あさま山荘1972 下

著者 :
  • 彩流社
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784882022534

感想・レビュー・書評

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  •  なるほど、連合赤軍(共産主義者同盟赤軍派と京浜安保共闘革命左派の合流)による「浅間山荘事件」とはこういうことだったのか。
     赤軍派と革命左派が合流したことで、メンバー自らが「銃による殲滅戦」への道を選んでいく。そこには「思慮」「思考」はなく、「その場の雰囲気」で流れていくメンバーの様子が過程が生々しく語られている。
     そして、自分達の結束が揺らぐ不安や恐怖を払拭し、組織の権威を維持するために同志に行われる「総括」、「粛清」といっても過言ではない集団リンチにおけるメンバーの心理、そこにはやはり「思慮」「思考」はないのである。

  • 著者はあさま山荘事件や山岳ベース事件を引き起こした連合赤軍の幹部。それらの事件の手記。
    読んでみると著者は弱い人、残念な人なのかもしれません。収監前に女を知っておきたいだけで、気が合う訳でもない永田洋子氏と結婚し、仲間への暴力に反駁しつつも殆どアクション出来ないどころか、自分の気に入らない人間を暴力の対象に差し出すような行動すらしています。

    手記でその自分の弱さに向き合ってはいるものの、先に進んでいる感じもしません。

    しかし、だからこそ、連合赤軍の他の当事者の手記よりも、事件の本質をつかんでいるような気がします。

著者プロフィール

1946年11月12日千葉県生まれ。1962年4月木更津高校入学。1965年4月東京水産大学(現・東京海洋大学)入学、のち中退。1972年2月28日、あさま山荘事件で逮捕。1993年2月19日最高裁で死刑判決。1990年代に、獄中で西行『山家集』を読んだことをきっかけに歌作を始め、青木郁男に師事する。朝日新聞の「朝日歌壇」に投稿、島田修二、佐佐木幸綱選歌欄に掲載され、その後佐佐木幸綱に師事。1993年に歌集『坂口弘歌稿』、2007年に『常しへの道』を刊行。

「2015年 『歌集 暗黒世紀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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