皆川博子コレクション3冬の雅歌 (皆川博子コレクション (3))

著者 :
制作 : 日下三蔵 
  • 出版芸術社
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本棚登録 : 81
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784882934424

作品紹介・あらすじ

精神病院で雑役夫として働く主人公。ある日、傷害事件を起し入院させられた従妹と再会し……表題作ほか、未刊行作「巫の館」を含め重厚かつ妖艶なる6篇を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 表題作『冬の雅歌』は確かに筆者の持ち味の幻想味に欠けるが、その分リアルさが増し、空恐ろしく思う。『巫子』を彷彿させる美於、ひっそりと狂っていく医師たか子。彼女の狂気をあの人はこれから知るのだろうか、それとも…と思うと、狂気の果てに終わりのない気がして、いよいよ怖くなってくる。他の短編も狂気づくしでいささか圧倒されぎみではあったが、それでも『祝婚歌』は全部入れて欲しかった。

  • “ここにいる人たちは、皆、一つの世界しか知らないのだろうか。重なって存在する荒野を知らないのだろうか”

    表題作では、精神世界を題材に採り、著者と父親の実際の関係性なども織り交ぜながら、余韻の深い物語に仕上げられている。
    近年の練度が高い作品群と比べれば粗さが感じられるが、表題作の後に収められた短編も含め、人間の裡に潜む暗部を様々な手法で白日の下に曝け出す技術は、デビュー時から徹頭徹尾、巧み過ぎる。

  • カメオは獣頭人体の猫さん・・・神々しいのにどこか怖く感じるのは私だけではないはず・・・。
    表題作は、78年に刊行されたとは思えぬほど、もう皆川文学のやるせない男女観が完成している・・・ほとんど今の幻想小説の持ち味そのままで読みやすい印象でした。雅歌って一応男女の恋の歌だもんな・・・と改めて一考。
    「魔術師の指」これも皆川節だな~~~死の匂いが付きまとう3人の男女・・・。
    「海の耀き」暎子さんの人形展めっちゃ見に行きたい・・・。
    「祝婚歌」男女の歪んだ愛欲、暴力と退廃。いじましいほどの純情とかなしいほどの狂気。うーん皆川節だ。
    「黒と白の遺書」写真家の心理って全然分からんのだけど・・・なるほどなあ・・・。歪んだ憧憬を抱く女を手に掛ける男ってのも、皆川男女観ではもう一つのテーマなんだな。
    「もうひとつの庭」病と衝動の、皆川幻想文学らしい小品。
    「巫の館」よく考えなくても皆川博子×バレエめっちゃ合うやんけ・・・。

  • <収録作品>
    冬の雅歌
    魔術師の指
    海の耀き
    祝婚歌
    黒と白の遺書
    もうひとつの庭
    巫の館

  • 人の心に魔が差す瞬間が、繊細に、流麗、怪しい筆致で描かれており、作品世界にどっぷり浸ることができる。読後感はかなり重たい。

  • 長編「冬の雅歌」と短編6作収録。
    どれもが一見緩やかで、しかし激しい情熱を隠し持った狂気の物語。破滅的な恋愛小説、ともいえるかも。まさしく恋愛は狂気、だけど正気と狂気の境というのはいったいどこにあるのか、としみじみ考えさせられてしまいます。
    お気に入りは「祝婚歌」。このラストは実に印象的です。

  • これを含めた刊行済み3冊の中で一番面白かった。と、同時に、何でこれが今まで埋もれていたのか不思議でしょうがない。
    現在の作風に通じる幻想風味が最も強く出ているように思えた。

  • コンスタントに出てますね!

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    「精神病院で雑役夫として働く主人公。ある日、傷害事件を起し入院させられた従妹と再会し……表題作ほか、未刊行作「巫の館」を含め重厚かつ妖艶なる6篇を収録。

    <目 次>
    PART1(文庫未収録長篇)
    冬の雅歌 
    PART2(文庫未収録)
    魔術師の指
    海の耀き
    祝婚歌
    PART3(単行本未収録)
    黒と白の遺書
    もうひとつの庭
    巫の館 」

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著者プロフィール

皆川博子(みながわ・ひろこ)
1930年旧朝鮮京城市生まれ。東京女子大学英文科中退。73年に「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞し、その後は、ミステリ、幻想小説、歴史小説、時代小説を主に創作を続ける。『壁 旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞を、『恋紅』で第95回直木賞を、『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞を、『死の泉』で第32回吉川英治文学賞を、『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―』で第12回本格ミステリ大賞を受賞。2013年にはその功績を認められ、第16回日本ミステリー文学大賞に輝き、2015年には文化功労者に選出されるなど、第一線で活躍し続けている。

「2023年 『天涯図書館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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