完訳 アウトサイダーズ:ラベリング理論再考

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制作 : 村上 直之 
  • 現代人文社 (2011年10月31日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877984946

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完訳 アウトサイダーズ:ラベリング理論再考の感想・レビュー・書評

  • 個人的な体験を通して、この「アウトサイダー」という語句の惹起する感覚とかイメージには戦慄させられる。ベッカーは「逸脱行為」を境界として「アウトサイドー」と「インサイダー」を分けるのだが、どちら側が「善か悪か」という価値判断はシーソーみたいに揺れ動くと断言している。「逸脱行為」を認定するのは「モラル・アントレプレナー」と名付けられた公的機関や市民運動団体であったりするわけだが、ベッカーは彼らのことを「改革者」 'crusader' とも呼ぶのだ。この 'crusader' は「アウトサイダー」 'outsider' と対立する語句であるのは文脈から明らかだが、西洋の歴史を踏まえると前者が「十字軍」と、後者を「異端者」と訳せることに注目されたい。つまり、「宗教的熱狂」というやつが神託のごとく特定の個人や組織に力を与え位相がずれた「異質なもの」を徹底的に叩くという構図は、おおよそ政治的な要素と思惑が織り成した虚構であり、根拠は希薄だと高らかに宣言しているのだ。僕らは即物的に「いまあるもの」を追認する傾向がある。でも、モノの価値やら置かれている状況やらは流動的だというのがおそらく事実だ。このアンビバレンツな状況を「実体論から関係論へのパラダイムシフト」として理論化したのはマルクスやソシュール(オーストリアの言語学者)だったが、彼らの手法を援用してニーチェに関する徹底的な論考から「権力」の本質に迫ったのがフーコーだった(『監獄の誕生』)。ベッカーも関係論に軸足を置き、フィールドワークというアプローチで、「異端者」たちが生まれながらに「はぐれ者」なのではなく、ひょんなことから「逸脱行為」に走るようになった様子を客観的に描いてみせ、フーコーと同じ結論に達している。コリン・ウィルソン『アウトサイダー』では「異端者」には消すに消せない「烙印」が押し付けられていて、社会とは折り合いをつけられないという結論に達していたのだが、どうやらそうではないらしい。なんとなくコリン・ウィルソンは間違ってんだろうなと、同じころに読んだ沢木耕太郎『路上の視野』や塩野七海『男たちへ』から感じていたのだが、15年の歳月がたち本書を読んでようやく頭の整理ができた。結局、お金を稼いで生きているかぎり、ひとりでは生きていけません。

  • 古典ということで・・・・正直、そんなには楽しくなかったけど。
    (ルソーとかデゥルケームレベルの古典は別の意味で楽しい。てかテンションが上がる)

    よく知られているようにマリファナの話とダンス(ジャズ)・ミュージシャンのコミュニティでのフィールドワークのが、すごい。
    特にマリファナの話については、喫煙法→薬物効果の知覚→効果の楽しみ方に学習が必要であること。
    それに機会的(たまたま手に入ったら吸う)使用から常習的使用までには大分な距離があるということ。

    供給源の確保の為の非合法なネットワークへの参入の必要や、非使用者(特に家族)との関係という阻害要因というように、様々な社会統制がマリファナ使用の継続と使用量の増加/阻害に影響する。
    そして機会的使用者が常習的使用者になるまでに、どのようなモラルの変化が起きるか。
    について、インタビュー調査の結果と、理論的な説明とがちゃくちゃくと組み合わさっていて楽しい。

    一方で、有名な、ベッカー本人がプロミュージシャンという二重のわらじを履きつつ参与観察を行ったミュージシャンコミュニティの研究については、事例紹介としては面白いのだけど今ひとつ解説とのかみ合わせについていけなかった。

    もうちょい落ち着いてから読み返したら理解が進むかもしれない・・・
    (図書館本だけども。)

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完訳 アウトサイダーズ:ラベリング理論再考の作品紹介

マリファナ・法・ミュージシャン。「ハイになってなぜ悪い!」。マリファナ喫煙の現場から禁止法の成立まで、「逸脱現象に登場するすべての人間ドラマを描く」シカゴ社会学者にしてジャズピアニスト、H・S・ベッカーの不朽の名著の完訳版。

完訳 アウトサイダーズ:ラベリング理論再考はこんな本です

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