- Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
- / ISBN・EAN: 9784878923364
感想・レビュー・書評
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59:高村薫と福井晴敏のテイストを感じる、男たちの熱い戦い(何という陳腐な表現!)を描いた重厚なドラマでした。内容は濃いし密度も高いのに、どうしてかするする読めてしまうテンポのよさとスピーディーな展開。これがデビュー作とは思えません。提示された情報の断片を寄せ集めて全体図が見えてきたかなあというころ、その構図がまったく違うものに変わる一瞬が訪れるわけですが、そのだまされ具合が気持ちいい!
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大変面白かった。北朝鮮のスパイものは、沢山あるが、最初の作品でこれだけ、仕掛けが多い作品も珍しい。
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視界ゼロ。
思考もゼロ。 -
半分位までは、話の流れが全くつかめず挫折しそうになりましたが、全体像がハッキリしてくると俄然面白くなりました。
人物の正体をぼかそうとし過ぎた為に、全体的にぼんやりしてしまったのかな。福田さんのデビュー作だそうで、こんな物でしょう。 -
ダブルスパイハイジャック
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牙を剥く組織…北のスパイ、公安の犬、"ファントム"がハイジャック、サイバー・爆破テロを起こし政府への報復を企む。刻一刻、事件経過の進捗と各登場人物が非常にハード色に描かれ、完全なる自由を求めて…などロマンも交わる。加えて、この著者のクラッカーキャストは見事ですネ。デビュー作にて、この完成度!失礼ながら、後作品「TOKYO BLAKE~」と「プロメテウス~」をかけ備えた面白さは必読です♪
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ハイジャックされた飛行機が関空に降りて、乗客を人質に交渉を始めた。犯人の別働隊が管制塔までも見事な手際でジャックした。手に汗を握る警察対テロリストの戦い。13年前のとある殺人事件を引きずっている警視正と刑事、ダブルスパイの悲しみ。謎のハッカーファントム。いやー、読み始めたら一気でした。これデビュー作なんですね。凄い。男達の友情が切ない物語でもありました。
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ハイジャックという事件の陰にある二重スパイをテーマにした作品。だが、それにコンピュータークラッカーが関与しているから話は複雑になる。著者のデビュー作とは思えない、もしくはデビュー作ならではの力作。刻々と展開する攻防に手に汗握るが、やや説明不足の部分があり、逆にくどい部分もある。しかし、この軽いストレスも計算されたものかもしれない。
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ハッカーに関する記述が面白い.$5,000Mの略取がほんとにできそうな感じだ.ハイジャックに対する応対のでこぼこさに真実味がある.
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福田和代デビュー作。影で動き回る天才ハッカーと飛行機をハイジャックした犯人との関係。犯人と対峙する警察とのやりとり、緊迫が最後まで持続できている。
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『TOKYO BLACK OUT』であたしのハートをがっちし鷲掴みにしやがった福田和代氏デビュー作。
面白かったのは言うまでもないです。
この方の著作の魅力は、とにかく描写が丁寧なとこ。専門用語もばしばし使うけど、過度でも過小でもなくちょうどいい説明がちゃんと為されてて、ほにゃ?ってならずに読み進められる。あとは再三言ってるけど、追うもの(警察)追われるもの(犯人)、どちらにもちゃんと血が、心がかよっててどっちにも焦点があてられてるとこ。
好きですぞ!!
まあちょっと何かうまくいきすぎじゃね?って感じでしたけど、そんなの気にしてたら小説なんて読めやしねえよな笑。 -
もそっと、ひねりを期待しておりました。残念。短いあとがきですが、それを読んで、作者のものを書くことへの情熱にこころ打たれました(+★)
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ほんとは★三つ半くらい。
主人公の思い入れが強い割に感情移入できなかった。でも話としてはよくできていると思う。デビュー作にしてはいけてるのでは!?次回作に期待。図書館に借りにいこーっと。 -
これがデビュー作になるみたいですね。
ハイジャック、スパイ、ネットハッキング...
様々な濃い要素を目一杯ギッシリと詰め込んだ
かなり内容と密度の濃い大作。
書きたい事を凄く丁寧に時間をかけて
調べた経過が伝わってきます。
いろんな要素を詰め込んだ分やや、
人物描写が薄くなってしまった印象が残念です。
あと主人公とその友人である警視正の抱える過去...
