海の島: ステフィとネッリの物語

  • 新宿書房
4.16
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本棚登録 : 151
感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784880083544

作品紹介・あらすじ

第2次世界大戦初期。ナチス・ドイツの支配が強まるオーストリア。ユダヤ人への弾圧から逃れ、生きるために、スウェーデンへやってきた500人の幼い子どもたち。そんな中に、ふたりの姉妹がいた。華やかな街ウィーンの両親の元を離れ、たどり着いたのは西海岸の寂しい漁師町。慣れない異国の地での生活と人々との交流の1年を描く。

感想・レビュー・書評

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  • この4部作に出会えてよかったです。
    赤毛のアンに並ぶ名作じゃないでしょうか。
    時代は違ってナチスから逃れて、スエーデンで引き取られた子供の話ですが、美しい自然描写、友情やいじめ、心にしみる少女の物語。

  • 「第2次世界大戦初期。ナチス・ドイツの支配が強まるオーストリア。ユダヤ人への弾圧から逃れ、生きるために、スウェーデンへやってきた500人の幼い子どもたち。そんな中に、ふたりの姉妹がいた。華やかな街ウィーンの両親の元を離れ、たどり着いたのは西海岸の寂しい漁師町。慣れない異国の地での生活と人々との交流の1年を描く。」

  • 第二次世界大戦下、親元を離れナチスのユダヤ人迫害がすすむウィーンからスウェーデンのいなか町へ避難したステフィとネッリの姉妹の物語。ステフィが養母にウィーンの街であったことを話すシーンは胸が痛む。シリーズの1巻のようなので、このあとの物語も見届けたいと思う。

  • 『赤毛のアン』を思い出した。

  • 復活祭の日の夜の焚き火のシーンが印象的。
    ステフィはその小さな胸で何を思ったのだろう。
    寒くはないかと気にかけてくれる人がいること、穏やかな気持ちで焚き火を囲むのと同じ世界に、ユダヤ人というだけで迫害を受ける現実もある。そんな場所に今もいる両親や親友。
    ステフィのことを思いながら、このシーンを何度か読んだ。
    4部作の1作目。

  • 12歳の少女ステフィは、ナチスの迫害から逃れるために、ウィーンにいる両親と別れ、7歳の妹ネッリとともにスウェーデンの里親の元で暮らすことになる。列車に揺られ船に乗り、着いた島では優しそうな女性アルマが迎えてくれた。しかし、島にドイツ語を話せる人は一人もいず、姉妹一緒と聞いていたのに、アルマの家で暮らせるのは妹だけだった。ステフィは、険しい顔つきの女性メルタの家で引き取られ、岩山の麓に立つその家を<この世の果て>だと思う。

    豊かで華やかな暮らしから一転した質素な生活への戸惑い、言語を含む異文化への対応、宗教的な葛藤、両親への思慕、戦争への不安、人種差別への怒り……等々、困難に遭いながらも、周りの人たちの支えを受けて成長する少女の物語。

    <ステフィとネッリの物語>4部作の1作目。

    自分は妹を守る立場だと自覚をしてはいても、明るく温かい里親の元で過ごすネッリへの妬ましさが胸に痛い。

    ステフィの里親メルタは、「赤毛のアン」のマリラを思い起こさせる。質素で、清潔で、口数が少なくて、厳しくて、愛情を表に出さない。

    物語の最後に、いじめっ子側にいたヴェーラがステフィの味方をしたり、バカンスの客からの申し出で、中学校へ進学できるようになったり、ちょっとうまく行き過ぎ感はありますが、主人公は12歳の少女。これくらいの明るさはあってもいいと思います。

    戦争の影はありますが、残酷な描写はないので、読める子なら高学年からイケます。

  • 第二次大戦下、ユダヤ人への迫害が強まるウィーンから人道委員会の橋渡しで両親と別れてスウェーデンに疎開した姉妹ステフィとネッリの物語。
    ふたりは小さな島のべつべつの家にひきとられる。9歳のネッリは新しい環境にすばやくなじんでいくが、姉のステフィは友だちもなくて孤独。おまけに養母のメルタも生真面目でとっつきにくい人だ。さらにスウェーデンに残った両親のことも、ステフィは心配でならない。島での暮らしに徐々になじんでいきながらも、戦争はステフィの心に暗い影を落としている……。

    知的で意志の強いステフィが魅力的。耐えるところは耐えるだけの忍耐力を持ちながらも、理不尽なことには言い返すだけの気の強さもある。そして一見とりつく島のないメルタの不器用な愛情。これに最後は涙。すばらしい物語。

  • 7/26掲載 千歳市立図書館 小野氏

  • 子ども達が戦争のせいで親と離れ離れにくらさなくてはいけない。読んでいて本当に切なくなった。言葉が全くわからないなかで暮らして行く厳しさ、理不尽なイジメ、妹のなじみ方の早さへの憤りなどとても読みごたえのある作品でした。
    次も読みたいと思わせてもらいました!

  • 職場の方に勧められたシリーズ一冊目。
    ステフィは姉だからどうしても思慮深くなってしまうのだろうけど、性格が暗くて何だかどんより。でもこの時代の背景を考えると、本当につらく苦しく悲しい思いを経験した子どもたちがもっともっとたくさんいることに胸が苦しくなる。
    でも最後のシーンは情景や登場人物がキラキラしてて好きです。

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