イン ザ・ミソスープ (幻冬舎文庫)

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著者 : 村上龍
  • 幻冬舎 (1998年8月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877286330

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イン ザ・ミソスープ (幻冬舎文庫)の感想・レビュー・書評

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  • グロテスクな描写もけっこうあるサイコホラー。
    「キッチン」の直後に読んだから落差がすごかった。笑

    これ昔一度読んだのだけど(手元になかったからたぶん図書館で借りて)こないだある人と本の話題になったとき、その人が村上龍が大好きって言ったのをきっかけに思い出して強烈に読みたくなったから今度は買った。
    グロテスクなのってあんまり得意じゃないから、読んでる途中かるく後悔しつつ(笑)、でも先が気になって一気に読んだ。
    ほんのりだけどミステリ要素もあり?

    合法ではない夜の性風俗ガイドをしているケンジに、アメリカ人のフランクという男から依頼が入る。
    実際会ったフランクの顔は奇妙な肌に包まれていて、時折ぞっとするような恐ろしい表情を見せる。その顔は、売春をしていた女子高生が手足と首を切断されて歌舞伎町のゴミ捨て場に捨てられていたという事件の記事を、ケンジに思い起こさせ…。

    ネタバレになっちゃうからあんまり内容は書けないけれど、日本は平和な国なのだということを改めて思った。
    ものすごく貧しい環境じゃない限りは強い意志や目的を持たなくても何となく生きていけるし、何かひとつの宗教を強く信じるお国柄でもない。
    そういう“何でも受け入れて”“ぬるい”ところが、そうではない国で育って苦労している人から見たら許しがたく映るかもしれない。
    自分自身もきっとそうだと思う。多少の苦労はあれど、明日生きるか死ぬか、というほどの思いは、今のところしていなくて、確実に平和ボケしているだろうから。
    フランクと中南米の女とのエピソード、そしてフランクの独白の言葉たちは、心に深く刺さった。

    グロテスクな描写も、印象的な言葉も、妙に後に引きずる小説。
    “問題作”と言われたのも頷ける。

  • イン・ザ・ミソスープという名前からして既に気持ち悪さの漂う本書は、
    外人向けの風俗アテンドをしている二十歳のケンジと、そこへやってきた不気味な外人フランクの話である。

    第一章から二章はかなり色々なことを妄想させられた。
    話に噛んでくる女子高校生のバラバラ事件とか、ホームレス殺人事件など、もしかしたら本当にこのフランクの仕業なのだろうか……など。
    ケンジと共に僅かな仕草や言動から疑心暗鬼になっていく過程を疑似体験できるのは、淡々と、でも確実に描かれる気味の悪さにつきる。

    何時殺されるのか、殺されないのか、どうして自分はフランクから逃げられないのか。圧倒的な恐怖と共に明かされるフランクの過去は、どこか納得できるような、でも「したくない」ような絶妙な怖さ。

    本書ではタイトルのミソスープはまた別の意味だが、
    まさに、ミソスープを掻き混ぜるときのような底からもわもわと湧き上がる気味の悪い感触と、脳味噌を掻き混ぜられるような恐怖は確実に味わるだろう。

    何で読んじゃったかな。

  • 衝撃!!!!
    続きが読みたくて読みたくてたまらなくなる。
    想像力を掻き立てて脳内で描写を映像化しながら読んだら本当に気分が悪くなった。でも私はそれが好きで二回読みました

  • 歌舞伎町の外国人相手のガイド・ケンジと米国から来た不気味なフランクの3日間の生活は恐ろしいもの見たさの緊張感があります。フランクの不気味さの描写が「ジーキルとハイド」の中でハイドを描く筆を思い出しました。日本社会の複雑さ、そして何でも包み込んでしまう猥雑さがタイトル名に象徴されているように思います。フランクの生い立ちの告白はスタヴローギン(ドストエフスキー「悪霊」)に似た迫力があります。又、それが解説の河合隼雄氏が書いているように神戸の酒鬼薔薇少年そのものも予言するような内容です。日本の裏社会に登場したフランクの存在感が何か日本の存在の軽さを笑っているように感じさせつつ、歌舞伎町であればいつ起こっても不思議でないように思える現実に、すごく重いテーマの小説だと感じます。

  • 年末になるとなんだか無性に読みたくなる。

    近未来っぽくて、作品全体を覆う孤独なトーンは個人のツボに大いにはまる。
    余計な装飾を省いたミニマムな文章の中に、村上龍のメッセージがそことなく差し込まれる。
    主人公の生き方自体に、作者のメッセージなり価値観が含まれていると個人的に感じる。

    連載時に議論された「神戸連続児童殺傷事件」とかの比較は個人的にはどうでもいい。
    映画化にあたって、ヴィム・ヴェンダースがメガホンを取るそうだが、コンセプトは何なのか、
    舞台となる街はどこで、それをどのように描くのかなど興味はつきない。

  • このどろどろした世界観とグロテスクな描写は村上龍の真骨頂だと思う。
    小汚い歌舞伎町。ネオンの中の風俗嬢。そして凄惨な殺害シーンはやっぱりさすがだ。
    ただ本作にはアメリカ人と日本人のずれた価値観の描写が何度も出てくる。映画ロストイントランスレイションにもあったが欧米人からみる日本という国はこんなにもどこかずれた価値観を持っている国にみえるのだろうか。
    また半島を出よでもあった描写だが日本人の平和ぼけは本当にヤバいんじゃないかと思う。しかしもし自分の前でこの話のような出来事が起きてしまったらおそらく自分も主人公と同じような行動をとってしまうだろうと感じてしまった。

  • 全体通してずーっと切なかった。別にそんな内容じゃないしいろんな意味でエグいんだけど、読んでる時もずっと窮屈というかつっかえみたいなものが終わるまであった。ケンジもフランクも、最後まで確立できなかった。もう一回読んでみよう。

  • 幾つか読んだ作品の中では、読みやすくて、わかりやすい。人間性の本質的煩悩の存在。あらゆる悪意に出くわしたときに、迎合主義を否定して対峙できる強固なアイデンティティーを持ってないと、単なるアメリカ人モドキになっちゃうんだね。

    個人的には、アムロを小声で歌う三番の娘は生かしておいて欲しかった...

  • めっちゃ怖い。最初から緊張感があり、それがどんどん高まっていく。クライマックスでは目を覆うような惨状があり、その後も妙な緊張感は続く。
    細かい描写や感情表現のおかげかリアリティーがあり、村上龍のの世界にもっていかれる。表紙の画が、うまく中身を表現していてすごいと思った。
    外国人のゴシック好き、暗い話大好きな友人に英語版をあげたら、超喜んでいた。怖いだけじゃない、真実をついているから面白いと言っていた。

  • 村上龍の作品群は、彼の一貫した考え方が丈夫な脊椎の様にぴんと走っていて失望せずに読める。特に終盤の告白のシーンは共感した。中盤辺りから結末を予想しながら読んだのだが、読み終えてみて、そういうことはナンセンスだということに気付かされた。

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イン ザ・ミソスープ (幻冬舎文庫)の作品紹介

夜の性風俗ガイドを依頼してきたアメリカ人・フランクの顔は奇妙な肌に包まれていた。その顔は、売春をしていた女子高生が手足と首を切断され歌舞伎町のゴミ処理場に捨てられたという記事をケンジに思い起こさせた。ケンジは胸騒ぎを感じながらフランクと夜の新宿を行く。97年夏、読売新聞連載中より大反響を引き起こした問題作。読売文学賞受賞作。

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