あさま山荘1972 続

著者 :
  • 彩流社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784882023388

感想・レビュー・書評

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  •  「あさま山荘1972 上・下」巻を読んでから3ヶ月ほど経過している。本著は上下巻を補完するとともにその後の裁判の経緯が記されている。
     当事者たち、彼らは共産主義化という大義のため闘争(暴力)を正当化する論理を展開しているが、しかし実際には同志と呼び合う彼らの狭小な世界でお互いの言葉の上げ足を取って攻撃するだけの拙い活動に成り下がってしまった。
     このようなことは小さな閉鎖したコミュニティで憔悴して疑心暗鬼となった状態では起こりうる悲劇であり、決して他人事ではない。
     死刑囚である著者がもと同志の論理的矛盾に固執する姿とその静止した時間が虚しい。

  • 「続」は山岳ベースでのリンチからあさま山荘事件までの出来事、逮捕されてから死刑確定するまでの裁判の事などが書かれている。

    元妻・永田洋子について、森に追従してリンチを主導したことを許しがたいと感じる一方で、病気でフラフラしている彼女の姿を見て「憐憫の情を禁じ得なかった」という相反する思いを書いていることが印象的。

    ともに死刑が確定した時に永田にかけた「あんたも頑張りなさいよ」という言葉からは、リンチの主犯格としての責任を果たせという叱咤と、元妻である永田を気遣う気持ちが混ざった複雑な胸の内を感じた。

著者プロフィール

1946年11月12日千葉県生まれ。1962年4月木更津高校入学。1965年4月東京水産大学(現・東京海洋大学)入学、のち中退。1972年2月28日、あさま山荘事件で逮捕。1993年2月19日最高裁で死刑判決。1990年代に、獄中で西行『山家集』を読んだことをきっかけに歌作を始め、青木郁男に師事する。朝日新聞の「朝日歌壇」に投稿、島田修二、佐佐木幸綱選歌欄に掲載され、その後佐佐木幸綱に師事。1993年に歌集『坂口弘歌稿』、2007年に『常しへの道』を刊行。

「2015年 『歌集 暗黒世紀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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