山崎亮とゆくコミュニティデザインの現場

著者 :
  • 繊研新聞社
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  • Amazon.co.jp ・本 (166ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784881242759

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  •  現場として、以下の6件が挙げられている。
    CASE1.兵庫県・家島
    CASE2.島根県・海士町
    CASE3.宮崎県・延岡市
    CASE4.三重県・島ヶ原
    CASE5.東京都・墨田区
    CASE6.issue+designプロジェクト

     コミュニティの1人1人から考えていることを聞き出し、言語化・数値化することで具体化し、コミュニティの持つ得意分野を、現代の若者にも受け入れやすいような、かわいい・個性的なデザインをしたパッケージで包んでいく。

     Chapter3では「コミュニティデザインエンパワメント理論」として11項目が挙げられている。
    Theory1.「他人ごと」を「自分ごと」に近づける。
    Theory2.小さく生んで、やさしく育てる。
    Theory3.1万人×1回より 100人×100回
    Theory4.「発明」で まちを変える。
    Theory5.楽しいことをベースに、関係性を耕す。
    Theory6.金儲けではなく、人儲けをする。
    Theory7.毎回、新しい「答え」を見つける。
    Theory8.選択肢を示して、結論は住民が出す。
    Theory9.生活を軸にしたデザインをする。
    Theory10.「去る」という前提を共有する。
    Theory11.一石二鳥以上を狙う。

     Theory1では、例えば、「あなたが困っていることは、地域が困っていること。地域が困っていることは自治体が困っていること。だからあなたの情報や声がとても大事。聞かせてほしい」というスタンスでの訴えかけをする。
     それは、「自分ごと」として出てくる意見や声が、最もリアルで正直な「地域の問題」を指し示していることが多いからである。
     「他人ごと」としてする批評には、正確さに欠けたり、当事者の行きを削いで進行を妨げるものが多い。意識を自分ごとに切り替えるには、発言を誘導する仕掛けをつくる。
     例えば、ワークショップで「新しくなる●●駅を使って、あなたは何をしたいですか?」というテーマで、付箋に名前をつけて書いて模造紙に貼ってもらう。すると、「誰が何をしたいのか、できるのか」がはっきりと浮かび上がってくる。そして、「言ったからにはやりましょうね!」と言う。これが仕掛けである。
     最終目標は、「自分ごとにする人たちのチーム」を作ることである。
    「言ったからにはやりましょう!」の徹底は、コミュニティデザインの金科玉条なのである。


     Chapterの最後に「コミュニティデザイン的仕事の流儀」が12項目書かれている。
    1.「まあ、こんなもんだろう」を止める。
    2.伝えたいことや使い方が不明確なものを作らない。
    3.「実行」しながら「実験」をする。
    4.徹底した調査を行う。
    5.美しく伝える。
    6.落語のようにしゃべる。
    7.参加者のなかに友人をつくる。
    8.明るく存在する。
    9.危機感をあおらない。
    10.関わり方、働き方を自分で決める。
    11.10の能力を身に付ける。
      (①話す、②書く、③描く、④調べる、⑤創る、⑥作る、⑦引き出す、⑧まとめる、⑨組織化する、⑩数える)
    12.あるところで、考えるのを終えて動き出す。

  • 「NEXT READING」
    (「他人ごと」を「自分ごと」に近づけるとは?)……「他人ごと」を「自分ごと」に転換させて、自分の問題としてみて意見を言う人を増やすことを試みる。例……「新しくなる延岡駅を使ってあなたは何をしたいですか?」と聴く。付箋に名前を明記してもらう⇒最後に「言ったからにはやりましょうね」と書いた本人に振る。
    ※ 何ができますか? という想像だけでは書きっぱなしになり、誰も行動に移せない。
    (100人の100回はどうすればよいのか?)……人数を限定し、長く持続的に観光客を迎え入れていく。地域を愛する気持ちが必要。
    (コミュニティデザイン的仕事の流儀とは?)……12のルールあり。詳しくは本書にて。
    (「まぁこんなもんだろう」と止めるとは?)……中途半端な結論は地域もコミュニティデザイナー自身も傷つける。とことん突き詰めて考えて、いくつものスタディをしながらプロセスそのものにも価値があるコミュニティデザインをする。
    (美しく伝えるとは?)……情報を整理し、書き込む内容とその順番や位置関係、さらにそのデザインについてよくよく考えなくてはならない。誤字脱字の確認、紙の端がきちっと揃ったホッチキス留め、歪みや影のないきれいなコピー。

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著者プロフィール

広告プロダクション勤務、京都のタウン誌編集などを経て、フリーライターになる。著書に「自然食レストランティアと仲間たちのスローフードな冒険」「新しい祈りのかたちを創る」「ソウルフル★ソウル」「山崎亮とゆくコミュニティーデザインの現場」、編書に「着る、琉球」「高田喜佐 ザ・シューズ」「コスチュームジュエリーの世界」(いずれも繊研新聞社刊)がある。

「2013年 『久米島生活』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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