寝盗る女 (上) (カナダの文学 10-1)

  • 彩流社
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  • Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784882025108

作品紹介・あらすじ

死んだはずの“魔性の女”が再び現れた……
かつて彼女に振り回された苦い経験を持つ三人の中年女性が、若き日を回想しながら新たなる人生の危機に立ち向かう。鋭い時代感覚で照射する80年代カナダの肖像。ミステリー仕立ての知的エンターテイメント。ブッカー賞受賞作家の長編小説!

感想・レビュー・書評

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  • 経済的には独立している、特段にもてるわけではない、寝取られたと思しきどこかいびつな中年後期女性がぞろぞろ出てくる。生々しい。本書のぶっちゃける態度に『セックス・アンド・ザ・シティ』を連想したのだけれど、本書もSATCも1998年にリリースなのだった。2020年代のわれわれは眉根にしわを寄せて「今まで一人で抱え込んでいたけれど、もう我慢しません!」と声を上げる毎日なので、20年前の、赤裸々であることがエンターテインメントだったという流れに時代を感じる。そこは自分をチューニングして読まないとちょっと胸焼けするかもわからない。

    ただチューニングした後は、「うわ! なんという(あざとい)展開!」と先が気になって仕方ないので、上巻を読み終わった現時点では、まずは下巻を読み終わろうではないかとやる気に満ち溢れている。ちょっとね、いろいろ経験したマダムたちだというのに友人に対する態度がナイーブすぎやしないかとも思うんだけど、でもそれ以外の何に対してナイーブになれるであろうかっていうお年頃ですものね...

    ちなみに寝取られの話なので当然男性も複数登場しつつありますが、びっくりするくらい魅力がない。なぜひとはひととペアになるのか、と空を仰ぎたくなるくらい。人間の基本仕様に問題があると考えざるを得ない。

  • マーちゃん(アトウッド)やっぱスゲエ。かつて友人だった頃に寝盗られた女達が、その女の葬儀に集まり、ひと息ついてる所に当人がさっそうと現れる。しかも豊胸ずみ。上巻では大学教授トニー(アントニア)がしてやられた様子が描かれる。それと同時に女性達自身の日々の生活ぷりが描かかれ、それが本当に素晴らしい書き方。女であることにより発生する面倒臭さや、我慢を強いられることなど。教授やってても社長やっててもまだまだ女として生きるのはしんどいのだ。ここまで自然にクリアに描ける驚異!

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著者プロフィール

マーガレット・アトウッド(Margaret Atwood):1939年カナダ生まれ、トロント大学卒業。66年にデビュー作『サークル・ゲーム』(詩集)でカナダ総督文学賞受賞ののち、69年に『食べられる女』(小説)を発表。87年に『侍女の物語』でアーサー・C・クラーク賞及び再度カナダ総督文学賞、96年に『またの名をグレイス』でギラー賞、2000年に『昏き目の暗殺者』でブッカー賞及びハメット賞、19年に『誓願』で再度ブッカー賞を受賞。ほか著作・受賞歴多数。

「2022年 『青ひげの卵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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