フラメンコ、この愛しきこころ―フラメンコの精髄

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著者 : 橋本ルシア
  • 水曜社 (2004年9月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784880651286

フラメンコ、この愛しきこころ―フラメンコの精髄の感想・レビュー・書評

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  • 借りたもの。
    フラメンコの精神を日本人にわかりやすく伝えてくれる。良著。

    フラメンコのルーツをジプシー(あえてロマと呼ばず)の移動の歴史から紐解いていく。
    スペイン・アンダルシア地方の歴史とも絡めつつ。
    アンダルシアの自由を望み支配者へ反骨する精神の土壌が、ジプシーのそれと合致し、フラメンコが生まれた事を指摘。
    更にそのルーツをミの旋法と「リノスの歌」と呼ばれる、地中海沿岸全域に伝わる太古を起源とした挽歌に見出だす。

    その考察は多岐にわたり、フラメンコの歴史に、日本の思想、文学を絡める文章は、日本人である私の心に響くものだった。
    外国人である日本人に、異国の文化であるフラメンコを果たして理解できるかと思う事があった。
    踊り手である著者の実践的視点は、それが杞憂であると言い切ってくれる。
    ジプシー的なるもの、異邦人であることの自由、為政者への反骨心と、それを受け入れたアンダルシアの豊かな基質があれば、フラメンコを己のものとして踊れる――
    踊る人間としては前向きにさせてくれる。

  • 「世にも稀なる踊りなり。」

    スペイン舞踊の真髄、ジプシー由縁のフラメンコ。東京大学で哲学をおさめ、自らもフラメンコに魅せられたバイラオーラとして活躍する著者が「フラメンコとは何か」、その本質に迫る。

     起源は18世紀とされるフラメンコだが、著者ははるか有史以前まで遡りフラメンコが世に認識されるに至るまでの、舞踊や芸能の片鱗を丁寧に集めて解説していく。それによってフラメンコが決して突然変異的に発生したものではなく、様々な時代や民族を経て今の形に至っでおりその媒体としてやはりジプシーと呼ばれる人たちが大きな役割を果たしていたことがわかり、興味深い。

     長い時間をかけて西へ移動してきた流浪の民が落ち着いた先がスペインのアンダルシア地方であり、「ジプシー達の持つ、権力(おかみ)や社会へたてつく、自分らしさを失わない気質に対する、アンダルシアの人々の深い共感と憧れ、そしてそれに対する自分達の心の同質性の自覚」これこそが、フラメンコがアンダルシアに根付き大きく花開いた重要な理由だったと説く。

     有史以前からの舞踊の歴史からフラメンコ誕生へと導かれるダイナミックな論の展開からは、哲学をおさめた学者ならではのものであると同時に自身も大地に足を踏み鳴らす舞踊家としてのフラメンコへの深く熱い想いが伝わってくる。

     だが本書の中で自分が最も興味深かったのは、蘆原英了氏の論を引いて他の舞踊とフラメンコの比較が行われた件である。
     フラメンコはスペインに根付いたものでありながら、身体の部位のしなやかな動きや動と静、緩急のめまぐるしい転換など、多分に東洋の踊りの要素を持つ。東洋の舞踊の動きは集中的でその要素は身体の中心に寄り集まるが、反対に西洋の踊りはそのすべては外へ向かって開く、開放的であるというもの。

     その動きも例えばクラシック・バレエは直線的だが、フラメンコは曲線的であるというのだが、なるほど、実際に体験してみるとフラメンコには何かその動きの中に常に8の字の形が意識されるような感覚がある。

      身体を使って何かを表現する舞踊においても、その表現方法は西洋と東洋では大きな違いがあるのにもかかわらず、多分に東洋的な要素を持つフラメンコがヨーロッパの西の果てで花開いたことの意味、フラメンコの持つ特異性を改めて考えさせられた。

  • ※書誌情報メモ

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フラメンコ、この愛しきこころ―フラメンコの精髄の作品紹介

時代を先取りし、一時代を画した現役の実力派舞踊家による、初の本格的舞踊論。歴史的・実践的視点をふまえ、明解に構築されているが、そこには常に実践者としての熱い肌合いがある。フラメンコを愛するすべての人に捧げる舞踊史の金字塔。

フラメンコ、この愛しきこころ―フラメンコの精髄はこんな本です

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