釜ヶ崎語彙集1972‐1973

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制作 : 小沢 信男  前田 年昭 
  • 新宿書房 (2013年8月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784880084404

釜ヶ崎語彙集1972‐1973の感想・レビュー・書評

  • 病苦孤独逃れんとして酒を呑【の】み酔えば死期という労務者のあわれ
     田中枯葉

     1960年代後半、日雇いの労働者を「労務者」と呼ぶことに異議を唱え、世論を動かしたのが、詩人の寺島珠雄である。

     25年、東京生まれ。労働と放浪のさなかで詩を書き続け、72年から73年にかけて、大阪市の西成区あいりん地区で職を求める労働者たちに分け入り、「釜ヶ崎語彙集」も編んだ。

     現場の言葉に歴史的解説を加え、詩や流行歌の歌詞、短歌も随所に盛り込んでいるのが特徴的である。近年、その新装版が出たが、9章に渡る大冊であり、「語彙集」というより「辞典」という感触に近い。

    「地域」「仕事」「行政」「無縁仏」等の章のほか、「食」の章では、「すし屋」「おにぎり屋」の並ぶ手書きの地図が細やかだ。「酒を呑む詩」の項目で農民詩人による「コップ酒屋」の詩の引用もあり、注目した。

     掲出歌は、換気の悪い宿泊施設で広まった「結核」の項目で引用された歌。作者名はペンネームだろう。当時は、病院側も、患者の労働者側も、治療に積極的ではなかったそうだ。体調が悪くても、目の前の赤ちょうちんで酒に逃れることが、一番の気やすめでもあったという。

    「病苦孤独」。日本の高度経済成長を底支えした人々は、今や高齢者となり、現在こそ差し迫った言葉として響く。

    寺島珠雄はその後、若い活動家を励まし、晩年には、アナキズム詩人らが集った大正期東京のカフェ「南天堂」についての評伝も記した。99年に74年の生涯を閉じたが、その労作は、生き続けている。

    (2016年2月28日掲載)

  • 寺島珠雄編『釜ヶ崎語彙集 1972−1973』新宿書房、読了。未刊原稿を元に40年ぶりに刊行。本書は本物のルポルタージュ。図版含め衣食住など243項目から釜ヶ崎の真実を、その街に住み働いたアナキストの詩人は伝えてくれる。生きること、怒ること、働くことを綴る本書に圧倒される。すごい。

    竹中労「風の街にて 寺島珠雄のこと」、寺島珠雄『釜ヶ崎 旅の宿りの長いまち』プレイガイドジャーナル、1978年4月。 

    http://www.linelabo.com/kazenomachi.htm

    「はじめて彼の詩に触れたとき,アナキスト後藤謙太郎を連想した」。

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釜ヶ崎語彙集1972‐1973の作品紹介

この街は日雇労働者2万人の活気であふれていた!仕事・食住衣など243項目、8000余の索引項目、今昔絵地図や年表、写真によってよみがえる大阪釜ヶ崎オンリー・イエスタデー!

釜ヶ崎語彙集1972‐1973はこんな本です

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