもっと奥にある大きな願いというか、
    たくさんの人間や生き物が、太初のときから
    ずっと抱きつづけてきた希望をくみとることだ」 

    「大地の中心では、数え切れないほどの魂が
    それぞれの天幕にこもってこの同じ歌を歌っていた。
    姿は見えないが、人間だけではなく
    獣も、魚も、草木も、鳥も、虫も、石も、
    山も、川も、雲も、大地をめぐる
    すべてのものがそこにはいた。
    めぐる歌は、めぐるいのちだった」

    人間の中にある深い記憶、そしてそれが、
    人々からあらゆる生き物につながる記憶となり、
    それが生き物として、手を繋ぎ合わせることができる。
    不思議な、方向性をつくりだしていました。

  • 不思議なお話。数年前に読んだのですが、なんだか忘れられず、たまにふっと思い出します。壮大なテーマで、世界の広さを想像して読めるお話だと思う。

  •   心身を駆使し、一生懸命に生きてゆく様は人間の原点だと思うのです。ここにはそういった "生" があり、それが大自然の中で研ぎ澄まされていくのです。また、描かれている大自然の美しさと雄大さに頭がつんとします。今は大自然はおろか、自然すら感じることが難しくなっています。私を含め、多くの人が土を踏まずに生活していることでしょう。それでも、この大自然にどこかしら懐かしさを覚えます。それはやはり、受け継がれてきた細胞の記憶によるものなのでしょうか。

      この本を購入したのはそもそも、表紙の写真に惹かれたからでした。物静かでいて幻想的な風景の写真です。あとがきを読んで、それがなんと、私の好きな星川道夫さんの撮ったものだということに気づき驚きました。そんな偶然の繋がりさえ、何か意図めいたものに感じます。

      読み終えた私はもう<糸>の存在を疑うことなく感じられます。全ては繋がっている。人間だけじゃなくて、生を受けたあらゆるものが。他の生き物と直接関わることがなくなるにつれて忘れかけていたものを、やっと思い出せたような気がします。

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ベーリンジアの記憶 (幻冬舎文庫)はこんな本です

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