- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784877287047
感想・レビュー・書評
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旅行に行く時にはこれか、生きるためのヒントのどれかを必ず持っていく。
どうしようもない状態になった時、あきらめることも大切だよってそれって仕方ないことよって肩をトントンされる気持ちになります。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「人が生きるということは苦しみの連続なのだ」と覚悟し、マイナス思考から出発して生きていくこと。
ブッダも親鸞も究極のマイナス思考から始まったという。そして著者の主要な例えは「人はみな大河の一滴である。」ということである。その具体例は以下のとおり。
「空から降った雨水は樹々の葉に注ぎ、一滴の露は森の湿った地面に落ちて吸い込まれる。そして地下の水脈は地上に出て小さな流れを作る。やがて渓流は川となり、平野を抜けて大河に合流する。その流れに身をあずけて海へと注ぐ大河の一滴が私たちの命だ。濁った水も、汚染された水も、すべての水を差別なく受け入れて海は広がる。やがて太陽の光に熱せられた海水は蒸発して空の雲となり、ふたたび雨水となって地上に注ぐ。人間の生命は海から始まった。人が死ぬということは、月並みなたとえだが、海に還る、ということではないのか。生命の海に還り、ふたたびそこから空にのぼってゆく。そして雲となり露となり、ふたたび雨となって、また地上への旅がスタートする。」
これは、自分自身が、大河に身を任せて流れるほんの一滴の滴でしかないことであり、それは人生でも同じことである。大河の流れの中では、激流もあったり、静かな流れもあるだろう。さらに汚染した水と交わったり、予期せぬ方向に流れたりもするものだ。本書の中で印象的な言葉があった。それは、「あきらめる」の語源は「あきらかにきわめる」ということである。これは、物事を明らかにして、人間にはできないこと、どうしようもないこともあるのだと理性的に確認するということ。しかし、それは人間にとって希望がなくなるということではない。例えば、足元に目を落としたとき、そこにくっきりした濃い黒い影が伸びていれば、自分が背後から強い光に照らされていることに気づく。上を見ることだけが光を探す手段ではない。とある。要するにあきらめて肩を落とした時にこそ見える視点があるということだろう。
本書は著者が語る人生哲学である。共感することは多かった。以前薬を沢山処方する医者はよくないという本を読んだが、この著者も同じ考えであった。病気。とりわけ癌は身体を修正しようと頑張る細胞の活動であり、その連続の結果塊が出来る。それを邪魔だとか、切除しようと考えるのはおかしい。必要なのは、細胞の暴走を制御し、コントロールしていく力、減速させる力。征圧するのではなく、救うことで治していくという発想が大切だと言う。余計な手術や、薬はいらず、大河の流れに身を任せ、あきらめることが大切なのだろう。医学の分野は日々進歩しており、一概にこれが正しいとは言い難いが、一つの参考になる。さらに共感したのは、活き活きと明るい人が重要視される社会はおかしいということ。明るく生きなければ良くないという風潮を作り上げてしまったが故に、暗かったり、陰湿な性格の人はいじめに遭い、自殺までしてしまう。暗い、陰湿だって立派な個性でありる。僕個人も別に特段明るい性格ではないし、たまに陰湿にもなる。それが良くないと解釈するのではなく、大河の流れに身を任せて、必要以上な無理をせず、あきらめの中でもその中に幸福のヒントを見つけ出し、それを大切にして生きていきたい。 -
本書は、私にとっての座右の書になろうかと思います。
「人はみな大河の一滴」「旱天の慈雨」「地獄は一定」「滄浪の水濁らば以て吾が足を濯う可し」「心の内戦」「面授」「寛容」、そして、「往還」しながら私たちは何事かを理解する...などなど。
心に深く、強く、それでいてやさしく響く言葉や考え方は数知れず。
この数年間、私の心に沈殿している苦しみ、悲しみ、後悔の念。
本書とともにあれば、そのいずれもとも、ともに歩んでいけそうな気がしています。 -
人はみな,大河の一滴にすぎない.読了後,この言葉がずっしりと意味を持つ.
マイナス思考に基づくプラス思考とでも言うべき思想は,現代で生きる上で少し心を軽くしてくれる.
戦時中は本当に辛かったが,その時代には確かに「自分が生きていた」という実感があったというのが興味深い.
確かに私も,戦争とまではいかないが,辛い時の方が生きてる実感があり,平和になるとまた辛さを求めてしまうように思う.
これは本当に恐い.現代社会で言ったら,炎上プロジェクトとか過労死とかも本質的には同じこと.
辛いんだけど一方で充実している側面もあり,でも気づかぬ内に限界を超えてしまう.何事もバランスが大事ということだろう. -
人生に影響を与えたと言える、数少ない1冊。
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五木先生らしい平易で明瞭な文章による、生きることや言葉についての随筆集。題名にもなっている冒頭部分の「大河の一滴」に関する章に最も心打たれた。自分は全編通じて興味深く読めたが、何かストーリーがあるようなの本ではないので、エッセイや評論を読むのが苦手な人はしんどいかもしれない。
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新しい視点をもらいました。
この世は地獄。
その中に極楽がある。
マイナスの中のプラスが希望の光。
冷たい夜と闇の中にこそ朝顔が咲く。
暗黒の中でないと、小さな光は見つけられない。
暗黒の中で見つけた光は、小さくても強い輝きのように感じる。
ここからは読んで考えたこと。
AIが医師や教師の代わりになるという意見がある。それに反対する意見もある。なんか、世の中が、AI対人間という考えに向きすぎている気がする。
本の中に「面授」という言葉がある。面と向かって教えてもらうことが大切で、知識だけなら本で得れば良い。会って直接聴いて得るものがある、という考えだが、そうなるとAIにはできないことを医師や教師はできるので、AIはむしろ医師や教師の価値を高めてくれたのではないのか。
なんて考える。
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つまらんけどいい本だよ(笑)
いやいや❗内容はめちゃいいんだよ❗
ただ普段、ラノベとか小説ばっか
読んでるからさ❓
展開無い本って読むの辛い・・(笑)
説法じみてるんだよね。内容が。
淡々と説かれる感じで。
だから途中で飽きる・・(笑)
それでも、少しづつ読み進めていくと、
じわじわと内容が染み込んできて
普段の生活の中での意識とか、
立ち振舞とか、考え方とかね❓
色んな事に気付かされる。
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下手な自己啓発本とか、
スピチュアル本を読むより全然オススメ。
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ただ、この本の評価は、
読む人によって全く分かれるかな❓
今、毎日が充実してて、
生きてる事が楽しい❗✨って人には、
ぶっちゃけ、読んでもつまんないかも。 -
背ラベル:914.6-イ