ペインティッド・バード (東欧の想像力)

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制作 : Jerzy Kosinski  西 成彦 
  • 松籟社 (2011年8月5日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784879842602

ペインティッド・バード (東欧の想像力)の感想・レビュー・書評

  • ホロコーストにとどまらない問題小説。

  • [ 内容 ]
    第二次大戦下、親元から疎開させられた6歳の男の子が、東欧の僻地をさまよう。
    ユダヤ人あるいはジプシーと見なされた少年が、その身で受け、またその目で見た、苛酷な暴力、非情な虐待、グロテスクな性的倒錯の数々―。

    [ 目次 ]


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 飛ばし飛ばし読み

  • ペインティッド・バードとして全集あるけど、古い方で読んだ。

    読売で都甲幸治氏が
    「他人を一度でも差別したことのある人間がホロコーストを批判できるかという重い問いを突きつけてくる」
    と紹介していることから。
    これは私には読み取れなかった……
    生きるのが精一杯の環境で、それが閉鎖された世界であれば、人は自分が生きるために、他に原因を求めるものだ、というまでの解釈の再確認。共同体維持のための迎合と排除、まで、かな。

    第二次大戦時に親元から離れて疎開した子供が、疎開先の村では、黒髪に黒い目だったため、ジプシー(今はロマというが、発行当時の作中表記に従う)やユダヤ人同然に忌み嫌われる。
    七歳~十歳くらいの間の話だが、まだ知識がない上、村の迷信で、「悪魔の目に見られると寿命が減る」やら「災いをもたらす」などと、さんざんにいじめられる。少年が、自分の目は呪いをもたらすと本当に信じてしまうあたりに、子供を少年兵に育てあげることの容易さを連想。
    あちらこちらの村を放浪し、労働と引換に粗末な食料を得て、行く先々で暴力を受け殺されかけ、目立たないよう務めているのに、問題が起こる。それは少年の異質さが生む問題であり、少年のせいではなく発生した問題を、少年に押しつけて解決を図る構図でもある。

    表題の「painted bird」は作中で紹介されるエピソードより。
    つかまえた鳥をペンキで色とりどりに塗りあげ、群れに返す。解放された鳥は仲間に喜んで近寄るが、仲間はその姿を怪しむ。自分が群れの仲間であることを必死にわからせようと努力するが、群れはその鳥を突っつき、攻撃し、ついには殺してしまう。異質なものは排除されるしかない。

    この話は、差別と暴力と死と性的暴力だらけだで、読むのにつらい部分も多いが、抗いようがなくて、打ちのめされる。

    P112
    「ぼくは自分が作りたいと思う発明を頭に描きながら、居眠りをした。~目と髪の色を変える人体用の信管。~悪魔の目から人を守ることのできる信管。そうなれば、だれもぼくを恐れなくなり、ぼくの人生はもっと楽になり、快いものとなるだろう。」

    P117
    「これらの列車は、つかまえられ、死を宣告されたユダヤ人やジプシーを運んでいた。どの貨車にも二百人あまりの人間がトウモロコシの茎のように、少しでも空間をとるために両腕をあげて、押しこまれていた。」

    P119
    「ぼくの父親は、どうしてかぼくはよく覚えていたが、明るい色の髪の毛に青い目をしていたのに、母は黒い髪に黒い目をしていたのだろうか? ジプシーもユダヤ人も色が黒く、同じ最後が運命づけられているのに、この両者のあいだにどんなちがいがあるのだろうか? おそらく戦争が終わった後には、明るい色の髪の毛に青い目をした人間だけがこの世に残るだろう。そうなれば両親はブロンドでいながら黒い色に生まれあわせた子供たちはいったいどうなるのだろう?」
    (このあたり、アーシアンを先に読んでいるので、どうしてもそれが連想されてしまう……)


    P122
    「大きなカマドを作り、それからユダヤ人やジプシーをつかまえてそのなかで焼くよりも、目や髪の色を変えるほうがやさしくはないのだろうか?」
    それでも血は変わらない、と、少年に言いたくなる。
    ナチスが重んじたのは外見であり、同時にユダヤ人の血が流れていないこと、それらと関係がないこと。
    外見を変えても、それだけじゃ足りない。しかし、どれほどすばらしいアーリア人の血統だろうと、それはそこの支配者が立てた理論のなかの仕組みであって、その共同体から外れた少年がのちに発見するように、ロシアでは通じないものだ。
    ヒトラーは現に金髪碧眼ではないのだから、異端というのは力があれば支配者となり、力がなければ虐待されるもの... 続きを読む

  • 「異端の鳥」(角川文庫)を読んだ時の衝撃は忘れられないです。
    新訳で、もう一度読んでみたいと思っています。

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ペインティッド・バード (東欧の想像力)の作品紹介

第二次大戦下、親元から疎開させられた6歳の男の子が、東欧の僻地をさまよう。ユダヤ人あるいはジプシーと見なされた少年が、その身で受け、またその目で見た、苛酷な暴力、非情な虐待、グロテスクな性的倒錯の数々……危うさに満ちた、ホロコースト小説。
旧邦題『異端の鳥』(角川書店)の新訳版。

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