- Amazon.co.jp ・本 (178ページ)
- / ISBN・EAN: 9784878935947
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
孤独で悲壮な感じとメトロの薄暗さがとてもマッチする。パリのメトロの薄汚さは小説向きだと思います(いい意味で)。
-
ノーベル文学賞受賞ということで読んでみました。
-
1941年。パリの訪ね人
にも通じるが、
一人の人間が残す、消せない痕跡。余韻。
それを追う者が、感じる確かな存在、
虚無感、、
見つけられないのに、自分自身が確かな証拠として、そこに存在してしまっていること…
どこまでもそれを追求し続ける、モディアノ。 -
(2014.11.14読了)(2014.11.13借入)
【ノーベル文学賞】2014年
地元の図書館には、昨年のノーベル文学賞受賞者のアリス・マンローの作品は、一冊しかありませんでした。ところが、今年のパトリック・モディアノの作品は、三冊もありました。この本がその三冊目です。とりあえず三冊読めば、いいかなと思います。
「暗いブティック通り」は、記憶を失った自分の過去を探す話でしたが、この本は、自分を叔父さんに預けて、いなくなってしまった母親探しの話です。
主人公は、19歳のテレーズという女性。題名は、母親が、テレーズを「かわいい宝石」と呼んでいたということから採られています。日本語の題名は本の内容に合わせて少し変えてあります。
母親がいなくなったのは、12年前ということなので、7歳のときということでしょう。
地下鉄の駅で、ママンによく似た人を見かけた場面から物語は始まります。
ママンをつけて行き、行きつけの店とか、住んでるところとか、何と名乗っているかとか、少しずつ分かってきますが、ママンに直接、自分の母親であることを確認することはしません。
アルバイトをしながらの独り暮らし。不安な心は、図書館で知り合った男性(モロー=バドマエフ)や介抱してくれた女性(薬局の女性)に委ねられますが、解消されそうもありません。
現代の都市生活の不安が、じょうずに描かれた作品といえるかもしれません。
訳者あとがきには、
「本作品の主人公、十九歳のテレーズの不安定な心理は、モディアノが「青春期の不安は普遍的なものである」と語っているように、多くの若い人々の心理にも広く通じるものとなり、ひいては「人間的情愛」が欠落した現代社会の多くの人々の、もろくもあやうい心のありようともこだましあうのではないかと思われる。」(167頁)
と書いてあります。
●駅(74頁)
駅の近くに住むと、人生は百八十度変わるから。誰でも渡り鳥のような気分になってしまう。
駅のまわりは未来に開かれている。
☆関連図書(既読)
「暗いブティック通り」パトリック・モディアノ著・平岡篤頼訳、講談社、1979.11.09
「1941年。パリの尋ね人」パトリック・モディアノ著・白井成雄訳、作品社、1998.07.30
(2014年11月20日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
なにがほしいのか、わからない。なぜ生きるのか、わからない。孤独でこわがりの、19才のテレーズ―。ある日、死んだはずのママンとそっくりの女性を見かける。気まぐれで、うわべを飾りたて、神経質だったママン…。テレーズは、ママンのほんとうの人生を探すことで、自分を見つけようとする。でも、ママンが話していた経歴は、みんな嘘だった。探すほどにわからなくなる真実、深くなる謎。たったひとつの手がかりは、ママンが残していったビスケット缶の中のセピア色の写真と手帳…。 -
パリ、メトロ1番線沿線の景色がありありと目に浮かぶ。