ゴーマニズム宣言 9 (幻冬舎文庫 こ 2-14)

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  • Amazon.co.jp ・本 (166ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877288600

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  • シリーズ最終巻。このあと著者は雑誌『SAPIO』(小学館)に舞台を移し、「新・ゴーマニズム宣言」と題して連載をつづけることになります。

    浅羽通明との対談では、共産主義の到来を信じる従来の左翼に代わって、70年代以降近代合理主義に対する懐疑がひろまったという浅羽の意見が紹介されています。また社会学者の橋爪大三郎との対話では、近年になって人間の「知識」がうしなわれ「情報」に置き換わっているという問題が指摘されています。これらの意見を受けつつ、著者は価値相対主義の蔓延によって若者がオウム真理教のようなカルト宗教に染まる傾向が生じていると断じて、父性の復権をとなえます。

    最後は、「ゴーマニズム宣言」を連載している雑誌『SPA!』(幻冬舎)の価値相対主義的な編集方針に対する著者の不信感が高まって、連載終了という結末を迎えることになるてんまつがえがかれています。

  • 『ゴー宣』最終巻。
    それは終結と新たなムーヴメントの始まりを暗示している。

    終結、それは当初各方面の時事を扱ってきた『ゴー宣』が部落差別へとテーマを収束し、そしてオウム真理教との闘争の顛末である。

    始まり、それは薬害エイズ問題との新たなる失望へのスタートに見え、哀しい。

    最終的に『ゴー宣』はメディアの中の商業主義と反権威主義という理想との軋轢の中で自己矛盾による苦痛に耐え切れず自ら身を引く。
    この潔さは果たして“勝利”なのか?
    それは小林氏の『新ゴー宣』シリーズの隆盛を見れば一目瞭然だろう。

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著者プロフィール

1953年8月31日生まれ。1975年、福岡大学在学中に初めて描いた漫画『東大一直線』が赤塚賞の最終候補で落選するが、雑誌に掲載され、大ヒットとなる。『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』『ゴーマニズム宣言』など話題作多数。
●主な著書
『新ゴーマニズム宣言10』(2001、小学館)、『新・ゴーマニズム宣言Special 台湾論』(2000、小学館)、『新・ゴーマニズム宣言Special「個と公」論』(2000、幻冬舎)、『ゴーマニズム宣言9』(2000、幻冬舎)、『朝日新聞の正義』(共著、1999、小学館)、『自虐でやんす。』(1999、幻冬舎)、『国家と戦争』(共著、1999、飛鳥新社)、『子どもは待ってる! 親の出番』(共著、1999、黙出版)、『ゴーマニズム宣言 差別論スペシャル』(1998、幻冬舎)、『 知のハルマゲドン』(共著、1998、幻冬舎)、『ゴーマニズム思想講座 正義・戦争・国家論』(共著、径書房)、『教科書が教えかねない自虐』(共著、1997、ぶんか社)、『小林よしのりのゴーマンガ大事典』(1997、幻冬舎)、『小林よしのりの異常天才図鑑』(1997、幻冬舎)

「1997年 『ゴーマニスト大パーティー3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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