この重さと痛みがやや伝わりにくくて上手く移入が出来ないかも...。
ラストは...まぁ...お約束な展開ですが...充分アリだと思います。
あまり知られていない作品っぽいけど、これは映画化したら
かなりハマりそうな作品ですよね。 -
『TOKYO BLACKOUT』を読んだ。たいへんに面白かった。ちょっとした幸運もあって、次は『黒と赤の潮流』を購入して読んだ。『TOKYO BLACKOUT』程ではなかったけどそれなりに面白い作品であった。そして時間を戻してこのデビュー作『ヴィズ・ゼロ』に至った。よく言われる事だが、この作品、デビュー作とは思えないほど完成度が高いと思う。もっとも、売れて読まれる作家さんのほとんどは、そこそこ完成したスタイルを持っているのだろう。著者の福田和代さんは、当時システムエンジニア職をこなしながらこの作品を書いたらしい。関空での取材は10年に及んだ、とあとがきに書かれている。現在はそのSEの仕事は辞めて作家業に専念されているらしい。次の作品が楽しみである。
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びっくりする位誤植が多かったです。
多少の誤字なら気にせず読めますが
重要な登場人物の名前が間違っていてかなり混乱。
初版だけかな?
改善されている事を願います。 -
2009/2/18〜2009/3/8
「TOKYO BLACK OUT」より面白かった。
これがデビュー作とは思えないぐらい、よく書けている。
あとがきにあるように関空での取材に10年もかけているのだから
当然かも知れないが、細かな描写で、キャラクターも自分のものに
しているように思えた。
女性とは思えない筆致で、今後に期待大。 -
昨年のこのミスにもランクインを果たした福田和代のデビュー作。
公安のエス(スパイ)たちが起こす、ハイジャック事件に、かつて大学時代に友人を殺された二人の警官が挑む・・・
ハイジャックと言うのは、よくある設定だけど、とにかく描写が細かい。
「TOKYO BLACKOUT」でも取材力の高さは評判になっていたが、この作品でも地道な取材活動が文章のところどころに滲み出る。
これがデビュー作とは思えないくらい。
ハイジャックお決まりの取引条件には、彼女の本業の知識がたっぷり詰め込まれ、お得感たっぷり。 -
面白い!!<BR>
聞いた事のナイ作家さんでしたがナカナカ骨太。スゴイ取材したんだろナァ、と思わせる作品デス。登場人物がそれぞれに魅力があるので読み始めて一気に物語に引き込まれマシタ。 -
航空・諜報サスペンス小説。読み応えがありました。関西空港の取材も行き届いており、リアリティが感じられました。映画化、映像化は無理かな?次回は、よりメジャーな舞台での活躍が期待できそうです。
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ヴィズ・ゼロ=視程ゼロ。何も見えない状態のこと。陰惨なプロローグにまず引き寄せられる。ただのハイジャックものと違うのは、プロローグから始まった事件の背景が、骨組みをしっかり形成しているということ。ただその性質ゆえか、徐々にエンタメ性に傾いていった部分は仕方ないと納得するも、ラストは無駄に過剰だったのではないか。ハイジャックと同時進行で変化していくそれぞれの心の闇──最初はこの部分に期待していたのだが、クライマックスに向けて強引に美化された展開が気に入らない。新人作家らしい“がむしゃら感”に幾度か読書ペースを乱されはしたが、このジャンルでは間違いなくトップクラスの完成度だろう。
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最初、「ウィズ・ゼロ」かと思ったら「ヴィズ・ゼロ」。意味は、ヴィジビリテ・ゼロということで「視界ゼロ」ってことでしょうか。
香港を飛び立ったDC−9がハイジャックされて関西空港に着陸。その犯人が日本政府につけつけた要求は、お金ではなく「パラシュート」と「給油」と「ホームページを見れ」というもの。話は日本政府を巻き込んだ大きな謀略サスペンスとなっていく感じです。
本作がデビュー作ということですが、内容はなかなか濃いです。話もスケールの大きなテーマですし、舞台となる管制官の様子、飛行機のパイロットの様子、さらに複雑なコンピューター、などなど、新人のしかも女性の?作家とは思えない文筆という感じです。かなり調査もしたのでしょう。もしかすると今年の「このミステリーがすごい」に選ばれるってことはないでしょうか?
なんでも、福田和代さんはSF好きが高じて工学部に行き、ミステリーファンとなるそうですが、現業は金融システム開発のシステムエンジニアとか。なるほど、ハッカーの話やシステムの話が半端じゃないと感じたはずです。
こうした作品は割と好きですので、このまま映画化くらいしてほしいものですけど(読んでいてもかなり映像的なサスペンスドラマを感じました)、話の内容的にはかなり日本政府ならびに国家の危機のはずだけど、警察や政府の高官があまり出てきません。官房長官は出てきますが、先端で動くのは警察庁の13年目のキャリアである出石くらい。そこにも謎はあるのですが、そのあたりも少し弱いです。
ちなみに、この本を読み始めたのは出張中の飛行機の中。嵐の中を関西空港に降りるシーンでは、実際の飛行機が前線の影響でかなり揺れたので、臨場感たっぷりでした(^^;