赤の女王: 性とヒトの進化

  • 翔泳社
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本棚登録 : 78
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (515ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784881351468

作品紹介・あらすじ

人間とは何か、人間はいかに進化してきたのだろうか。本書は、進化生物学に基づいてその答えを探っていく。男と女は互いに肉体的に異なっているように、精神的にも異なっているのだろうか。そうだとすればそれはなぜか。人間の美しさの基準は、恣意的なものなのか、それとも原則が存在するのだろうか。我々は、遺伝子をめぐる絶え間なき闘争で敵を欺き、相手を誘惑するために、大きな頭脳を持つようになったのだろうか。本書は、人間と性、さらに人間の知性に対し新たな見方を提起する。

感想・レビュー・書評

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  • 環境で説明できない生物の特徴は殆どが性淘汰で説明可能とし、人間においてもこれは同じで、人間の脳はクジャクのオスの尾羽と同様、異性を魅了する能力の副産物だとして、生物学的なオスとメスの違いの延長線上としての人間の本性を解明した名著。

  • 目次

    はじめに

    第一章 人間の本性
    第二章 大いなる謎
    第三章 寄生者のパワー
    第四章 遺伝子の反乱と性
    第五章 クジャク物語
    第六章 一夫多妻制と男の本性
    第七章 一夫一妻制と女の本性
    第八章 心の性鑑別
    第九章 美の効用
    第十章 知的チェスゲーム
    エピローグ

    注釈
    訳者あとがき
    参考文献
    索引

  • 1995年刊行。著者は「エコノミスト」で科学関係記事を執筆しているジャーナリスト。生物進化においてダーウィンが唱えた自然選択淘汰論は、功利主義的な捉え方をされることが多い。ならば、有利な遺伝的素養を持つ個体が生まれれば、余計なエネルギーを要し、遺伝的劣化を招来するかもしれない有性生殖を必要とするとは限らない。つまり、性の存在に説得的な説明を齎していない。一方、自然淘汰仮説は、捕食率が上昇する形態が進化の過程で成立した点の説明にも難を来していた。典型例が雄の孔雀の美しい羽である。これらの疑問に対する説明概念を本書は仮説として提起。前者は赤の女王仮説、後者は雌が雄の選択権を有する性選択論におけるハンディキャップ仮説である。割合判り易く解説されているが、人間の一夫多妻制まで筆を進めたのは少し先走りすぎかもしれない。この点は、1万~5万年前のヒトの婚姻形態、つまり原初的な婚姻形態が考古学等何らかの形で明確化されてから議論するべきか。ただし、男性優位は文化的所産だが、女性優位が原初的という可能性が示唆される点は、発想の相対化という意味で興味深いところ。

  • 赤の女王仮説をめぐるマット・リドレーの名著。
    生物は、赤の女王のように走り続けなければ落ちてしまうというこの話は、今でも衝撃。

  • 中学生の時読んで、衝撃的だった。

  • 第1章 人間の本性
    第2章 大いなる謎
    第3章 寄生者のパワー
    第4章 遺伝子の反乱と性
    第5章 クジャク物語
    第6章 一夫多妻制と男の本性
    第7章 一夫一妻制と女の本性
    第8章 心の性鑑別
    第9章 美の効用
    第10章 知的チェスゲーム

  • 人間性を主に性淘汰から分析する、サイエンスルポライターの一般向け図書。

    やっぱり面白かったです。
    マット・リドレーさんの本を読むのは『やわらかな遺伝子』、『徳の起源』に続いてこれで3冊目。
    (全部似たようなスタイルなので、その辺は期待以上でも以下でもないのですが)

    引用量の多さに脱帽します。
    一冊のテーマが一本貫かれていて、読み心地がいいです。

    生物好きなんだなー、という印象がいい感じです。

    残念ながら絶版。(TT)

  • 非常に面白い! じっくり理解しながら読めばよいでしょう。

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著者プロフィール

世界的に著名な科学・経済啓蒙家。英国貴族院議員(子爵)。元ノーザンロック銀行チェアマン。
事実と論理にもとづいてポジティブな未来を構想する「合理的楽観主義(Rational Optimism)」を提唱し、ビル・ゲイツ(マイクロソフト創業者)、マーク・ザッカーバーグ(フェイスブック創業者)らビジネスリーダーの世界観に影響を与えたビジョナリーとして知られる。合理的楽観主義をはじめて提示した著書『繁栄:明日を切り拓くための人類10万年史』(早川書房)はゲイツ、ザッカーバーグが推薦図書にあげている。グーグルには3度招かれ講演を行なった。
1958年、英国ノーザンバーランド生まれ。オックスフォード大学で動物学の博士号を取得。「エコノミスト」誌の科学記者を経て、英国国際生命センター所長、コールド・スプリング・ハーバー研究所客員教授を歴任。オックスフォード大学モードリン・カレッジ名誉フェロー。
他の著作に『やわらかな遺伝子』『赤の女王』『進化は万能である』などがあり、著作は31カ国語に翻訳。最新刊である本書『人類とイノベーション』は発売直後から米英でベストセラーを記録している。

「2021年 『人類とイノベーション:世界は「自由」と「失敗」で進化する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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