パテ屋の店先から―かつおは皮がおいしい

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著者 : 林のり子
  • アノニマスタジオ (2010年11月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877586997

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パテ屋の店先から―かつおは皮がおいしいの感想・レビュー・書評

  • 約40年前からのコラムを集めた、PATE屋の林さんの本。お店もパテも、そしてこの本の表紙も優しい雰囲気。中身は以外にもハードボイルド風味のスローライフ本でした。

    林さんの言語力の高さもさることながら、科学的で論理的かつ体系的なお話は、現代より更に未来を捉えているご様子。あらゆる事物と真面目に向き合ってきた林さんだからこそ書くことができたんだろうな、と思わせる豊かな内容の一冊でした。

    現在も精力的に「世界の味のしくみ」について研究を続けてる林さんから学ぶ事はほんとに沢山あります。弟子になりたい…

  • 逗子図書館にあり

  • 大事に読み進んでいたら1年もかかってしまった。読み終わらせる事がモッタイナイ!と思ってしまったのだ。タイトル、装丁、開いてすぐにある写真に惹かれ「間違いない!」と買い求めた。極上の味わいがあるエッセイ。非常に理論的な文章であるが、味や匂いまで漂ってきそうな美の面も持ち合わせた文章である。常々、食文化や原産について学びたいと思っていたが、この本は更に私の欲求を強くした。それらについてよく知り、世界に想いを馳せながらする普段通りの料理は面白かろう。と、この本を読んで思ったからだ。

  • 世田谷にあるお店「パテ屋」。
    とってもいいお店らしい。行ったことはないけど、いつか行きたいお店。ステキなお店をやる人はステキな人なんだろうと思う。けして読みやすい文章ではないんだけど、装丁もかわいいし、持ってるとオシャレな気分になる本(笑)
    ちょこちょこ読んでます。

  • 2011年1月21日登録。伊藤の推薦。挿絵、図画が美しい。

  • 前半ちょっと読みづらくて、後半上がってきた感じかも知れない。チェーン店やファーストフードが増殖している昨今とは違う、「よい」食べ物のお店を開くとか、一度に大量のものをどうやって防腐剤も使わずに作るのかとか、美味しいとはどういうことか、とか無駄なく調理するとはどういうことかとか、そういうことがわかる。が、内容は今よりだいぶと昔の話。

  • 森のオフクロはパテ屋の店先にいます」

    家で料理をしないひとでも、一杯のお茶をのむのにやかんに湯をわかすことはあるだろう。そして音の変化を聞き分けて、ガスや電気のスイッチを切っているのではないだろうか。この本の著者、林のり子さんの日常は、まずなにより観察にある。例えばお湯をわかすにも体ごとやかんの中に入り込んでしまって、沸騰の瞬間にこんなふうに立ち会う。

    かろうじて薬罐の底面に接している水の粒だけが熱くなって、それがまだ重く冷たい水の層をかきわけてすこしずつ上昇をはじめる頃は音もひそやかであるが、熱い水粒の量がふえて上昇水流のいきおいがつよくなると、薬罐の中は上を下へのさわぎで音も暴力的になり、そしてついに水の最後の一粒が沸点にたっした瞬間にすべての粒子は水蒸気の、つまり気体の予備軍となって重力からときはなたれ、ふっくりとかるい音にかわる。ことに最後の十秒間の音の変化は十・九・八……とロケット発射時の秒読みのスリルとリズムをともなっていて、最後の一粒が気化へのエネルギーを蓄えおえる瞬間を私たちに予告する。

    アントニオ・ガウディを卒論に建築科を出たのり子さんは、ロッテルダムとパリの建築事務所に勤め、帰国後も仕事を続けながら〈食い気と興味につられてレバーパテをつくっているうちに、本業のはずの設計の仕事よりよほどたのしく〉なる。住まいの改築を機に作業場を作って、 1973年、パテを中心にした惣菜屋を開く。パテづくりのきっかけはアメリカで食べた手製のレバーペーストで、〈工場で作るもの、と思いこんでいた〉のが自分でもできることがわかったからという。仕事場では、材料にふれながらそれぞれの性質や調理のための熱の性質、あるいは一つ一つの調味料の持つ特質を〈ボンヤリ考えているときが、私にとってはいちばんたのしい〉。ボンヤリ考えるとはつまり観察をすることだ。なにかの違いを探知して耳をすましたのり子さんは、見つめるものの世界の住人に迎えられ、そしてその記録が先に引用したような言葉になってあらわれる。

    のり子さんの観察は、実験と、その後の「組み立て」に継がれてゆく。パテづくりのきっかけが自分でもできそうだったから、というのも”実験精神”のあらわれだろう。店をはじめた最初の2年は手当たりしだいの試作で失敗をかさねたというが、〈素材・道具・機械を含む作業全体と私たちとが、コミュニケーションの方法を模索していた時期〉だったと書く。以来37年、田園調布の住宅街の一角の、頑強な門も塀もなく生垣の上からわさわさと樹々がはみ出る庭の奥に、観察と実験と組み立てを繰り返す「パテ屋」がある。そしてこの本は1987年に刊行された『かつおは皮がおいしい』(晶文社)の新装増補版で、パテ屋OGの清水ミチコさんやぱくきょんみさんらとの座談会もおさめられたが、そもそも店のレシピやご自身のライフスタイルを書き連ねたものではない。のり子さんの「ボンヤリ」と実験が入れ子になって組み立てられた"のり子マトリョーシカ"が、食のベールをかぶって穏やかに音楽や絵や詩や科学や歴史を森の中で語る、そんな風情なのだ。
         ※

    この本を読むあいだじゅう何度も戻った場所がある。八百屋さんや魚屋さんからすすめられたものは、拒まず捨てずというのり子さんの〈原則〉が記された「拒まず捨てず」(初出「in」1980.3)と題された一編だ。おすし屋さんですしをつまみながら魚のアラが気になる〈因果な性(たち)〉ののり子さんは、料理の食材の、それが食材と呼ばれる以前の姿に観察が届いてしまって、ここに出てないところはどうなってんの?というわけだろう。ニシンのわたは佃煮に、骨はふりかけにしてしまうのも、捨てるのがもったいというよりは、誰もがよくわかっているかのようにひとつの物を食材とゴミにばっさり切る... 続きを読む

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パテ屋の店先から―かつおは皮がおいしいの作品紹介

田園調布にある洋風惣菜の店パテ屋店主による「世界の味のしくみ」を探る、肩のこらないエッセイ集。日々の台所仕事を好奇心いっぱいに観察するみずみずしい視線は、日常こそスリリングでやりがいのある現場だということを教えてくれる。あらたに清水ミチコ(タレント)、ぱくきょんみ(詩人)らパテ屋OGや仕事仲間との座談会、「ホットケーキをもとめて」「かつてはカラフルだった雑穀たち」「ブナ帯食ごよみ」など、新原稿4本を収録。『かつおは皮がおいしい』(晶文社、1987)の新装増補版。

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