横溝正史自選集 (vol.2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784882933137

感想・レビュー・書評

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  • というわけで有言実行シリーズ改め死ぬ前に読みたいリスト1-③『獄門島』です 

    ミステリー好きの間では金田一耕助シリーズ№1との呼び声も高い本作
    それはもうやっぱり伝説級の面白さでした

    これで以前作成したブックリスト『死ぬ前に読み返したい横溝正史』で挙げた3冊『悪魔が来りて笛を吹く』『犬神家の一族』『獄門島』を計画通り読了したわけですが、まだまだ名作は残っていますので機会があれば読み直していきたいと思います


    さてあらためてこの3冊ですが、これがまた我ながら良く出来たチョイスだと思うのです
    もちろん個人的な暴論ですので異論があることも承知ですが、金田一耕助シリーズは大きく分けて3つのパターンに分類されると思っています

    1つ目はトリックを解明することで真犯人がわかるパターンです
    いわゆる「謎解き」です
    犯人と目される人物が複数人いるものの、殺人が実行できそうな者がなく不可能殺人と思われますが謎解きの材料は(ときに不完全なこともありますが)読者に明示されており、読者は金田一耕助と一緒に物語の中を進んで行くのです
    そしてこのパターンの代表作が『獄門島』です

    2つ目は動機を解明することで真犯行人がわかるパターンです
    最初のうちは隠されていた動機が徐々に解明されることで真犯人が浮かび上がってくる
    あるいは最初からなんとなく実行可能な人物がある程度特定されているもののなぜその人物が殺人を犯すのか、またはどうやって実行したのかがわからずに犯人と特定するにいたらないというもので
    物語の進行とともに複雑な人間関係や過去の因縁が明るみなっていく、つまり読者は金田一耕助の案内により物語の中を彼の後ろについて進んで行くのです
    そしてこのパターンの代表作が『犬神家の一族』です

    3つ目はそれらの中間に位置する美味しいとこ取りのパターンです
    基本的には金田一耕助は読者の案内役を努めますがイベント的に対戦相手にもなるのです
    そしてこのパターンの代表作が『悪魔が来りて笛を吹く』です

    と、自分は思ってます(最後ちょっと逃げ腰w)

    それと金田一耕助シリーズの土台となっているものに「戦後の日本」という特異な時代背景にも触れないとですよね
    これによって人の所在であったり、考え方、価値観などがもうごちゃごちゃになってしまっている
    このことが金田一耕助シリーズを形作っているとも言えますよね
    ですので今の時代にあらためて読み直して頂きたいのです

    いやまあ横溝正史大好きおじさんの戯言と思って生暖かい目で見守ってください

  • 金田一耕助シリーズ第二作目。

    減点する要素が見つからない。登場する人物の役職、地形、そして俳句?に至るまで全てに意味があり、かつ、ワザとらしさやねらいすぎ感もない完成度の高さ。

    途中、悲劇を未然に防げないことに失望したけど、読み物として、これも必要な要素なのかと納得できる点もよかった。

  • 横溝正史自選集が図書館にあったので第2巻「獄門島」を借りてきた。下記三つの俳句に見立てた殺人は文学的である。トリックも見事で改めて横溝先生の偉大さを感じた。土日で一気に読了。しばらく横溝作品に嵌るかも。
    ・鶯の身をさかさまに初音かな (宝井其角)
    ・むざんやな冑の下のきりぎりす(松尾芭蕉)
    ・一つ家に遊女も寝たり萩と月 (松尾芭蕉)

  • これはもう最強。
    むざんなや 胄の下の きりぎりす
    三姉妹が殺されていく過程は恐ろしいながらも美しさがある。

  • 久々に夢中で読んだ本。
    なぜか横溝正史には手が出なかったんだけどもー。
    映画で満足してたのかもしれない…。

    今読んでも面白いトリックやストーリー。
    とりあえず私のツボにはハマったって感じです。

    やっぱ温故知新というかー。
    これを読んでると京極夏彦は横溝正史好きだったんじゃないかなーとか。
    香り的になんとなく似てる…。

    歴代金田一耕介では石坂浩二が一番好きです(笑)

  • 金田一シリーズの中で今のところ一番好き

著者プロフィール

1902 年5 月25 日、兵庫県生まれ。本名・正史(まさし)。
1921 年に「恐ろしき四月馬鹿」でデビュー。大阪薬学専門学
校卒業後は実家で薬剤師として働いていたが、江戸川乱歩の
呼びかけに応じて上京、博文館へ入社して編集者となる。32
年より専業作家となり、一時的な休筆期間はあるものの、晩
年まで旺盛な執筆活動を展開した。48 年、金田一耕助探偵譚
の第一作「本陣殺人事件」(46)で第1 回探偵作家クラブ賞長
編賞を受賞。1981 年12 月28 日、結腸ガンのため国立病院医
療センターで死去。

「2022年 『赤屋敷殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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