- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784880862583
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
4.5。前半は「なにやってんだこの人(笑)相変わらず何か好きだなあ〜」と無邪気に楽しんだが、後半、モンスター相手の話のあたりから最後の一行まで、成り行きやら立ち位置やら環境やら思う事やらがあまりにも“我が身”で……判るっ!すげぇ判るっ(T_T)く…そッ!こんちくしょう!読むべき奴コレ読めよッ!
-
筆の力で読ませてしまうがけっこう重たい。今年何番目かの収穫。
-
読むと暗い気持ちになるんだろうなと思ってあえて読んでなかったんだが思い切って読んでみた、文章は流石だったけどでもやっぱ暗澹たる気分に。
これを読む限り新作の小説も望めないっぽいのが一番残念というか、出版権とかどうなってるかわからんのだがKindleでKDPとして出せばそれなりに売れるんじゃないかなあと思わないでもないんだがどうなんだろう。 -
どうも十数年振りの出版であるらしい。内容は、とある街のとある大手コンビニチェーン店で生きるために働き始めた元乱歩賞受賞作家の日々の記録。どんな作業をし、何に注意を払い、何を感じていたのか・・・生きることは食べること、食べるためには働くこと。その切実さと深刻さがひしひしと伝わってこない(ことはないですが)、なんとか生きていけるものだなと著者の強さを感じた。
-
本部はブラック、クレーマーとかのお客様はモンスターですね、わかります
現場はまさしく戦場…
別分野の大型店でしか働いた経験ないけど大変なのはわかる、が、それの上を行ってたは
物を買う人間は接客経験させたほうが世の中的にはいいと思うけど
お金の勉強と一緒に義務教育でやってもだめかなぁ
世知辛い -
個人的な体験記なので客観性は欠くものの、そこにコンビニがあったことを知る者としては、文壇から消えた作家が地図から消えていく店でのバイト経験を記録として残してくれたことに感動した。
東京芸大を授業料免除で卒業、あの東野圭吾と同時に乱歩賞を受賞し、30もの著作を残した著者が孤独の果てにたどり着いたのは、京成高砂駅前のコンビニだった。
そして、これまでの人間関係の中で酒を飲みたいと思ったのは、コンビニのバイト仲間が初めてだそうだ。
負け犬の恨み節のように評する人もいるけど、これはそういうものでもコンビニ業界の告発でもなく、あくまで体験記なのだと思うし、少なくとも僕はそう読んだ。
「負のパワーで生きている人間がいる。そんな奴にも魂がある。生きる値打ちのない人種かも知れないが、とにかく存在している。私がいいたいのは、そういうことである。」と、著者は最後に書いている。
今のところは、その通りに読むしかないのだと思う… -
ちっとも新刊がなくって、それは出版社とゴタゴタしてて、という話は知っていたけれど、こういう生活を送られているとは知らなかった・・・!
しかし、コンビニで働くって大変なんだねぇ。
いや、大変な職場ってほかでもあるだろうし、客商売なら大なり小なりどこでもこういう感じなのかもしれないけど。
そして歳いった人が正社員でなく例えバイトであっても働くのは大変なんだな、と。
歳いってたらいってたで使いようがあると思うんだけどな。
よっぽど技術がないとダメということか。でもその技術も求められる技術とそうでない技術とあるし。難しいね。
しかししかし、森さんの新作小説が読みたいです! -
森雅裕さんの本は読んだことがないが、江戸川乱歩賞をとり、著書も30冊以上あるというから、立派なベテラン作家だ。その森さんが、人間関係のトラブルで文壇を追われ、半ホームレス状態の末にみつけた仕事が、東京近郊のコンビニ店員だった。
それにしてもコンビニの仕事ってこんなに大変なのか。あんなにいろんな商品を扱っている上にファーストフードを提供し、公共料金の支払いを受け付けるのだから、深夜の店員はヒマという情報はどうやら違ってたらしい。そのうえモンスター客だらけだが責任をとらない社員。私だったら、どうせ一時の仕事だし時給低いし、と、とてもやる気が出ないだろうが、森さんは非常に真面目で筋を通す人らしく、誰もやりたがらない仕事でも率先してこなし、客とも真面目に闘うのだった。
