- Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
- / ISBN・EAN: 9784877285913
感想・レビュー・書評
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犯罪者の心得や矜持、犯罪の軽重、割に合わない犯罪等々、犯罪のプロの世界に身を置き、仲間うちから信頼の厚かった「ダンマリの浅」こと浅田次郎氏が語る、犯罪学の蘊蓄の数々、面白いだけでなく、(一般人にとって)とても勉強になる本だ。
それにしても、「新宿署→戸塚署→新宿署→四谷署というコースで四回たらい回しにされ、つまり都合三回も門前再逮捕をされた経験があります」、「私の専門は俗に言う「整理屋」でありました。やはり若い時分からこの道一筋に辛い修行をしてきたわけであります」、「私は友人ふたりとともに怪しげな町金融を手がけ、最終的には納得できるほどの小金を残してめでたく解散した」、ヤクザの親分相手に「誰がシロウトじゃ。ええ? このくされ外道が、誰に向こうて物言うちょる」と啖呵を切った、拘置所の常連で古手の看守から「おい、やめとけ。浅兄ィにからんでもロクなことねえぞ。おまえらとは役者も年季も違うんだ」と肩を持たれる等々、どこまでが実体験なのか、読んでいて分からなくなる。書いてある通りだとすると、簡単には堅気の世界に戻れないんじゃないかなあ。しかも後に押しも押されぬ大小説家になったとは、とても信じられない。
面白かった蘊蓄を幾つか。
「私の知る限りの犯罪者はプロであればあるほど、皆子煩悩で、何よりも子供好きなのです」
誘拐事件が跡を断たない訳は「「誘拐」が犯罪者の夢だからであります。腕利きの職人が一世一代の大仕事に憧れるように、犯罪者は皆一度はこの大犯罪に憧れるのです」
「詐欺というのは大がかりになればなるほど有利で安全なものさ」
「命の次に大事なものは金だ、と考える人間はまず二流以下でありまして、金より大事なものをちゃんと持っている人物こそ一流なのであります」「極道でいえばスジとシノギ、これは必ず一体不可分の関係にあるのであります」
「真の犯罪とは、ごく一部の好事家が生涯をかけて挑戦する華麗な文化なのであります」
よくも悪くも、著者に対する見方が変わってしまった。あのナイーブな文学青年のイメージが、そして人情ものの名手のイメージが崩れていく(笑)。まあ、著者の無類の博打好きの面とはマッチするんだけど…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
20220622
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何故、余計な自己意識を入れずにいられないんだろうか。しょせん物語のための文章。
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著者が体験し、見聞してきたさまざまの事件をもとに、鮮やかな詐欺の手口、簡単な人の殺し方、強盗、麻薬、誘拐などの凶悪犯罪のノウハウを講義する。これはあくまで、こうした犯罪に善良な市民が巻き込まれないようにと公開するものである。
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一服の清涼剤、読むべし!
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浅田次郎氏の語り口が絶妙である。
そしてほーっと浮かれている中で読み終えると、冷静な解説が見られてまた楽しい。
とりあえず、犯罪は割に合わないなーと思った。 -
浅田次朗による犯罪学教室といったところか。
この人ほんとにやくざな世界で生きていたのか、それとも聞き書きなのかよくわからん。 -
くだらなくて大好き。
この方が鉄道員書いたと思うと複雑。 -
ええっ、これがあの「鉄道員」を書いた人と同一人物か?
あの情景的で切ない話を書く浅田次郎の経験談とはとても思えない、濃厚な人間の本質と、社会の日のあたらない場所が描かれています。
人間の生きる力強さを感じました。 -
ナゼか我が家に転がっていた本。
「浅田次郎」ってことと、
「幻冬舎アウトロー文庫」という出版元に興味をソソられ読むことに。
おもしろい。。。
「殺人術入門—罠のはめ方」とか、
「善良な市民が陥る「犯罪」の落とし穴」とか、
どこぞの誰かわならん人が書いてたら、
単なる犯罪手引書ってなもんなのですが、
浅田次郎が書いているってだけで、
もーーーー面白い!!!
おいおい。。
こんなに書いていいのかい??
と思わずつぶやきつつもナゼか笑える1冊です。
たいだい、
「幻冬舎アウトロー文庫」って・・・・。
笑える上に結構タメになります。 -
嘘か真か、真剣か冗談かの狭間を行きつ戻りつしながら書かれているような感じ。
面白くないわけでは決してないが、これまで読んできた浅田氏の作品の中では、クオリティはかなり低いもののように感じた。
一言でいえば、『微妙』・・・ -
そんなことまで書いていいの?と思う。こういう内容のものってあんまりないし、面白い。
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これ面白い。笑 リアル。
一連の極道系はこうした実体験をもとに
うまれたんだなぁ。どこまでほんとなんだろう。結構ヤバイことやってたんだなぁー -
すごく面白い。
でも多分、若干のフィクションが混じってるんじゃないかな…と思います。 -
「極道放浪記」より犯罪に関する考え方、法に関する解説的な内容が多い。
銀行強盗、覚せい剤、飲酒運転のリスクなどがつらつらとまとめられてる。
ストーリー要素は少ないけど「考え方」が多く書いてある面で個人的には「極道放浪記」より面白いと思う。 -
09年6刷本
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法律と犯罪の境界の話は法学部卒業生として大変興味深く読めた。塀の中の実況中継は他に類を見ない生々しさです。
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浅田次郎はこっち方面のほうがはるかにおもしろい。
文字通り命からがら逃げ出したくだりの描写は鬼気迫るものがあった。 -
あっさんかっけー!!wまじ憧れちゃうよ「ダンマリの浅」ww一番エキサイティングだったのはやっぱ「殺人術入門―殺る者と殺られる者」だね。おもしろっ
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著者のヤンチャ時代の経験から書かれた犯罪学エッセイ? どちらかというと、極道放浪記1・2のほうがおもしろかったなあ。
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友人お勧めの一冊。犯罪学エッセイ。浅田次郎っていったい何者・・・?(06/12/10)
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再読。浅田作品で最初に読んだ本がコレで、かなり衝撃を受けました。いろんな意味で・・・。
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16の講座と実習という構成で書かれた犯罪学エッセイ。今でこそ直木賞作家浅田氏であるが、その昔はやばい現場でほんとに仕事してただけあって、実体験から書かれた本書はいろいろとためになる。特に法律関係のところは、一読の価値あり。某法律相談番組よりもためになる(と思う)。
といっても経験もなしにこの本のとおりに犯罪を実行してしまうと、大概臭い飯を食う事になることは本文で指摘してあるので、そのあたり注意。