探偵三影潤全集 (3(赤の巻))

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  • 出版芸術社
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784882932659

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  • 三影潤短編集3巻目
    探偵だから自ら事件に関わるし、依頼されるけれど、意図しない形で巻き込まれることも多い三影探偵。探偵を利用しようとする依頼人とか、たまたま探偵と知って利用しようとする関係者とか、苦労が絶えない。仁木悦子の語り口が優しく、探偵もハードボイルドだけど人情味があるからなんとなく包まれてるけど、ものすごい悪意とか人間の欲望みたいなものが剥き出しになってる事件の多いこと!すご。

    『くれないの文字』死んだ兄の嫁の素行調査依頼。
    三影探偵が尾行した先で死体を見つけ、、、

    『夢魔の爪』かつての教え子が催眠術にかけられて人を殺した、とその母親から連絡を受け、駆けつけた三影探偵

    『どこかの一隅で』家出した妻を探して欲しい、とやってきたものの、調査料がとても払えないと帰っていった男の妻をたまたま見つけた三影探偵。妻に暴力を振るう飲み癖を反省したというのが本当か様子を見に行って、男が死んでいるのを見つけ、、、
    坊やとお母さんの今後の幸せを祈るよ…。

    『暗緑の時代』ふらりと立ち寄った画廊で、無名の作家の小品が盗まれそうになるのを防いだ三影探偵。物故した画家の遺作展で、未亡人も画家の友人も盗まれる心当たりがない。生前画家は「自分は殺されるかもしれない」と言っており…

    『アイボリーの手帖』家で?行方不明になった妻を探して欲しいという依頼。妻は遺体となって見つかるが、違和感を感じた三影探偵…
    探偵撃たれる!まじびっくり。

    『緋の記憶』14年前に亡くなった母の夢を見る、自殺ではなく他殺だったのではないか、調べてほしい、という依頼。夢のことは…という桐崎さんだけど、興味を持った三影探偵が調べ始めて…

    『数列と人魚』買い物に出た妻が戻らない、と夫が人探しの依頼。謎の数列のメモ、どうも拉致られたらしい経緯、外国訛りで「手をひけ」という電話があり、スパイ??と思わせておいて…

  • 『くれないの文字』

    『夢魔の爪』

    『どこかのヒト角で』

    『暗緑の時代』

    『アイボリーの手帖』

    『緋の記憶』

    『数列と人魚』

  • 高校時代、夢中になって文庫本で読みました。いまでも、その文庫本は手元にありますが、さすがにカバーも色あせ、中の頁も茶色く変色・・・。
    本書は、仁木悦子没後25年にして、作品がハード本で再度出版された嬉しい企画。

    仁木兄妹凸凹コンビに続く、この三影潤シリーズも魅力的な作品。
    本書には、「くれないの文字」「夢魔の爪」「どこかの一隅で」「暗緑の時代」「アイボリーの手帖」「緋の記憶」「数列と人魚」が所収されています。

  • 仁木悦子といえば『猫は知っていた』ほかの仁木兄弟シリーズが有名ですが、私はこちらの三影潤のシリーズの方が面白いと思う。仁木悦子の本を読んで驚くことは、いま読んでも文体が古くないこと。それは時代背景とか名称とか(桐影秘密探偵社……)はしょうがないにしても、おおがかりなところがなく、文章が端正。何十年か経て読んでも十分に耐え得るあたり、彼女の文章力が窺えます。謎解きがメインですが、ハードボイルドの探偵ものの要素もあり、面白いシリーズです。復刊してくれた出版社にありがとうと言いたい。

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著者プロフィール

1928 - 1986。小説家。ミステリーや童話を手がけ、1957年に長編デビュー作『猫は知っていた』で江戸川乱歩賞を受賞。明快で爽やかな作風で、「日本のクリスティー」と称された。1981年には「赤い猫」で日本推理作家協会賞を受賞。無類の猫好きとして知られる。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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