コンビニの裏話ならネット上にもいくらでもあろうが、森さんの筆致は意外にもポジティブで、年若い仕事仲間たち(相手はそう思ってないだろうが)に向ける視線も暖かく、筋の通らない本部にも真っ当に怒っている。小説家だから文章がうまいのではなく、これはもともとの彼の性格と、苦汁もなめてきた人生経験のなせる技だろう。その後店は閉店、森さんは新規店の募集では採用されなかったらしく、今ごろはどうしているのだろう。この本の印税で少しでも潤ったらいいのだが。 -
キャリア20年の乱歩賞作家がコンビニ店員に。
コンビニ経験者にはほぼ同意できる内容だと思います。
著者の境遇、明日は我が身。 -
1985 年に「モーツァルトは子守唄を歌わない」で、
第 31 回江戸川乱歩賞を東野圭吾と同時受賞した作家、森雅裕。
「モーツァルトは子守唄を歌わない」ってタイトル、
記憶にはあるなぁってだけの作家さんだったのだが、
この人なかなか大変な人生を歩んでおられるようだ。
東京芸術大学美術学部を授業料免除で卒業後、
江戸川乱歩賞も受賞し、前途洋々なのかと思いきや、
生き方の不器用な方らしく、
出版社、担当編集者とことごとくぶつかり、
すっかり業界から干されてしまい、
約 10 年ぶりに商業出版されたのが本作品。
ホームレス同然で食うに困り、
辿り着いたコンビニ店員のアルバイト。
一般人にはわからないコンビニ店舗内幕物として興味深く読めた。
客層の悪い荒れたコンビニ、読み手の気持ちもささくれ立ってくるのだが…。
とにかくコンビニって、こんなにやることが多岐にわたり忙しいのかとも。
最終章での現在の心情の吐露には心が打たれる。
本作品が少しでも売れるとよいなと思う。 -
ほとんど本が出せない状況にありながらも、昔と変わりない文体を保っていることに、驚きと喜びを感じる。
冒頭の、某編集者に関するくだりや、最終章の恨み節には、あの“名著”『推理小説常習犯』を彷彿とさせるものがあり、森さんの窮状をとても心配しつつもついニヤリとしてしまう。
しかし、やはりこの人には小説を書いてもらいたいし、こうやって本を出すことができた以上、その期待は高まるばかりなのだ。そしてきっと、森さんは小説にするネタをたくさん持っているはずなのだ。
ぜひぜひ、なんとかしてそれを世に出していただきたいものである。 -
(p.250)(中高年のリストラ・就職難が問題になる、歴史的不況の)ご時世なのに、仕事のない私を「遊んでいる」「甘えている」と罵倒する輩は多かった。そいつらは親の金で大学を出て、そのまま仕事に就いて、現在に至っている世間知らずのボンボンであり、私を甘えさせてくれるどころか、他人のためには何一つしない連中だった。
「仕事を選り好みするな。肉体労働でもなんでもいいだろ」
ともよく聞かされた決まり文句だが、こんないい方は求職者にも肉体労働そのものにも失礼である。人間、誰だって、それまでキャリアを積み上げてきた仕事に執着があり、それを捨てて、まったく別の職種への転向など、簡単に割り切れるものではない。人生を否定されるのと同じなのだ。(p.250)
まことに同感。「雇用の流動化で労働需要が増える」「選択の自由が増える」などと巷間、呑気に語られるがもう全部誤り。人間が単なる労働力の人格化でしかない世界なら、つまり使用者にとってコマのような存在なら「自由に選択できる労働者」も構想できるだろうが、現実にはそんな抽象的人間は存在しない。私たちは感情と生活と人格と歴史のある、具体的な人間なのだ。昨今の「派遣切り」でも同様で、ニンゲンは部品扱い。必要なときだけ働かせて、要らなくなったらクビ。仕事からの自由、収入からの自由、生きることからの自由…素晴らしい「自由」だ。 -
最も好きな作家さんの1人、森さんの「約10年ぶり」の新作
…だけど、小説にあらず
内容が内容だけに、読むのが少し怖かったけど、予想よりはソフトで一安心
是非是非新作の「小説」が読みたいんだけど、本作中で小説用の資料も廃棄しちゃったってことだったし、もう読めないのかなぁ
だとしたら悲しいなぁ -
不正はまったく許さないし、もちろん自分はやってない的なことが繰り返し書かれていて、かなり潔癖な感じの人なんだろうなあという気がした。編集者とのトラブルも、その辺に原因があるんじゃないかな。
コンビニの仕事内容を細かく書いてある部分より、一番最後のほう、仕事探しをしているときのまわりに対する思いを記述した部分のほうが興味深かった。 -
☆Dee☆