石さまざま〈下〉 (シュティフター・コレクション)

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制作 : Adalbert Stifter  田口 義弘  青木 三陽  松岡 幸司 
  • 松籟社 (2006年6月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784879842442

石さまざま〈下〉 (シュティフター・コレクション)の感想・レビュー・書評

  • 「水晶」もいいけど「白雲母」が深い余韻があって好き。
    こういう生活に口碑が融けこんだ物語すごく好き。
    シュティフターは他も読みたい!けど時間をじっくりとれる時に。

  • 下巻も素晴らしかった。「水晶」は色々な人の感想が読めるので「白雲母」について。ネタバレ有り。私はこの短篇が一番心に残ったかも知れない。裕福な農家の祖母と子供たちが、いつも遊びに行く胡桃山でとび色の少女と出会う。彼女はいつも同じ服を着ていて言葉を解さず、どこに誰と暮らしているのかも判らず、森そのもののようだ。一家はじょじょに彼女とうち解けて、教育と愛情を注ぐために少しずつ距離を縮める。その間に二度も少女は一家の命を救い、やがてほとんど家族の一員とまで言えるようになる。しかしある日彼女は両親らしき人物の死を謎めいた言葉で告げ、涙を流しながら姿を消し、以来二度会えなかった。祖母は子供たちに、胡桃山に出かけた際たくさんのおとぎ話を聞かせた。その中に尻切れとんぼに終わる不安な出来事の話があるのだが、少女が告げた名前はまさにそれなのだ。本篇は自然と人間界の交渉がテーマであり、とび色の少女は森の化身であると解説されており、まさにそのとおりだと思う。しかし同時に、彼女はやはり「ある少女」なのだ。どのように育ったのかまるで謎に満ちていながらも一家に親しみ、少しずつ本当の家族のように心を許しながらも、彼女の側の、一家には計り知れない法則によって引き離され消えていった、ある少女の話なのだ。彼女にはシュティフターの放浪癖のある養女ユリアーナが投影されているとあるが、確かにつかみ所のない中に、あどけない少女のぬくもりがあるのだ。自然と人間界の綱引き、教育の限界といった問題と民話的世界が渾然となった中に、涙ぐむ少女の顔が謎とともに浮かび上がる。楽しい一家と少女の交流とハラハラする家族の救出場面、時のうつろいと美しい自然、そして深い余韻が印象的な短篇だった。「石さまざま」で、シュティフターという作家が大好きになった!

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