ディアスポラの力を結集する ―ギルロイ・ボヤーリン兄弟・スピヴァク

  • 松籟社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784879843067

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  • オバマのシカゴの自宅はユダヤ系住民が集中する地区で、ユダヤ人コミュニティからはオバマは初のユダヤ系大統領だと言われていた。オバマはユダヤ人の間で変革の象徴として待ち焦がれていた。
    アメリカの黒人とユダヤ人の関係はかなりアンビバレントなところにある。公民権運動では黒人とユダヤ人が結束した側面もあったが、その後の関係は良くない。

    歴史上、十字軍はユダヤ人にとって最悪のものだった。世界を支配し、全世界をキリスト教化しようとした歴史的キリスト教世界、それはむろんキリストの神秘的身体としての教会と同時代のものではない、による試みは歴史全体を通じて、ユダヤ人の流血において2番目におぞましい傷跡を残した。

    アメリカを中心とするディアスポラのユダヤ人の間ではヨーロッパのユダヤ人を見殺しにしたという罪責意識も相まって、イスラエルへの無条件な忠誠とともに、イスラエル批判に対するタブー意識が形成される。

  • 今日さまざまな文脈において援用されている「ディアスポラ」の概念を、ユダヤ人の置かれてきた歴史的・文化的背景から切り離さずに、再考していこうという試みなのだが、多くの聞き慣れない「業界用語」が散りばめられているうえ、「アレント的な」や「ハーバーマス的な」といったような固有名詞を用いた形容表現が多用されており、読み手に膨大な知識がなければ、日本語として意味を把握しがたい。著者たちは、外国語文献を読んで、そこから得た知見を日本語に置き換えようとしつつも、それがうまくいっていない、つまり外国語文献を理解していないのではないか、とさえ思えてくる。門外漢の私には、読んでいてフラストレーションのたまる1冊だった。

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著者プロフィール

 大阪大学非常勤講師/オックスフォード大学客員研究員(2012-13年)。ユダヤ文化研究。
 編著書に『ディアスポラから世界を読む』(早尾貴紀との共編、明石書店、2009年)、『シオニズムの解剖』(早尾貴紀との共編、人文書院、2011年)がある。
 訳書にジョナサン&ダニエル・ボヤーリン『ディアスポラの力』(早尾貴紀との共訳、平凡社、2008年)がある。

「2012年 『ディアスポラの力を結集する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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