学校図書館発 育てます!調べる力・考える力―中学校の実践から (シリーズ学校図書館)
- 少年写真新聞社 (2011年7月22日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
- / ISBN・EAN: 9784879813909
感想・レビュー・書評
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これから、どのような学校図書館をつくっていくべきか、その指針を示してもらえたように思います。
図書館には「6つの段階がある」といいます。
本校の図書館も「①本が置かれている部屋」からは脱していると自負していますが、「②本が動く部屋」から「③読書センター」の機能を拡充しつつ「④学校情報センター1」へとどのように進んでいくか、その方針を打ち出してゆくことはなかなか困難が多いようにも感じます。
正直、自信を喪失する部分もありました。
自分にここまでのはたらきができるのだろうか、と。
ただ、遊佐先生も長く時間をかけながら、教科教員との連携を確立されていったようなので、焦らず地道にいくしかないのかな、とも感じています。
特に、「同一テーマの本を複数の生徒が探しに来た時は、間違いなく課題が出ている」→後手に回っても課題を調査する。
その時に
①図書館が課題の情報を知らないと、結果として生徒が困る
②図書館に資料がないと、図書館への信頼が得られない
③学校で出した課題に学校図書館が応えるのは当然
という点を強調して伝えることで、次第に課題を事前に教えてもらえるようになった、とのこと。
たゆまぬ、そして地道な努力が必要だと改めて確認させてもらいました。
さらに、図書館での調べ学習を行う際、その「ステップ」を教科教員と共有することの重要性も強調されていました。(p.38ほか)
たしかに、今までの本校の取り組みでは「図書館としてはどういった目標を設定したい」という視点が欠けていたように思います。
「適切な資料を選択できているか」
「情報を取捨選択できているか」
「事実と意見を区別してまとめられているか」
「参考文献は書式にのっとってかけているか」
など。
①課題の明確化
②情報の収集
③情報の選択
④情報のまとめ
⑤発表
⑥ふりかえり
という「ステップ」と合わせてこれからの取り組みに活かしていきたいと思います。
また、これらの実践について、他教科の先生に照会できるように表を作っておくというのも有効な手段だと感じました。(p.44)
タイミングが合えば、前後の教科を横断して生徒にアプローチできますし、情報を調べ、活用するという技術を繰り返し生徒に練習させることも可能になります。
さらに、直近で使えるかもしれない、というアイディアは「新聞の読み方」(p.109)です。
見出し→リード文→本文という「逆三角形」の読み方を知らない生徒が多いのではないか、という遊佐先生の指摘は本校の生徒にも当てはまるような気がします。
記事の読み方だけでなく、それぞれの紙面の特徴なども含めて伝えることで(5紙もある)本校の新聞をより活用してもらえるのではないか、とも思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
教科を繋ぐってのは素晴らしいですね。
なかなか珍しい、中学校を舞台にした調べ学習の本。
専任司書教諭というのは強いな。その学校にずっといて、生徒のことも、授業のことも知り尽くしているからこそできること。
私立だから…と言わず、公立もそれができるようになるといいのにな。 -
中学で本格的なレポート記入方法を教えている事実に、素直に衝撃を受けました。
東京清心女子中学校・高等学校、専任司書教諭の遊佐幸枝さんの奮闘記でもあります。
中学生向けのワークシートがわかりやすく、
洗練されていく様も興味深いです。
マンダラート法、参考文献は2つ以上、などなど、本当に素晴らしい熱意から来たものとしか言いようがありません。
久々に、戸田山和久さんの、論文の教室、という書籍を読み直したくなりました。本書の中にも参考文献として出てきます。
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表やグラフを取り入れて、司書初心者でも段階別に分かりやすく書かれている。
一人きりで経験もなく、一から学校図書館に携わる人には必携かと思う。 -
160
2016年では40冊 -
専任司書教諭として図書館から授業を支えてきた著者の実践。今、学校図書館に求められている理想的な形であろうと思う。
本書によると、著者は長年、司書として学校図書館の運営に携わってきたが、専任司書教諭に任用換えになったことにより、これまでセーブしていた教員に対しての授業へのアドバイスや提言等を積極的にするようになったようである。教科教諭との連携の下、調べ学習などの授業がどのように組み立てられたのかを詳細に書かれている。
また、授業者のコメントも寄せられている。参考文献等も豊富。
体系的に教えるノウハウが色々とつまった一冊。