氷雨心中 (幻冬舎文庫 の 2-7)

著者 :
  • 幻冬舎
3.18
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本棚登録 : 147
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877288037

作品紹介・あらすじ

山形の村から神奈川の造り酒屋に出稼ぎに来た敬吾。そこでは若くして死んだ敬吾の祖父の親友であった老人が杜氏をしていた。懸命に働く敬吾の姿が、老人に自分の許嫁と親友に起きた悲劇を蘇らせ、米が発酵する蔵で惨劇が繰り返される-。表題作ほか、提灯、線香、能面など職人の静謐な世界を舞台に、心の闇黒を浮き彫りにする、傑作心理ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 乃南アサ。
    すごい人。何冊か読んでるけどすごい。

    気の弱そうな顔して、楚々として、柔らかに微笑んで、色白の線の細い今にも風に飛んでいきそうなくらいにか弱そうな女が、そーっと近づいてきて、

    大嫌い

    と、言われるような感覚の殺人小説。

    ラストの一ページで、

    ヒッ

    ってなる殺人小説。

    3丁目の夕日みたいにほんわかして、なんか何だかんだいって素敵なファミリー小説、、、

    ヒッ

    みたいな、小説。

    心臓がグッと音を立てて止まるような感じが何作かの短編で続くから、ハートの強い人にオススメ。笑笑

    いや、弱い人も読めると思うけど。短編だしすごい読みやすく、ヒッ。

  • 職人を主人公とした愛憎物語の短編作。

    ・青い手
    ・鈍色の春
    ・氷雨心中
    ・こころとかして
    ・泥顔
    ・おし津提灯

    実直でまじめ、言い換えれば狭い世界で、視野が狭いイメージの職人達が、女に翻弄され、危険な領域にはまっていく様が良く描かれています。

    また女の情念の強さを感じる作品でもありました。

  • 短編それぞれに面白い。

  • 結末に震える。 やはり、ミステリー作家ね。

  • 密室の中で醸成されていくしっとりとした狂気。我に帰れば、なんてことない陳腐とさえ言えそうなストーリーだが、引き込まれた『密室』の中にある感情に戦慄する。名短編とはこのことか。

  •  乃南アサ作品はそんなにたくさん読んでないのですが、今のところ「ちょい苦手」に分類されています。最初に読んだ作品は『6月19日の花嫁』。事故で記憶を失った主人公が、「6月19日に結婚式を挙げる」という唯一の記憶を頼りに、自分の過去を解き明かしていくミステリーです。テンポ良く話が進むので読みやすく、けっこう面白いなーと思ったのですが、一番最後の一文がしっくりこなくてそこだけイマイチ。
     そのあと何作品か読んだ気もするけど、あんまり覚えてない。で、大学ぐらいのときに『暗鬼』を読みました。裕福な大家族に嫁いだ主人公は、ある時、自分以外の家族が集まって夜な夜な密談をしていることを知ってしまう。表向きは暖かく幸せそうなこの一家に隠された秘密とは・・・というお話。細かいストーリーも結末も忘れちゃったけど、とにかく不気味な話でした。ぞわぞわ。

     そんなわけで、現時点での感触としてはイマイチ。でも、この人いったい何者なんだろうかと気になってしまう作家ではあります。『6月19日の花嫁』はともかく、『暗鬼』みたいな不気味な話はそうそう簡単に描けるもんじゃないと思う。見事なまでに、読者に不快感を感じさせるというか。

     さて、前置きがめっちゃ長くなりましたが、今回の『氷雨心中』について。造り酒屋、能面、提灯、線香・・・職人の世界を舞台にした、不気味系心理サスペンス短編集。日常(と言っても特殊な世界だけど)にひそむ狂気淡々と描いた作品です。

     収録されているのは、青い手、鈍色の春、氷雨心中、こころとかして、泥眼、おし津提灯の6編。

     普段なかなか見ることのできない伝統芸能の世界が細やかに描写されていて興味深い。でもストーリーとしてはまあぼちぼちかなぁ。「泥眼」は「おぉ、深い!」と思ったけれど、他の作品は展開が読めてしまった。ストーリーの面白さというより、乃南ワールドを楽しむ作品なのかもしれません。

  • こわい。伝統的なものの工程が読めて楽しい。

  • 090919(s 090917)
    不明(不明 091018)

  • ◆あらすじ◆
    山形の村から神奈川の造り酒屋に出稼ぎに来た敬吾。
    そこでは若くして死んだ敬吾の祖父の親友であった老人が杜氏をしていた。
    懸命に働く敬吾の姿が、老人に自分の許嫁と親友に起きた悲劇を蘇らせ、米が発酵する蔵で惨劇が繰り返される───。
    表題作ほか、提灯、線香、能面など職人の静謐な世界を舞台に、心の闇黒を浮き彫りにする、傑作心理ミステリ。

  • 07年より以前

  • 短編集

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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