日々ごはん 8

著者 :
  • アノニマ・スタジオ
3.82
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本棚登録 : 205
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877586454

作品紹介・あらすじ

変わらない友人たちの温かさと、思いがけない出会いが結ぶ縁。新しい渦に飛びこんではじめて知った、自分を越えた先の果てしのない自由。日記エッセイ第8弾。

感想・レビュー・書評

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  • 作中、読者のメールの引用があって、「本を読むのは速い方なのに、高山さんの文章は読むのになぜか時間がかかります。たぶん高山さんはゆっくりした流れの中で生きててその時々の想いを、そのままのスピードで残しているから、そのスピードじゃなきゃ自然に体が吸収しないんだろうか」。
    私も、高山さんのエッセイを読むのに時間がかかるので、なるほどーと納得。
    そして、この「ゆったり」感が好きなんだなぁとも思う。

  • いつもここにくるとほっとする。そんな存在だな。ちびちびと気が向いたときに読むから、なかなか進まないけど、読めばとたんに安心できる。ライフワークだね。

  • あちこち取材に出掛け、どっぷりと対象にもぐり込んで心を遣い、体ごとで書いているランディさんのことを、この家にいる間は、風呂に入れて、おいしいものを食べてもらって、ゆっくり緩めさせてあげたい。足を伸ばして、背筋の力を抜いて、脳も体もぐでんぐでんに柔らかくしてあげたい。話しながら、そういう衝動にかられていた。だってランディさんは、私などとは覚悟が違う。作家というのはそういう職業だ。

    終わってから、楽屋へタカシ君と郁子ちゃんに会いに行った。すっかり使い果たしたタカシ君は、「歌いながら何度も、スゲーなーって思って。こんな大勢の人たちが、ボクの歌をこんなに歌ってくれてるんだなーって。だって、皆の声が聞こえてくるんだよ、ワーッて。もう、ありがたくてさ。泣きそうになっちまった。

    私は、とくに飲んでいる時なんかにはっきり出てくるのだけど、いろいろ理解するのに時間がかかる。脳から口にいくまでの時間もかかるみたいだし。そのスピードに合う人と私は結婚したからよかったけど、昔は、あからさまに「のろいなあ、どんくさいなあ」とイライラした顔をする人もいた。「声が小さい!」と怒る人もいた。自然とそういう人たちとは関わりがなくなって今に至るが、若いころはそれがコンプレックスで、けっこうへこんでいた。悩んだって仕方ないのに。→すごく共感したし、奇望がもてた。

    本当は、本の文章のことを始めなければならないのだが、今ひとつ気持ちが入らない。ちょっとレシピをいじってみたりもするが。ちょっとこの感じは小説家みたいかも。何かがまだ煮詰まってなくて、のど元いっぱいのところまでのぼって来たら、うわっと書き出せるような気がするのだ。今はまだ、そのムードがやって来ないのが分かる。確かなのはそれだけ。だんだんに押し寄せてくるよう、そういう風に体をもっていこうと思う。

    「クウネルがゆく」
    友だちすこしでも大丈夫。本当に好きなことにはだれもがひとりでむかっていくんだよ

    「フィッシュマンズ」の初期のCDを繰り返しかけながら料理。「フィッシュマンズ」、ある時期からまったく聞く気が起こらず、ずっとそのままになっていた。でも、何のきっかけもなく最近ビデオを見て、そしたらいきなり体の中にどんどん流れ込んできた。すごくいい。初期の曲のことも前はあまり好きではなかったのだが、今、すごくいい。なんでだろう。

    今回は校正をやりながら、「フィッシュマンズ」の音楽を聞いていました。毎回、自分の中で流行りの音楽があって、おなじCDを飽きもせずに繰り返しかけるのです。いち時はまったく聞かない、まったく入ってこない時期もあった「フィッシュマンズ」ですが、秋から冬に向かう今の季節に合っているのか、それとも今、自分の内面がそういう季節なのか、音楽や本や映画は、いつも私に波を送り、物語を紡がせ、小さな渦巻きを作ってくれます。

    自分という者について、若いころ、私は戸惑っていたように思います。自信がないのです。誰かに褒められないと、まっすぐに立っていられない。やりたいことがうまくいかないのは、きっと周りのせいで、自分が悪いわけではない。でも、ホントにそれでいいのだろうか。このままで自分はいいんだろうか。「どんな時でもの、だーれも、自分のことなんか褒めてくれんし、認めてくれんのんで。でもの、世界でたったひとりだけ認めてくれる人がおるの。それは、誰でもないこの自分。ほいじゃけ、自分の面倒は自分でみんにゃあ。そんなの当たり前じゃん」三十歳を目の前にした冬に出逢った人は、そんな風に私に言いました。

  • 2015/07/17 再読 秋から冬 じゃがいも料理 たべるしゃべる スイセイショー フランス日記も書いている

  • この本に満ちているものは命の塊なんだと思う。読みながら、それを分けてもらう感じ。すごく心地良い。

  • 2005年9月~2006年2月の日記。
    すでに読んだ高山なおみさんの別の本、
    「たべるしゃべる」「フランス日記」を製作している時の日記が興味深かった。
    こんな気持ちで文章を書いたり、インタビューしたりしてたんだなあ、と。
    著者が本を作る過程がちらっとでも見られるなんて、めったに無いことだから面白い。
    高山なおみさんがファンの方から受け取ったメールに共感。
    「高山さんの文章は不思議とななめ読みができません。
    本を読むのは速い方なのですが なぜか時間がかかります。…
    たぶん高山さんはゆっくりした流れの中で生きてて
    その時々の想いをそのままのスピードで残しているから
    そのスピードじゃなきゃ自然に体が吸収しないんだろうかな?と」
    『日々ごはん』はゆっくり読みたいし、急いでは読めない、と
    ぼんやり感じていたことがきちんと言葉で現されていて、
    そうその通り!と思いました。

  • 本編はもちろんすてきです。加えて、あとがきのスイセイさんが若い頃の高山さんに言った言葉にぎゅっと心をつかまれました。

  • ネット上の日記が、本になっても面白いという珍しい例。

    どの巻を読んでも、生活をちょっと丁寧にしようという気持ちになれる。
    毎日書かれているので、同じ季節のところを読み返すとご飯の参考になるところもよいです。

  • おまけレシピが作ってみたくなる。
    自宅の材料と手順でできそう。

  • 読了。和風ハンバーグのソースを早速試したら美味だったー

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著者プロフィール

1958 年静岡県生まれ。料理家、文筆家。レストランのシェフを経て、料理家になる。におい、味わい、手ざわり、色、音、日々五感を開いて食材との対話を重ね、生み出されるシンプルで力強い料理は、作ること、食べることの楽しさを素直に思い出させてくれる。また、料理と同じく、からだの実感に裏打ちされた文章への評価も高い。著書は、経験や体験に裏打ちされた料理書や料理エッセイのみならず紀行記や日記、絵本など多数。

「2023年 『帰ってきた日々ごはん13』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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