家畜人ヤプー (第5巻) (幻冬舎アウトロー文庫 O 36-5)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 342
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (387ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877287856

作品紹介・あらすじ

私は貴女に永久占領されていたいのです。独立国でなく属領になるのが望みです-自らの意志で麟一郎は服従と隷属の道を選んだ。その果てにあるのは至福の快楽か、それとも…。ベストセラーとなった初版以来、数度の復刻と加筆を重ねてきた世紀の奇書が、ついに完結。ポルノから哲学までを内包する逸脱と放埓のシンフォニー、最終増補決定版。

感想・レビュー・書評

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  • いやー、すごい小説でした。いままで読んできた中だとソローキンの『青い脂』に近いぐちゃぐちゃのエロスと、突き抜けた、突き抜けすぎなほど突きつけたスカトロ描写、SM、人体破壊、人格破壊を怨念のように込めた作品です。同時にある種の無邪気さも孕んでいて、もはや恐ろしさを通り越し笑ってしまう。ここで描かれていることを「性愛」として受け取ることも可能だろうけど、今の時代、いやおそらくはこの作品が発表された1956年の日本においても殆どの人からは受け入れられない価値観ではあるので、間違いなく人を選ぶ小説です。私個人の感想としては、好みではあるものの、全体的に助長さが感じられた点と、無邪気さの反面うっすら見える著者の政治的思想がちょっとしんどかった、というのが本音です。たぶんもっと早く出会っていれば違う感想になっただろうし、10年後に読んだらまた違うものを受け取りそうではある。これはきっと哲学小説なのでしょう。読む人にとって猛毒にもなり得るほどの。

  • タブーを全部盛り込みましたという内容はもはやすがすがしさすら感じられる。電車の中で笑いをこらえるのが大変でした(セッチンとかヘードとか珍棒とか)。その後の石ノ森章太郎とか江川達也のマンガがいまいちすぎるのでよほど絵にするのは難しいのでしょう。

  • 大マゾヒズム小説読了。白人女性優位の世界観がこれでもかと記述していた。ペニリンガー、カニリンガーなどの生体家具はもうエロというよりグロテスクでむかむかした。世界観がペダンティックに展開されていくので戸惑うがそういうもんだと読み進めた。非常に戦後的で、日本の文化が“遡時転化”でイースのものに過ぎないと明かされていく。こうしたパロディを愉しむのがこの作品の要なのだろう。途中で俵万智『サラダ記念日』のパロディが入ったり、イーストウッドについての言及は意想外だった。河原さんの論考( https://researchmap.jp/7000013338/published_papers/40553854 )も参考になる。

  • いやーなんとも壮大な物語だった。
    全5巻の長丁場だったこともあって途中、中弛みもあったけど最後まで楽しく読ませていただきました。
    そうかぁ麟一郎はそっちを選んだかぁ。
    まぁむずかしい判断だったとは思うけど麟一郎の人生を思うとなんともやりきれない気持ちになった。
    そして、クララも麟一郎もそうだけど人ってこうやって洗脳されていくんだなぁってのがよくわかった。
    自分自身こんな世界に放り込まれたらきっとヤプーとして生きていっちゃうんだろうなぁ。

  • 全5巻を読了。一部斜め読み。

    発表された当時は今とは比較にならないほどの問題作だったろう。エログロというだけでなく、日本の起源をおちょくる点も含めて、むしろ後者の方が問題視されてもおかしくない。

    そして、そういう世界観とその背景にある理屈やこじつけ、言葉遊び、皮肉がこの作品の真骨頂なのだろう。

    リンには革命を起こして欲しかったのだが、そうはならず残念。

  • 一巻が一番面白かった。
    とは言えどんな目に遭わされてもお仕えしたい人の存在って生き甲斐以外の何者でもない。

  • 秘宝館と百科事典を足して5をかけた感じで、久々に1巻から5巻までまで読むと情報量と妄想と糞尿と馬鹿馬鹿しさのボリュームに脳内がクラクラしてきます。
    もう胸焼けで当分読まなくていいやと思うけど、10年後にも本棚に残っていて、死ぬまでにもう1、2回位は読んじゃうんだろうなあという本です。
    太田出版の表紙も良いですな、幻冬社版は金子國義の表紙のクララ嬢が魅力的で、それだけでも星1個分位はあります。カッパも良いけどね。あ、あとボッコちゃんの悪趣味なパロディが出てくるエピソードも好きです。

  • 続きは……?

  • 最後は好きだけど、作品全体は作品が進むにつれてインパクトが薄くなっていくのが残念。個人手にはあと半分ぐらいの量の作品だったらもっと面白ったような気もする。作品の中の日本批判はありがちに感じた。

  • 第43~49章まで。一応完結。解説:高橋源一郎

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著者プロフィール

1926年3月19日福岡県福岡市生まれ。
本名、天野哲夫。
旧制福岡商業を卒業後、満州特殊鋼鉄株式会社に就職、帰国して海軍に入隊。復員後は、風俗誌にマゾヒズムをテーマにした原稿を投稿する傍ら、数々の職業を遍歴し、1967年、新潮社に入社。同社校閲部に勤務しながら、小説・エッセイを書き続ける。風俗誌「奇譚クラブ」の連載をまとめた『家畜人ヤプー』が戦後最大の奇書として話題となる。
2008年11月30日逝去。享年82。

「2012年 『劇画家畜人ヤプー4【復刻版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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