仁木兄妹の探偵簿: 雄太郎・悦子の全事件 (2)

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  • 出版芸術社
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784882931294

感想・レビュー・書評

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  • 仁木兄妹、妹の悦子の短編集。
    悦子がいつの間にやら二児の母になっていて面食らったが、兄の雄太郎の巻から読めば、そのあたりの経緯がわかったかもしれない。
    世話好きで好奇心一杯、自分から事件に首を突っ込んでいく悦子、殺人事件であってもほのぼの明るく安心して読める。
    事件の内容・解決はオーソドックス。
    (図書館)

  • 小気味いい短編が集まった、まさに名主婦探偵・悦子さんの一冊。
    子供のいる女性が読んだら、何気ない子供の描写に驚いてしまうのではないでしょうか。

    解説の新保博久さんが、ミステリ史の通説的な系譜について、著者の作風を「しなやかながら「世話物派」」として捉え、北村薫氏、宮部みゆき氏他々、をその作風の最前衛として挙げています。

    読者の目福は、まだまだ続きますね^^)

  • 短編集①「兄の巻」と対になる「妹の巻」です。発行日は平成8年10月なので、おそらく同時に出版されたのではないかと思われます。収録作品は昭和34年~昭和58年までのもの…う、生まれる前ですよ…!

    音大に通っていた女学生の仁木悦子も、今では新聞社専属のヘリコプター・パイロットを夫に持ち、幼稚園児の哲彦と2歳の鈴子の子持ちママ・浅田悦子になっている。しかし時が過ぎて母親になっても、悦子の好奇心の虫はいなくならず、事件となると子連れで調べに出かけてしまっていた。
    朝の忙しい時間にも関わらず、悦子はTVニュースに釘付けになってしまった。殺人事件の容疑者が主張しているアリバイ―財布を拾って持ち主に渡した―その現場を悦子は見た記憶があるからだった。―――『木枯らしと笛』
    もらい物の雛人形からみつかったメモから十数年前の殺人事件に繋がった『ひなの首』
    避暑にきていた悦子と子供たちだったが、宿の1室で家事騒ぎが起こってしまった。そしてほぼ同時刻、その部屋の宿泊者が山奥の川べりで毒殺されていた『虹の立つ村』
    3年前に知り合った昌江さん。母を火事で亡くした彼女の唯一の肉親は両親の仲を裂いた祖母のみだったが、その祖母も死亡してしまったらしい。せめてお焼香だけでも…という彼女に付いて行ってあげた悦子だが、屋敷にはもう一人「昌江」と名乗る女性が・・・?『二人の昌江』
    息子・哲彦の幼稚園で「子とろ女」という怪人話が流行していた。白い着物姿で目を泣きはらし子供をさらうという怪談で、怖がる子供が大勢いたのだが、ある母親がその「子とろ女」を見たという騒ぎが起こる。『子をとろ 子とろ』
    子供ピアノ教室でピアノを教え始めた悦子。最年少の通子ちゃんに「うさぎさんの歌」を教えたら、突然に泣き始めてしまった。「おばぁちゃんが死んじゃう」と言って。そして正しく教室に亡くなったという知らせがきて・・・『うさぎさんは病気』
    突然の暴風でつり橋が落ちて停電となって、町から隔絶されてしまった民宿・三杉荘。宿泊客と宿の夫婦は仕方なしに1部屋に身を寄せ、退屈しのぎに半年前に町で起きた陶芸家殺害事件の推理合戦に興じることになった。『青い香炉』
    幼稚園でのクリスマス会で園児の父親3人がサンタクロースに扮することになった。しかし最後の1人が現れず、代役となった悦子の夫・史彦がふと見つけてしまったのは、本来のサンタクロース役の死体。直後、別室に女性職員の死体まで見つかって…『サンタクロースと握手しよう』
    それに犯人当て『月夜の時計』を加えた計9作の短編集です。

    兄の巻は数編は学生悦子がいましたが、妹の巻は全部ママさん悦子さんです。学生悦子は長編で読むしかないのかな。
    でも今回のには、植物学者となった兄が登場してくれているのが嬉しいv (兄の巻には地の文に説明が出ただけでした…)『虹の立つ村』と『青い香炉』がそれです。この2作と他を比べてみると、やはり感じが違うのが解りますね。文体は同じなんだけど、まず行動して事実を調べていくうちに(あれよという感じに)真相にたどり着く悦子と、事実が提示されてから(掌を見つめながら)静に真相をさぐる雄太郎。兄弟なのに、ずいぶんと違うよね;
    解説などには、北村薫・加納朋子・倉知淳などの系統の源ではないかと仁木作品を考えてらっしゃる方もいるようですが…うーん、そうかな?殺人事件を主に題材にしている点なんかは、私には違うと感じるのですがねぇ…。むしろ我孫子作品に近い気がするんですが。(そういえば我孫子さんも3兄妹のお話書いてらっしゃいましたね)
    トリック的には強烈なものがありませんが、そこは短編だから仕方がないですね; この中で一番を選ぶとしたら…うーん、「虹の立つ村」かなぁ…。「子をとろ 子とろ」はなんだかゾッとしました。怪談話じゃなくて、その狂気性が…。

  • 昭和32年出版の「猫は知っていた(江戸川乱歩賞受賞作品」からスタートした、ヤセでノッポの大学理学部(植物学専攻)の学生・雄太郎と、太めでチビの音大生(ピアノ専攻)・悦子の魅力的な凸凹コンビが活躍する兄妹探偵シリーズ。
    時の経過と共に、当時、音大生だった妹・悦子は、新聞社のペリコプターパイロット=浅田史彦と結婚して二児の母親・浅田悦子に。

    <妹の巻> では、結婚して浅田悦子となってからの探偵簿「木枯らしと笛」「ひなの首」「虹の立つ村」「二人の昌江」「子をとろ 子とろ」「うさぎさんは病気」「青い香炉」「サンタクロースと握手しよう」の短編8本の他、
    単行本では発表されていない犯人当て「月夜の時計」、エッセイ、著作リストが収録されています。

  • 2012年1月24日購入。

  • 『木がらしと笛』
    悦子がテレビで見たニュース。殺人容疑者の男が自分のアリバイ立証の為の証人を探している。悦子の友人・西崎の証言で釈放される容疑者。悦子、西崎にお礼に来た男の違和感。

    『ひなの首』
    貰いものの雛人形の中から現れた告発文「はんにん、はなえだ」。過去に起きた殺人事件。雛人形の元の持ち主の隣家で起きた殺人事件。遊び人の男の死。暗闇でウィスキーを飲む被害者。肩口のフリージアの花の秘密。

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著者プロフィール

1928 - 1986。小説家。ミステリーや童話を手がけ、1957年に長編デビュー作『猫は知っていた』で江戸川乱歩賞を受賞。明快で爽やかな作風で、「日本のクリスティー」と称された。1981年には「赤い猫」で日本推理作家協会賞を受賞。無類の猫好きとして知られる。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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