- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784882932635
感想・レビュー・書評
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高校時代、夢中になって文庫本で読みました。いまでも、その文庫本は手元にありますが、さすがにカバーも色あせ、中の頁も茶色く変色・・・。
本書は、仁木悦子没後25年にして、作品がハード本で再度出版された嬉しい企画。
仁木兄妹凸凹コンビに続く、この三影潤シリーズも魅力的な作品。
本書には、「冷えきった街」「白い時間」「白い部屋」などが所収されています。 -
探偵・三影潤が活躍するシリーズ。携帯電話が無かったり、登場人物の言葉使いとか、とりまく街や文化の描写などから、そこはかとなく漂う昭和っぽさがイイ感じでした。「冷え切った街」は読み応えもあり面白かったです。これは舞台が冬のものを集めた「白」の巻で、他に「青」編「赤」編もあるみたいなので、そちらも読んでみたい。
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「冷えきった街」「白い時間」「白い部屋」収録。
やはり長編である「冷えきった街」が印象深かったです。事件と家庭内のいざこざ、そして過去に起こったことの数々。さばさばと描かれているけれど、しっかりと重苦しい感じがしました。そしてこの真相。重たくって、タイトルの意味もずーんと響きました。
「あの言葉」、彼にとってはさぞかし苦しかったんだろうなあ。同情を禁じえません。 -
桐影秘密探偵社を友人の桐崎秀哉とともに経営している私立探偵・三影潤が携わった事件を集めた全集です。
長編「冷えきった街」、短編「白い時間」「白い部屋」の3編収録。
これはまた、仁木兄妹シリーズとはガラリと変わって、ハードボイルドタッチです。
全編三影目線の一人称。
料金交渉もきっちりとやってのけ、依頼者や調査対象者とは一定の距離を置き、こつこつと調査を進める三影。
かなり趣の違うシリーズでした。
長編の「冷えきった街」は当主の妻が3人目ということでかなり複雑な家庭環境と、11年前の2人目の妻の変死事件も絡み、やるせないラストとともに非常に読み応えがありました。
「白い時間」は短いながらも登場人物が多く、少々混乱しながら読みました。
が、短編だからこその鋭い着眼点からの解決が小気味よかったです。
「白い部屋」は入院中の三影が同室の患者から聞いた事件を解き明かす、安楽椅子探偵モノ。
実際に携わった事件ではなかったからか、話が早く、ノリも比較的軽かったような。
真相に至るロジックが一番好みでした。
初出が昭和40年代半ばから50年代半ばということで、さすがに自家用車や電話はかなり普及していたようで、三影の移動も車になっていました。
そのためますます古さは感じられませんでした。
というか、なんだか久しぶりにきちんとした私立探偵さんが謎を解く物語を読んだ気がします。
本当に正統派。堪能しました。