『闇の奥』の奥―コンラッド/植民地主義/アフリカの重荷

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著者 : 藤永茂
  • 三交社 (2006年12月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784879191670

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『闇の奥』の奥―コンラッド/植民地主義/アフリカの重荷の感想・レビュー・書評

  • アフリカの作家アチェベは『闇の奥』を執筆したコンラッドを「べらぼうな人種差別主義者」と批判したが、なぜそこまで言わなければならなかったのか?本書は執筆当時の実情について明らかにし、ベルギー国王レオポルド2世の統治下における悲惨な実情について告発する。コンゴは当時植民地ですらなく、国王の私領であった為に植民地支配を推し進めていた列強諸国からも批判されていたという構造は皮肉としか言いようがない。地獄の黙示録に出てくる、手首を切り落とされた人々の話は当時のコンゴで実際に行われていたというのはおぞましい事実だ。

  • リバプールは奴隷船の発着港だった。
    欧米の白人たちはみな、植民地支配はアフリカを未開の地から解放しているという共通理解のもとにあった。それはまさに悪魔の所業であったのにもかかわらず。

  • 著者は量子化学の専門家だが、九大在勤中にエンプラ事件に居合わせた衝撃からこの道へ。

    「地獄の黙示録」製作秘話から始まり、エリオット「虚ろな人々」を切り口に検証を進める。「切り落とされた腕の山」のエピソードの元ネタはベトコンでなく、コンゴにあると、アリス・ハリスの「切り落とされた腕先」の写真の存在を紹介する。また、「『闇の奥』は、モブツ独裁に対するナイポールの『暗い河』と同様に、ベルギー国王レオポルド2世のコンゴ搾取にバイアスをかけている」とアチェベ論争における自身のスタンスを表明した上で、サイードの見解を披露する。更にはH.M.スタンリーが国王の片棒担ぎだったことを名台詞“Dr.Livingston,I presume?”と絡めて見せ、話はボーア戦争まで広がる。
    E.D.モレル『コンゴの醜聞』や
    メアリー・キングスリー『西アフリカ紀行』や
    コナン・ドイルの従軍記『偉大なるボーア戦争』と『コンゴの犯罪』や
    オリーブ・シュライナー『マショナランドの騎兵ピーター・ハルケット』や
    アイルランド人ケースメントなど、コンラッド同時代人の業績と見解を明らかにする…

    このくらいで一般書としては満腹でしょう~ふうっ ^^;

    まあ、これで終わっては(日本語の書物としては)彼岸の火事になってしまうとの著者の焦りはわかる。わかるけどさあ・・・。

    米比戦争の下りは(キプリング「白人の重荷」は印象的だが)いかにも駆け足だし、コンゴ産コルタン鉱石がマンハッタン計画や昨今のエレクトロニクス産業に密接に関連していることなんかは別建てでしっかり展開してほしいところだなあ。

  • 「アフリカナイゼーションの産物」などという非人称的な概念に、責任を煙滅させてはならない。

  • 藤永茂「『闇の奥』の奥―コンラッド・植民地主義・アフリカの重荷」三交社、読了。植民地期ベルギーのアフリカ認識を精査する。武断統治を批判したコンラッドですらその偏見を免れるものではない。「野蛮」を世話する「白人の責務」は、西洋の闇をアフリカに投影する。もう一つのオリエンタリズム。

    2.藤永茂「『闇の奥』の奥―コンラッド・植民地主義・アフリカの重荷」三交社。興味深いのは著者。カナダ・アルバータ大学の教員(名誉教授)で専門は分子生物学。西洋の非西洋への差別をその文学から抽出する。『地獄の黙示録』の原作『闇の奥』(三交社)を自身で翻訳。知に対する真摯さに驚く(了

  • ジョセフ・コンラッド「闇の奥」とフランシス・コッポラ『地獄の黙示録」を見てから本書を読むとより一層理解が深まる。SONYのプレステの材料となるコルタンはコンゴから輸入されているし、広島長崎に落とされた原爆の材料となったウランの産地もコンゴである。我々日本人にとっても他人事ではない。

  • 「闇の奥」を読む前にこちらを読んでいたほうが理解しやすいと思う。
    読了した。とてもおもしろかった。
    この本にあげられてたいた書籍を読んでさらに理解を深めたい。

  • 最初は★4のつもりだったんだけど…、
    多くの人に読んで欲しいという気持ちを込めて★5に。

    この作者の藤永茂は数年前に『闇の奥』の新訳を出した人である。
    新訳『闇の奥』同様人に教える手前勉強のために
    (コンラッドの『闇の奥』をきちんと理解するために)
    購入し読み始めたのだが、
    いい意味で期待外れだった。
    文学の勉強の役には残念ながら立たない、が、
    自分の勉強にはとてもなりました。
    何分私は歴史や政治や常識に著しく欠けているため
    この本に書かれている事柄を正しく判断するものさしを持たない。
    けれど、
    全部読み通して充分に信頼できると判断、★5です。
    全編通してヨーロッパ人の傲慢さへの義憤が感じられるのだが
    実はそれは私も常々感じていることで、
    そういう理由もあります。

    いろんな人に、特に欧米人に読んで欲しいなあ。
    英語に訳されて欲しい。

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『闇の奥』の奥―コンラッド/植民地主義/アフリカの重荷の作品紹介

コンラッドを「べらぼうな人種差別主義者」と断罪した作家アチェベの1975年の発言は、果たしてそれほど不当なものだったのか?ナチスのユダヤ人抹殺に先立つ30余年ほど前に起こった、ベルギー国王レオポルド二世による「コンゴ自由国」での黒人虐殺・収奪の痛ましい悲劇を中心にすえながら、黒人奴隷貿易の歴史、レオポルドの悪行と隠蔽に抗して立ち上がった先駆者たちの多彩なプロフィール、アチェベ、ハナ・アーレント、サイードなどのコンラッド論、『闇の奥』をモチーフにしたコッポラの映画「地獄の黙示録」をめぐるエピソードなど、豊富なトピックをまじえながら、ポストコロニアル時代のいま、改めて、「白人の重荷」という神話、西欧植民地・帝国主義の本質を摘出する。

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